21.数え間違えかなぁ
プラトンの街に戻ってきて5日。
今日は休暇ということで、久しぶりに1人で外に出てみた。外は相変わらず雪だらけで、陽も出ていない。なのに、眩しい。
そんな中、黒いシミのように人影がポツンと見えた。
自分が歩く少し前方の雪だけを融かし、削りながら進んでいるため、いつもとは若干歩き方が違う。しかし、ここ数日で一気に見慣れた後ろ姿だ。
「レオ、どこ行くの?」
学院では、貴族としての風格のようなものが滲み出ていたが、冒険者の格好をすると途端に貴族感が薄まる。泰然としているので、やはり独特の風格はあるのだが、愛称で呼び捨てるのには簡単に慣れた。当初は絶対に無理だと思っていたのだが、慣れって凄い。
「買い出しだ。そういうロキはどこに行くんだ?」
「家。」
昔の孤児院仲間が寄り集まる家は、街の中心部にある。かつてはこの街にも教会が運営する孤児院と呼ばれる施設があった。それがなくなった今は、孤児達が寄り集まってただ暮らしている。
「孤児院か?」
「そんなもんかな。ま、いいや。手伝うよ、荷物持ち。」
「いや、帰省を優先させてくれ。いきなりコチラの事情に巻き込んだ手前で言うのはおこがましいが、この時期、そちらも大変だろう。」
「まぁ、こっちは毎年のことだから。」
「、、、では、私も一緒に行っても良いか?その後、荷物持ちを頼む。」
相変わらず、貴族なのによく気が利く人だ。買い出しだって、普通は使用人の仕事なのに、率先してやってくれる。
お嬢様やペルシア様も変わった人ではあるが、気が利くわけではない。どちらかというと、我が道を行く人達だ。
「別に、私も気が利くというわけではないが。買い出しは、楽しんでいるのもある。」
「考えてたこと、なんで判るんですか?」
「ロキ。お前は結構、感情が目に出るんだよ。その布は巻いていて正解だな。」
目深に幅広の布で覆っているのは、確かに人の目を気にしてのことだ。
「そっか。身長低いから、あんま意味なくないか?とか思ってたけど、一応、役立ってたんだ。」
「ん?身長が低いことを気にしているのか?まぁ、まだ成長期というヤツだし、伸びるさ。多分。」
「伸びる。で終わってくれていいんじゃないの?普通。」
「いや、13歳には見えなくてな。10歳だと言われても違和感がないと流石に、なぁ?」
孤児の中には、いつ生まれたのか定かではないものが大勢いる。物心付く前に親と死別したり捨てられればもちろんだが、時には親自身が子供の年も生まれ月も把握していないことがある。教会に戸籍を届け出ていないことも往々にしてあることなので、皆、大体で数えている。そうなると、1、2歳は誤差範囲内だ。一般庶民だと途中で数え間違えることもよくあることなので、婚姻届を出しに行って初めて間違えていたことに気付くこともある。
「10歳だとしたら、それはそれで面倒なことになるがな。貴族法では、12歳までは養子縁組が可能だ。」
今更貴族とか無理。
性格が悪い方々ともちょっと変な方々とも、使用人くらいの適度な距離感が1番楽なんです。
レオとは普通に話せるけど、多分、レオハルト様に戻れば無理だから。「自分は普通だ」みたいな顔してるけど、アンタも十分変だから。




