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第2話 異世界ライブ

 美少女の質問に思わず「はい」と言ってしまった俺は今何故かライブ会場にいた。

 何も説明を受けずに、走ってきたせいか息が少し苦しい。


「お兄さん本当に付いてきてくれてありがとう!実は本当は今日友達とライブに行く予定だったんだけど...その子が風邪を引いちゃって。だからさ一緒に来てくれる人を探してたんだ。その時にちょうどお兄さんぶつかったからこれは運命なんじゃないかって誘っちゃったよ!!」


 女の子はキラキラ笑顔しながらそう呟いた。

 普通の人だったら、こんな発言をする子に対して、不気味な印象を抱くだろう。

 だが、田村は違った。

 これまでの人生があまりにモテない悲惨なものを送っていので、その運命と言葉を聞いてドキドキとしていたのだ。


「いやそれにしても、本当にラッキーだったよ!!こんな親切な人に会えて。そういえば聞いてなかったけど、お兄さんもアヤの事好きなんだよね...?」


「__う、うーん、もちろん好きだよ。」


 賢明な皆さんはご察しの通り、もちろん俺はアヤなんて人間なんて知っているはずがない。(もっといえば俺が今どんな世界にいるかということすらも知らないがそれが今はどうでもいいだろう。)

 本来ならこの問いに対して俺は正直に知らないと言うべきだったかもしれない。

 だが、そんなことを俺ができるはずがない。

 ここで「知らない」そんな非情な返しをしてしまったら、この子は、興味のない人をライブに連れてきてしまい申し訳ないという罪悪感をもつかもしれない。

 そんなことになってみろ、この子gこんなにも楽しみにしていたライブのに、それが楽しめなくなってしまう...

 そして、そうなったら、俺は必ず自責の念で一生後悔するだろう。

 それを考えると、この子を傷つけないために今の自分の返答は正解のはずだ。


 男はそう考え、自分の返答に満足していた。


 皮肉にもこのようなところが、彼をモテなくしている。




「いやー、もう始まるね!!!」


 女の子はあまりにライブが始まるのが嬉しいのか、るんるんと体を動かしている。

 そしてそれに反応したかのように、突然大きな音楽が流れ出した。その音楽に合わせて、ステージの脇から黄色のひらひらの可愛らしい衣装を身につけており、ピンクのポニーテールの女の子が一人出てきた。


 彼女がアヤか。


 丁度ステージの前から5番目にいるため、彼女の姿がくっきりと見える。

 年齢は20台前半といったところか。

 容姿に関しては、言葉で表現することは難しいが、とにかく可愛い女の子だった。

 自分の顔の半分もないような小顔に対し、大きなクリクリの瞳。日本人離れした高い鼻。あの派手な髪色さえ除けばお人形さんのような女の子といった表現が似合いだ。

 それに、その艶美的な容姿だけでなく、常に見せているあの笑顔から親近感をもち、美人などにありがちな近寄りがたいう印象を全くもたない。


「みなっさん、今日は来てくれてありがとうございます!早速ですが、一曲目聞いてください!」


 忙しない様子で、一曲目が始まった。

 POPな感じの曲がライブ会場全体に響き渡る。


 顔に似合わず、歌声は力強いんな。

 あまりのアヤの歌の上手さは田村は頭にあったモヤモヤを忘れ聞き入っていた。


 こんなアイドルとして、完璧な子がいるのか。

 まだ、ライブが始まって間もないにも関わらず、彼は直感的にそう感じている。

 現に、隣にいるライブに連れてきた女の子もうっとりとした顔で、曲を聞き、手拍子をしながらアヤ

 ーと大きな声で叫び楽しんでいる。

 むしろ狂乱しているという表現の方が適切なくらい楽しんでいる。

 彼女だけでなく、周りの客大きな声をあげたり、いわゆるヲタ芸というものなどして、ライブに夢中だ。


 確かに、彼女は容姿、歌共にパーフェクトで。誰からも愛されるだろう。

 だが、俺はそれとは対照に彼女の完璧すぎる容姿のせいか、この子に対して、何か不気味な印象を覚えた。


(本当に俺は捻くれているんだろうな。)

 自然と人を貶すようなことを思い浮かべてしまった、田村は珍しく反省をしていた。


 そうしているうちに、MCなどを挟み30分くらい経っていた。

 そのライブはというと、これまで田村が住んでいた世界であるものとなんら変わりないものであった。

 アヤが5曲歌い、その後、最近あった話をMCで語るそんなものだった。

 そのMCに関しても、最近新しいゲームを買ったが、ある面で挫折しているだったり、買い物にいって財布を忘れ、家に帰ったが家に帰った理由も忘れてそのまま寝てしまったなど、至って普通のものだった。

 ゲームの名前だけは聞き覚えのないものだったが、それ以外は何もおかようなところはなかった。


 (ここの世界は、人が空を飛ぶ以外元いた世界と同じ仕組みなのか。)


 田村は、これまで見たものが、今までいた世界と大きな違いがなかったためそのような考えを抱いた。


 この子に連れてこられここまで走ってきた道中、食材などを売る市場だったり、たくさんの子供が遊んでいた公園など前の世界でも見かける様な場所が多くあった。

 それに、スマホのような電子機器を持って、電話や写真を取っている人もいた。

 しかも、車も普通に道路を走ってたしな。


 このライブ会場だって自分が元いた世界とシステムは何も変わらない。

 入場の際にチケットを見せ、自分たちの決められた席に行き、ステージに出てきたアーティストを見る。

 このライブだって今のところ至って普通。

 今思い当たるだけでも、かなりのことがトラックに惹かれる前の世界に似ている。

 本当に俺は異世界に来たのか。

 でもトラックに轢かれた異世界に来るのは普通じゃないのか。


 ここに来た見たものを改めて思ちに、田村はだんだんと現在いる世界に対して疑問を持つようになった。


(もし、ここが異世界なら俺はいったなぜこの世界にいるんだろう。)


 そうやって色々と思索しているうちに彼は更に疑問を持ちはじめる。


 仮にここが異世界だったとして転生されたなら、何か特別な力だったり、前世で覚えた知識を使える場面があるのがセオリーだろう。

 もしくは、魔法師などによって召喚され、なんやかんやで王様にあったて、困っている我が国を救ってほしい、そんなことを言われて始まったりするんじゃないのか。

 なのに、今のところ俺は知らない女の子に連れられて、知らない世界でライブを見ているだけ。

 言うなれば、ただのオタクBとしてしか存在していない。

 それに、今のところ特別な力があるようには感じないし。

 もしかしたら、ここは異世界ではなく、自分が知らない間にどこか世界の知らないところに連れて来られたりたのかもしれない。


 田村がそうやって今いる場所に対して様々な考えを巡らせている中、突然周りから大きな歓声が上がった。

 思わず田村はステージの方に視線を向ける。

 すると、そこには人が空を飛んでいる信じられない光景があった。


 アヤが手から謎の透明の球体を出しているのだ。

 しかも、飛んでいた人同様、道具などを全く使っている様子はない。その姿からまるで、掌から少しずつ球を錬成しているかのようにまで見える。

 田村が唖然としているうちに、球のサイズは段々と大きくなっていて、気づけば直径2メートルほどにまでなっていた。

 人が中に入って遊ぶシャボン玉。あれくらい大きいサイズだ、。

 アヤはその球を空中へ投げると彼女の手か離れ、上へ上と上がっていき空中10メートルくらいの場所で止まった。側からみても、まるで割れる様子がない。

 それだけで終わレバまだよかった。

 だが、アヤは、田村のことをあざ笑うかのように、更に何球も球を手から出し、同様に空中へ上げ続けた。

 そして2,3分経った頃には、ステージの上には複数の球が浮かんでいた。


「___あれは何をしているんだ...?」


「えっ...お兄さん急にどうしたの?今から、アヤがシャボン飛行するからそれの準備してるだけじゃん。」


 あまりにぶっ飛んでいたので、咄嗟に隣にいた女の子に聞いてしまった。


「あっ、もしかしてシャボン飛行ライブで見るの初めて?そしたら、やっぱ生で見るとテレビで見たりするのとは迫力が違って感動するよ!よく見ててね!!」


 女の子はテンションを異様に上げながら早口でそう言う。



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