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29.傍目にはいつも通り

 プラトンの街に戻って10日。

 ペルシア様からの情報を頼りに、雪かきや魔獣退治をしながら街中や郊外をレオと2人で歩いて回る。


「レオは、なんで冒険者に登録したんだ?」

「最初は、単純に面白そうだったからだな。幼い頃は今よりも外に出る機会がなくて、退屈だったんだ。貴族らしい理由だろう?」


 普通の貴族はそもそも冒険者になんて登録しないと思う。レオとして接している時はどこにでもいる普通の冒険者と言われても信じてしまいそうな雰囲気で、貴族出身と言われても壁を感じることはない。


「レオは不思議だな。こうして話してると、あんまり貴族って感じがしない。」

「街中で貴族然としていても、何も得がないからな。ロキこそ、貴族に対しても態度が変わらないと聞いているぞ。」


 どこかの暇な貴族が聞いたら、嬉々として嫌味を言いに来そうな話は、断固として否定させてもらいます。お嬢様やレオハルト様はもちろん、サイラス様やカエデ様にだって神妙な態度で接しているはずである。確実にレオに対するモノとは別物であると力の限り物申したい。


「ロキは感情が面に出ない質なのだろうな。貴族は表情や雰囲気で相手の考えを推し図ろうとするのがクセになっているからな。考えを読めなくて小生意気に映るんだろう。」

「レオは貴族然としているときも、分かりやすいよね。」

「貴族然としいる時なんかあったか?、、、まぁ、あまり隠す意義を見出していないな。」

「んー。なんていうか、威厳みたいなのを感じる時がある。レオハルト様って感じに無意識に畏まっちゃう感じかな。」


 レオはよく判らんと首を捻っているが、多分、レオハルト様の周りの人間は理解してくれると思う。気安く話してはいるけど、皆、敬意が滲み出てるもんな。あの高飛車なお嬢様さえ、レオハルト様の言うことは聴くし。レオって感じの時はそこまでではないけど。


「他の王様候補もレオみたいなの?」

「他の王候補は、まぁ、どちらかと言えば、偉そうなヤツが多いな。ちなみに、俺はまだ王候補じゃないからな。」


 あと10年程で現王の退位は決まっており、そろそろ次期王を決める選王期が始まると言われている。次期王は候補の中から数年に亘って政策や武功を評価されてから選出される。サイラス様曰く、レオハルト様はほぼ確定しているのを本人が避けているんだとか。

 王様と言われてもピンと来ないが、少なくとも今学院にいる貴族達に比べると断然善政を敷いてくれそうな雰囲気ではある。話を聞いていると、基本的に理知的で合理的なので、目的を見失うことなく施政してくれそうな気がする。次いでに布石を打っておくような強かさも感じるし。ただ、適材を適所に配しているのを見ると、要所に的確な人材を登用することで腐敗を蔓延らせないようにしてくれそうではある。


「王だのなんだの言っているが、この国の王などただの飾りだぞ。」

「王様なのに?」

「この国に国政など無に等しい。この国は1つの国の名を冠しているものの、小国が集まった連合国だ。領によっては、王国法など無いに等しい。」


 この国は貴族の力が強い。法律の多くも貴族に圧倒的有利に制定されている。一方で領自体の法律もあり、プラトンではそういった法律を実質的に緩和するようなものもあった。国の方針から外れる法律も、国の行政が機能していないからこそのものなのだろう。


「もとは敵だからな。基本的に部族間の仲は悪い。南のラースのように、絶対的な王がいたり、思想の共通点があったり、多種多様な考えに対しての寛容さがあれば、また違ったのだろうが、、、」


 仮想敵国として教えられる大国は、おどろおどろしい眉唾ものの話に事欠かない。全てが嘘というわけではないだろうが、人とは異なる姿の亜人が多数住んでいるとされている。砂漠地帯という点も興味を唆られる。


「ロキも興味あるのか?」

「レオも?」

「そうだな。多彩な文化に、ソレを包含できる国の在り方、国民性、知れば知るほど、行ってみたくなる。まぁ、流石に立場上、国外までは行けないが。」

「ふーん。あ、話変わるけど、そろそろ家の方の雪下ろしに行きたいんだよね。」

「コレが一段落したら、俺も行こう。」


 華やかな容姿の男というだけで喜ぶ面々だが、約1名明らかに好意を持っている気がしている。若干、僅かに、本当に極僅かに怒鳴り声が抑えられているのだ。孤児院の子供全員一致の感想なので、極々僅か過ぎる変化ではあるが確実だろう。先を考えると会わせてやることが良い事なのか迷うところではあるが、ソレでも苦労してきた姉には少しでも喜んで欲しい。ソレを肴に全員が楽しめるし。


「ホント?この雪じゃ外に出るのも大変だから、姉ちゃん達も喜ぶよ。」


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