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31.黒幕

 プラトンの街に帰ってきて12日。

 今日はペルシア様と呼ばれる女王陛下も一緒に炭焼小屋に来ています。コレぞたおやかなご令嬢という印象は、既に記憶の彼方に消え去りました。


「ご存知ですか?人間、親指一つなくなるだけで、歩くことが困難になるんですよ。」


 誘拐犯の一人を尋問しているのは、楚々としたご令嬢の姿をした魔王だと言われても納得できます。微笑みが怖い。そもそも、レオが尋問するつもりだと思っていたのに、ペルシア様が行うことになった時点で察するべきだった。遅くともレオとお嬢様が残りの誘拐犯の見張りにつくと立候補した時点で気付くべきだった。


「それとも、寒くてお話しできないのかしら。では火を熾して差し上げましょうか。でも、ごめんなさいね。私、火属性の魔術は苦手で、うっかり火勢が強くなりすぎてしまっても許してくださいな。大丈夫ですわ。その時はロキさんが手足がなくなる前には消火してくれるでしょうから。」


 寒いのは、氷壁のせいではないと思う。怖い。怖すぎる。ごめん、誘拐犯のおっさん。俺に止める術はありません。縋るような眼をする前に、ゲロっちゃった方がいいと思う。この人は専門家なんだよ、きっと。だって、ペルシア様はただ喋ってるだけなのに、もうおっちゃんの心バキバキに折れてんだもん。


「お、俺は指示があったから、やっただけだ。俺のせいじゃねぇ。」


 いや、やったのはおっちゃん達でしょ。おっちゃん達のせいじゃん。なんていう突込みは心の中だけにしておきます。だって、ペルシア様の眼がなんかそう言ってる感じだから。ペルシア様は口も開いてないのに、おっちゃんに伝わってるのがありありとわかる。


「いや、俺等のせいだが、俺等が考えたわけじゃねぇ。わざわざ物価を調整してるってのに、こずるい手を使って、貧乏人たちに塩を卸してた塩問屋のせいなんだよ。もう十年以上も前から仕込んでるってのに、あいつらのせいで計画が進まねぇから、上がシビレを切らしちまったんだ。」


「貴方方のせいではあるけれど、そもそもの原因は別にあると、誘拐は原因のせいだと、そう仰りたいのですか?」


「そうなんだ、そうなんだよ。たかだか一介の平民が王家になんて逆らえるわけがねぇだろ。そうだろ?お、、、ごふっ。」


 口が滑らかに動き出したと思った途端、おっさんは事切れていた。


「魔術契約を結んでいたようですね。周到ですこと。ロキさん、氷壁をお願いできますか。次を当たります。」


 平然と宣うペルシア様に戦慄を覚えながら、おっさんの遺体が見えないように氷で一帯を覆う。ペルシア様と共にレオ達のところへ行くと、レオが熱いお茶を持って待っていた。


「順調のようだな。一息入れろ。俺は次を連れてこよう。」


 ペルシア様が何か言う前に事態を察したらしいレオが、他の誘拐犯のところに向かった。平然としているのは、慣れているということでしょうか?それとも常識外れの察しの良さか。それがあれば、ペルシア様の尋問に同席しなくて良かったのに。


 結局、経緯を聞き出すためにさらに3人が死んだ。

 また、黒幕と思しき情報も手に入った。ポイポス家の推測ではジュノー家の仕業とのことだったが、実際にはその分家である現王家によるものだったことが判った。ただ、ジュノー家の次男も一部噛んでいるいるらしく、それがより事態を複雑化させていた。


「現王はジュノー家の家長の兄に当たるんだが、対抗意識というか気位が高くてな。恐らく、王という最高権力を握ったはずなのに、弟の傀儡であることを苦々しく思っていたのだろう。ただ、それだけでは筆頭従家に手を出す動機としては弱いから、ポイポス家は王家によるものとは思っていなかったんだろうな。」


「次男のカルル様が関与しているのは、やはり後継問題のせいでしょうか?でも、この件は10年以上前から続いているのですよね?当時、カルル様は10歳過ぎるかどうかという御歳じゃありませんか。」


「恐らくカルルが手を出し始めたのは3年ほど前からだろう。ちょうど、問題が激化し出した頃だし、ちょうどその少し前に、ジュノー家の奥方、つまりポイポス侯爵の姉君が、男児を出産している。順当に考えれば、カスティーユだったか、その男児がジュノー家の継嗣となるだろう。長男のカミーユと次男のカルルは愛妾の子供だから、継承順位はその子供より下位となるからな。」


「つまり、カスティーユ様がお亡くなりになる、またはその後ろ盾となるポイポス家に問題があれば、カミーユ様やカルル様が継嗣となれる可能性が出てくる、と。」


 つまり、元々王様が弟へ嫌がらせをしていたところに、その弟の息子が権力欲しさに首を突っ込んできたと。なんて迷惑な。平民を巻き込むなよ。


「一応、言っておくが、こんなしょうもない理由でこんなことするのは、貴族とか関係ないからな。ただ、性根が腐ってるやつが権力を持つと、面倒なことになることの一例というだけだからな。」


 レオは察しは良いのに、フォローが下手だな。ただでさえ貴族への印象は地を這い続けているのに、さらに落ちたよ。





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