第15話
「だって…レイナが剣で刺されて死にそうになったら…わぁぁぁぁん…」
恥ずかしさのあまりパニックになり、レイナに抱きつくセリカちゃん。レイナも何かを察して、バニーガルのうさ耳を避けながら、セリカちゃんの頭を撫でる。
「わかったから。大丈夫だよ。恥ずかしくないよ。うん。可愛いし、綺麗だよ!」
「ほ、本当…!?」
「あっ、輪っか浮いてるんだね…」
ぶすっとした表情のセリカちゃんは、変身を解くと袖で涙を拭った。
「頑張ったよ。マナポ…」
そう、俺は静かに別れの挨拶もなしに消えていたのだ。消えてないけど…。
「マナポ!! 何処!! そういう冗談は嫌いよ!! 出て来て!! 戻って来て!!」
(全く、セリカちゃんは、泣いてばかりだ。本当に大丈夫かな?)
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※ここからはセリカちゃん視点です。
マナポがいなくなってからも、毎日エレリックス隊長とレイナが見守る中、変身フォームの練習を欠かさず行いセリカは、少し大人っぽい顔になっていた。そして、変身が解けてしまった後の一分間を耐えしのぐため、エレリックス隊長と剣の稽古を始めたが、こちらはまったく捗っていなかった。
今日も練習が終わり、専属のメイドに裸にされると、汗を拭き取られ、下着を履かせられていた。そんなときもレイナは近くで見ているのだが、最初は恥ずかしくて嫌だったのだけれど、「これも練習よ」というレイナの言葉通りに我慢していると、裸を見られても恥ずかしくなくなっていた。
お貴族様の衣装にも大分慣れ、レイナからも本物の貴族みたいだよと言われた。
新しく特注でベルトを作ってもらった。左にはショートソード、右には変身用のステッキがぶら下がっている。城塞内でも特別に騎士以外でも帯剣と変身が許可されていた。
「今日は天気も良いし、屋上のルーフテラスでお話しましょう!」
レイナは、セリカ手を引っ張ると廊下に出る。そして、二人の後には、今日もエレリックス隊長が護衛に付く。セリカ襲撃事件の調査が一向に進まない、この城塞の中で、信用できる人間は、エレリックス隊長にとって、ヘイツ子爵のみなのだから。
ルーフテラスへの階段を先に登りきったレイナが扉を開けると、セリカも勢い良くテラスに躍り出た。空高く登った太陽から降り注ぐ光を一瞬遮られたことに気が付き上空をみる。真っ直ぐに急降下してくる何者かがいた。
「危ない!! レイナ下がって!! ゆーしゃ、フォーム!!」
セリカがレイナを庇うように立ち、ベルトから変身用のステッキを取り出し、元気よく天に掲げる。
眩いばかりのピンクのハートのシャワーが降り注ぎ、変身のリズムに合わせて、テケテケテ・テ・テ・テン♪ テケテケテ・テ・テ・テン♪ と、小馬鹿にしたような明るく弾ける電子音が鳴り響く。笑顔で三回転するうちに、ピンクのモノキニ水着に衣装が変わり、足には白の夏用ロングブーツ、手には白のフィンガーレスのウェディンググローブが装備されると、可愛くジャンプし、着地と同時に前かがみでウィンク!! ジャンプやウィンクに合わせ効果音と光り輝くエフェクト。そして、最後は、目を閉じながら回って、決めポーズ!!