プロローグ
「今日も1日何もせずに終わった...」
半年前から始めたブログに今日もこれだけを打ち込んだ。
最初の方は、その日にあった些細な出来事を書いて頻繁に更新していた。いつかは有名ブロガーになって金を稼げるかもと淡い期待を持っていたが、最近は飽きてしまい毎日これだけしか書いていない。
本当はもっと、色々なことを書きたいという思いはあるが、ネタがないから何も書けない。
この何もないというのは、大袈裟な表現ではない。
何しろ俺はニートだからだ。
俺の名前は田村佑人25歳。
現在職なし、いわゆる、ニートとして生きている。
もちろん彼女は愚か、友達すらいない。
今ではこんなクズになっているが、ちょっっと前までは新卒で入った広告代理店で真面目に勤務していた。
入社する前はそこで定年まで働いてやると強く思っていた。
だが、現実とはなかなか思い通りにいかない。
入った企業が閻魔大王様も裸足で逃げ出すようなブラック企業であった、
最初の方こそ耐えていた俺も、一年半程働いた後、遂に心身共に限界を迎えその仕事を辞めた。
正直あの会社で働いていた頃は、地獄で生きていたと言えるような生活を送っていた。
まず、入社1日目から終電帰りをしたのである。
側から見たら異常ではあるが、今思えばあの会社にとってあれはまだまだ序の口でしかなかった。
圧倒的長時間の勤務は当たり前で、先輩の命令を絶対とする文化、同期とは仲良くするものではなく敵、そして与えられ目標に対しては死んでもコミットしろという命令。
正に典型的なブラック企業であった。
本当に辛い日々ではあったが、俺はそこで同時に多くのことを学んだ。
特に一番の学びとしては、人間三日寝ないと世界の景色が緑一色になるということだ。
そう生きていて必要でもないことを多く学んだんだ。
そんな阿鼻叫喚な生活を送っていた俺であるから、とりあえず自分のご褒美に少しの休みを与えてやろうと思った。だが、いつの間にかその少しの休みはどんどんと長くなりいつの間にか、このニート生活も二年目に突入していた。
(あの当時に比べたら、今は本当に暇だ。)
三日に一回くらいしか寝れていなかった生活と比べ、ニートになると毎日8時間以上寝れるということを最初は非常に喜んでいた。だが、今はその暇という時間を苦痛にさえも感じてしまう。贅沢な悩みだ。
だが、暇だからと言って、最近1日の中で何か生産的なことをしたかと考えると、趣味垢で作ったtmitterと言うSNSで呟くぐらいしかない。本当に暇だな....
グーー
自分の今の生活の嘆きに同調するかのようにお腹から音が響いた。
人間暇だと言えども、お腹は当然すく。
めんどくさい仕組みだなと毎回溜息をしたくなるが、生きるにはしょうがない。
時刻も丁度午前4時を過ぎた頃。
家には食べれるものが何もないし、仕方がないから何か買いに行くか。
そう思い、着替えるのも面倒くさがった俺は、スウェットのまま、イヤホンをはめ、コンビニへと向かった。
コンビニに向かう途中の横断歩道で、この時間には珍しく少し遠くの道路でトラックが走っている。
この時間に働いている人を見ると社畜時代の自分を思い出す。あのトラックの運ちゃに対し、事故しないように頑張れと心の中でエールを送り、丁度信号が青になったので横断歩道を渡リ始めた。
見ず知らずの人間を応援してやるなんて、自分は本当にいいやつだなとしみじみ思いながらゆっくりと横断歩道を渡っている中、ふと横を見るとトラックは近くまで来ていた。
結構はやいペースで走ってるな。そんなことを思いながら、再度顔を前に向け、歩き出した
だが、その直後
ドカン
大きな音を立てながら自分は宙に浮いていた。
地面に落ちるまでのその数秒で何があったか、瞬時に理解した。
自分はあのトラックに轢かれたのだ。そして、運ちゃんはそれに気づかずまだ前に突き進んでいる。恐らく居眠り運転なんだろう。そして、俺は死ぬのか。
人間は死ぬ前の数秒を人はとてつも長く感じるというが、彼はまさにそういう状況であった。
地面に着陸した、彼は目の前で流れている出血量を見て、自分が死ぬということも理解した。
これ全部俺の血かよ。
俺は死ぬんだな。
クソッ、こんなクソみたいな人生はこんなクソみたいな結末で終わるのかよ、薄れゆく意識の中で、人生を後悔しながら、俺は死んでいった。