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漫才「運転免許」

作者: とらじ

二人「どうもこんにちは。よろしくお願いします」


ツッコミ「突然ですけど、僕、車の免許を取りたいんですよ」


ボケ「教習所に通うんですか?」


ツッコミ「はい」


ボケ「大丈夫ですか? 試験、かなり難しいですよ?」


ツッコミ「いや、かなりと言うほどではないと思いますけど」


ボケ「だって、問題数が多いんですよ?」


ツッコミ「あー、確かに。〇✖問題が百問あって、そのうち90問以上に正解しないと合格になりませんからね」


ボケ「油断していると十回連続で89点を取ることになりますよ」


ツッコミ「それは悔しいですね! でも、さすがに十回連続はないでしょう」


ボケ「は?」


ツッコミ「十回連続で89点て。それは話を面白くするために盛っていますよ」


ボケ「じゃあ、貴方、僕が嘘をついているって言うんですか?」


ツッコミ「何ですか急に」


ボケ「あの悔しさと悲しさと恥ずかしさが入り混じった感情が嘘だと言うんですか!?」


ツッコミ「お前のことかよ!」


ボケ「そうですよ」


ツッコミ「よくもまあ、十回連続で89点を叩き出しましたね」


ボケ「おかげさまで通算成績890点ですよ」


ツッコミ「野球の成績みたいに言わなくていいんですよ。でも、何をそんなに間違えたんですか?」


ボケ「意地悪な問題が多いじゃないですか」


ツッコミ「ああ、引っかけ問題ってやつですね」


ボケ「僕みたいに心のピュアな人間は、どうしても引っかかってしまうんですよ」


ツッコミ「でも、何回も試験を受けていれば、同じような問題が出てくるでしょう?」


ボケ「何回でも引っかかってしまうんですよ」


ツッコミ「それは貴方が馬鹿だからじゃないですか?」


ボケ「そこまで言いますか? じゃあ、貴方に問題を出してもいいですか?」


ツッコミ「お、いいですよ」


ボケ「では、問題。〇か✖でお答えください。疲れていたので普段より慎重に運転した」


ツッコミ「あ、早速、引っかけ問題ですね。慎重に運転しているから〇かなと思ってしまうんですけど、違うんですよ。疲れている時は運転してはいけないんです。だから、答えは✖!」


ボケ「病院から父危篤の連絡があったのはついさっきのこと」


ツッコミ「え? 何? サイドストーリー?」


ボケ「夜勤明けで疲労はピークに達している。でも、急げば間に合うかもしれない。せめて、一言だけでも言葉を交わしたい。……だから、慎重に運転した」


ツッコミ「そんな緊急事態の話? 一般論じゃなくて?」


ボケ「〇か✖でお答えください」


ツッコミ「……それなら〇かなぁ」


ボケ「ブブー! 答えは✖。疲れている時は運転しては駄目なんです」


ツッコミ「ああ、やっぱりかぁ」


ボケ「ね? 心のピュアな人間は引っかかるでしょう?」


ツッコミ「引っかかりますねえ」


ボケ「もう一問行きましょう。父親の葬儀の帰り道」


ツッコミ「お父さん、死んじゃった。駄目だったかー」


ボケ「疲れてきたので、車を駐車して仮眠をとった」


ツッコミ「これは〇……いや、どこに駐車したんですか?」


ボケ「駐車してもよい場所ですね」


ツッコミ「それなら〇です」


ボケ「助手席では産気づいた妻が苦しんでいる」


ツッコミ「これにもサイドストーリーが?」


ボケ「助けを求めるように私の名前を呼んでいる」


ツッコミ「うわー、そうきたか。というか、その状況で仮眠を取れる奴っています? 人でなしですよね?」


ボケ「病院はもう目と鼻の先」


ツッコミ「それなら、頑張れよ。もうちょっとで着くんだから」


ボケ「だが、どうしても疲れているのだ!」


ツッコミ「力説かぁ。余程、疲れているんだなぁ」


ボケ「〇か✖でお答えください」


ツッコミ「心情的には絶対に✖なんですけど。でも、一問目のことを考えると答えは〇でしょう」


ボケ「ブブー! 答えは✖! 仮眠なんか取っている場合じゃありません!」


ツッコミ「ちょっと待って! さっきと違うじゃないですか。一問目の時は、疲れている時に運転してはいけないって言ったのに」


ボケ「いけませんよ」


ツッコミ「じゃあ、なんで✖なんですか」


ボケ「目と鼻の先なんだから、奥さんを担いで病院まで歩いて行けばいいんですよ」


ツッコミ「ああ、そっちかぁ! たしかに正論!」


ボケ「そもそも病院の駐車場に車を停めていますからね」


ツッコミ「駐車してもよい場所って駐車場かよ! じゃあ、着いてるじゃん! 駐車場に車を停めて、奥さんを放置して仮眠って、馬鹿か!」


ボケ「心のピュアな人間は引っかかるでしょう?」


ツッコミ「引っかかりますねえ」


ボケ「こんな問題が全部で百問!」


ツッコミ「百問全部こんな問題なんですか!? 逆によく89点も取れましたね!? 貴方の心、実は汚れているんじゃないですか?」


ボケ「そんなことはないですよ。だって、その教習所。誰も卒業できないつてクレームが殺到して潰れましたから」


ツッコミ「え?」


ボケ「十回連続で89点は、普通の教習所での話です」


ツッコミ「じゃあ、やっぱりお前が馬鹿なんだよ! もういいわ」


二人「ありがとうございました」

小説も書いているので、もし、よかったらそっちも読んでくれると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] サイドストーリーがなかなかカオスな状況ですね [気になる点] ツッコミがぼんやりしているのでメリハリに欠ける気がします
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