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28.オフィーリア=デラ=ヴェスタ

 オフィーリアは東部の荒野に領地を構えるヴェスタ家に生まれた。神力の強い人間を輩出するパラス家から嫁いだ祖母の影響か、オフィーリア自身もペルシアほどではないにしろ神力との相性が良いため、多少の念話や夢見ができた。おかげで兄のイーサンがペルシアに懸想していることも知っている。ペルシアの方も満更ではない様子だが、ペルシア自身の問題があるため、あえて意識しないようにしているように見える。分かりやす過ぎる反応だが、パラス家の面々とアストレア嬢は気付いていない。

 パラス家の面々は、夢見ができる人間が多いことも影響しているのか、悪意には敏感だが、善意や恋情に対しては鈍すぎるように思う。一方、オフィーリアは夢見ができるとは言っても、血の繋がりがある相手くらい近しい人間でなければ夢に入ることはできないので、家族の秘密を知ってしまうくらいである。おかげで、事件があったとしても今回のように連絡要員としてくらいしか能力を使う機会はない。本音を言えば、兄と一緒に魔獣の討伐でもしている方が楽しいのだが、脳筋と言われるので控えている。

 今日、軍の鍛錬場に足を向けたのも、別に筋肉が見たかったというわけではない。派閥関係なく、ご令嬢の噂話を収集するには、姦しい女性陣が集まる鍛錬場が最適だというだけである。決して筋肉目当てではない。


「オフィーリア様、見まして?今回も殿下が勝たれましたわ。」

「殿下も素敵ですけど、わたくしはやはりカミーユ様の方がかっこいいと思いますわ。」

「ジュノー家の方々は華々しい外見の方が多くて、選べませんわ。」

「でもやはり殿下の方が王選候補として有力だというお話をよく聞きますわよ。」

「それを言えば、カミーユ様だってジュノー家の利権拡大に大きく貢献なさっているとか。」

「でもご次男のカルル様とカミーユ様、どちらが王選候補かはまだ確定していらっしゃらないのでしょう?」

「それを言ったら、ジュノー家の相続権もですわ。」


 貴族女性の婚活は情報がすべてだ。如何に身分が高いか、財力があるか、権力があるかで相手を判断する。女性の語らいは虚実入り混じりつつも、他では手に入らない情報が話題にのぼる。


「王選候補に選ばれなかった方が継嗣となられるのではないの?」

「まだ確定ではないそうよ。王選候補は王選の時期的にお三方だけだけど、ご正室様がお産みになられたのは三男のカスティーユ様でしょう?ポイポス家との関係もありますし、継嗣はカスティーユ様ではないかというお声もあるようですわ。」

「カスティーユ様?」

「ええ。お身体の弱いご正室様のご静養先で暮らしていらっしゃるそうよ。確か、まだ5歳とかじゃなかったかしら。」

「確か5年前の5月にお生まれになったはずだから、まだ4歳のはずですわ。」


 4歳なら毎年服を新調する必要がある年だし、まだ産婆の記憶も残っている可能性もある。兄やティグリス様に話せば、ご静養先とやらが絞りやすいかもしれない。

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