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27.イーサン=デル=ヴェスタ

 シャイターン連合国は、もともと主神を同じくする部族が1つの国を興したのがはじまりだ。各部族が融和し、1つの国になるのが理想だったのだろうが、結局は部族の垣根はそのままに今に至っている。


 イーサン=デル=ヴェスタは、東部の荒野を領地に含む辺境伯家の長子として生を受けた。ヴェスタの領地は荒野の向こうにそびえ立つ霊峰から降りてくる魔獣との戦いが絶えない地で、領民全員が何らかの戦闘手段を持っている。


 そんなヴェスタ家の人間は、基本的に脳筋である。妹のオフィーリアなんかは一見細見な楚々とした外見を保ってはいるが、普通の貴族の男子より圧倒的に怪力である。いかに脳筋一家であろうが、女子が筋骨隆々では嫁の貰い手に困るということは理解できていたので、幼少期より交流のあったペルシア嬢を見習えと口を酸っぱくして言い聞かせていたら、若干外見詐欺な感じに仕上がった気がする。


 ヴェスタ家が主家と仰ぐオルクス家には、比較的歳の近いレオハルトを筆頭に3人の子供がいる。

 イーサン的にはレオハルトを主として仰いでしまっているが、実はレオハルトに家を継ぐ気はもちろん王になる気もないのではないかと思っている。理由も多分、面倒とかそんなものだと思っている。

 イーサンも同じく辺境伯家を継ぐのを面倒だと思っているのでなんとなく共感できるのだが、多分、イーサン以外には同意してくれる人間はいないだろう。レオハルトの親も弟妹もレオハルトが継ぐもの、王になって然るべきと信じて疑っていない。実際、王になっても名君と呼ばれるに足るとも思うが、本人にヤル気はないと思う。


 そんなレオハルトがペルシア嬢達とプラトンに戻って8日。あちらで動きがあったと連絡がきた。

 王都周辺では特に目立った動きはないが、ジュノー家関連の商家は例年よりも焦りが見える気はする。もともと塩を特産とするジュノー家は思うように内陸に販路を広げられずに苛立っていたが、ここ数年後継争いが激化していることが影響しているようだ。おかげで商人の口が軽くなっていて、ポイポス家から嫁いだ奥方が幽閉されているだろう場所も当たりがつき始めた。ティグリスから来ていた情報とも合致することを考えるとかなり確率は高いだろう。


 ポイポス家の案件自体は今年が山場だろうが、イーサンにとってはそのあとが楽しみでならない。

 イーサンは3年ほど前にプラトンを訪れた際に、レオハルトに劇的な出逢いがあったとにらんでいる。恐らくは初恋だと予想しているのだが、帰ってきたらロキ辺りに訊いてみるのが良いかもしれない。

 一般的に、色恋沙汰は女性の方が察するというが、イーサンの周りの女子にそれを求めてはならないことは経験的に知っていた。妹のオフィーリアはもちろん、ペルシア嬢もアストレア嬢も基本的に脳筋なので、世の一般女性とはどこかずれていた。オフィーリアとペルシア嬢は他の女性陣から話を聞くことで誤魔化しているようだが、アストレア嬢は隠せてもいない。

 ちなみに男性陣はもっとひどい。レオハルトの初恋を察しているのがイーサンだけという状況を思うと、「脳筋はお前らだ」と声を大にして言ってやりたい。


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