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オトメマジカル  作者: 沼米 さくら
3.5th Season 恋愛戦争編

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#54-2 【独占インタビュー】巷で話題! 魔王天使の素顔に迫る! ②


「そんなことが……」

 記者のカノンさんは絶句していた。

 ——座敷牢に軟禁されてたから家族のことはよく知らない。そんな話はやっぱりそんなに多くは聞かないらしい。

「え、違法とかではないんですか……?」

「よくは知りませんけど、僕のように存在を隠匿された子供には法律などが適用されないとよく聞かされてました」

「……恐ろしい話ですね。私が貴族社会に詳しくないからってのもあると思いますけど……」

 恐ろしい、とはいってもこの貴族社会ではまあまああることらしい……と父親には言われている。表沙汰には誰もしないので平民たちに知られることはないだけらしい。


「……それで、これも記事には書かないんですが……そのご家族に対して、あなた自身はどう思っているんですか?」

 カノンさんの問いに、僕は僅かに目を逸らし——それから答えた。


「あんまり好きじゃないです」

「と言いますと……?」

「別に、殺したいほど憎いとかそういったものではないです。でも……好きだとか、家族だから愛してるとか、そういった感情も持ちません」

 ……ここまで生かしておいてくれた恩義もある。だから憎み切れない。そもそも関わり合いもあんまりなかったからそんなに特別な感情も抱いていない。

 そういうことを言い切ると、カノンさんは目を伏せていた。

「……それは、なんというか……とても、大変ですね」

 カメラの映像を確認するための画面。そこに映った自分の目は据わっていて。

 言葉を迷っているような素振りのカノンさんに、僕は少し笑ってみせた。

「ぜんぜん。……僕は、なんにも思ってはいないのでっ」

「そ、そう、ですか」

「質問、続けてください」

 暗に話を変えることを望んだその言葉に答えるように、彼女は「あっ、はい」と手元のメモを見て。


「じゃあ、あの事件の時の天使の輪みたいなのって、なんだったんで——」

「よくぞ聞いてくれました!」


 僕の目は一瞬で輝きを取り戻した。

「えっ」

 急な態度の変わりように驚いたのであろうカノンさんは、呆気にとられ——もう僕は我慢できなかった。


「あの魔法についての技術っ! あの輪っかには実は大量の魔法演算処理装置が組み込まれていてっ……あ、その演算処理装置っていうのはですね————」


    *


「————〜〜〜〜なんですよ! わかりましたか!?」

「なにも……というか、時間……」

「……へ?」


 一通り話し終えた僕が我に返ったとき、ちょうど学園のチャイムの音が聞こえた。

 軽く深呼吸して……外を見た。空はすでにオレンジ色だった。

「……うっそ」

 さっきは見事な快晴の青空だったはずである。

 目の前に座るカノンさんはぐったりとしていて、何処か遠くを見ているようだった。

「ソーヤさんの魔法好きは十分にわかりましたぁ……だからもう許してぇ……」

「まださわりしか話してないですよ?」

「もう勘弁してぇ! 捕まえた私が悪かったからぁ!」

 涙目で訴えた彼女に、僕は唇を尖らせ。

「……仕方ないなぁ……」

 言いながら、亜空間収納魔法を発動。紙を一枚召喚してそこに脳内で描いた図を印刷する。

「え、なに……いまのどうやって……」

「魔法式です。天使の輪(エンジェルハイロゥ)の。参考にどうぞ」

「そうじゃなくて……ひっ」

 渡されたそれを見て、カノンさんは白目を剥いた。

 ……そこまで驚くことかなぁ。魔法式が複雑すぎて白かったはずの紙が遠目には真っ黒に見えちゃうの、結構あるあるだと思うんだけど。


 ——なお、そのあるあるが魔法学園ですらほんの一部の上位層にしか通用しない異常に高度なことだったというのは後に知ることである。

 狂気じみた量の書き込みを加えた難解な図式。それを読み解いたとして現れるのは専門用語のオンパレード。専門機関たる魔法学校の教員ですら解読困難なレベルのそれを、常人がひと目見て理解できるはずなどなかったのである。

 僕は常識や常人の感覚というものを知らなかった。


「ありゃ……泡吹いて倒れちゃった」

 僕は一言口にした。カノンさんは白目を剥いて泡を吹いてビクンビクンしていた。

 ……これからどうしたもんか。とりあえず回復魔法を使ったほうが良いかな。

 気絶したカノンさんの頬をツンツンしながら思案を巡らせた。夕日は徐々に沈んでいった。

 最終的に寮に帰ったのは、夕食の時間をだいぶ過ぎた頃のことである。


    *


「流石に遅すぎやしないかしら」

 私はぽつりと口にした。茜色に染まった空をぼうっと眺めながら。……背後の光景を見ないようにしながら。

「クリスさん……はぁ……はぁ……っ…………ソーヤくんのぱんつ……いいにおいでぇ……っ」

「いい加減落ち着きなさいよ、変態」

「ンっほぉ辛辣!」

 変な声を上げて息を切らすピンク髪の変態を気にしないようにしつつ、私は意味もなく外を眺め——。


「マーキュリーさんのことですか?」

 その声にびくりとした。

「……急に落ち着かないで」

「ずっと興奮したままでいろと?」

「言ってないわよ変態」

 むしろ落ち着いてたほうが助かる。


「じゃあ、なんで驚いたんです?」

 聞かれ、唇を尖らす。

「べつに……急に態度を変えられると誰だって驚くわよ」

「でもそれだけじゃないでしょう?」

 見透かされているようで、少し冷や汗が出た。

「…………親友が悩んでて、心配しないほうがおかしいでしょ」

「それもそうですね。……わたしだって同じです」

 背中に視線が突き刺さるようで、少し息が苦しくなって。

「わかったわよ。話すわ」

 大きく息をついた私。クスッと優しげに笑ったような声がした。


「じゃあ、聞かせてください。マーキュリーさんのことっ」

「まず服を着なさいよバカ」


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