増える缶コーヒー
寒くなると彼の車と家には、あいつがいる。
あいつは日に日に増えていく気がする。
彼の車で出かける時や、家にお邪魔した時に増えていくあいつを見るのだ。
「ねぇ、何で車と家にこんなにいっぱい缶コーヒーがあるの?」
気になる人に気になることを聞いてみた。
「暖まりたいから。」
その一言で謎は全て解けた!
外仕事が時々あると言っていた彼。
寒がりの彼。
暖をとるために缶コーヒーを買うが、飲まないので増えていくということか!
「これ、飲んでもいいの?」
「どうぞ。」
私は缶コーヒーを頂く。
どれもこれも微糖なんだけど、すごく甘く感じる。
嗚呼、私が本当に頂きたいのは彼との甘い時間なのにな。
彼は仕事の同期でもあり、友達でもあり、私にとっては大事な人。
彼が彼氏になるのは、まだ先だろうか。
私は増え続ける缶コーヒーを飲み続けるんだろうか。
きっと、この冬は缶コーヒー飲み続けるんだろうな。
「ねぇ、微糖じゃなくて、今度から缶コーヒー買う時はブラックにしてほしい。」
「なんで?」
「タダで頂いて悪いけどさ、微糖ばっかりは太りそう。」
「俺もたまに飲むからな…たまにブラック買うようにするよ。」
「たまに飲むのに、こんなにあるの?やばいって。」
大笑いする私。
甘い時間はないけど、彼との時間は楽しい。
缶コーヒーが全滅したころには、手を繋ぐ関係になりたいな。