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18.常識はどこへ?

 プラトンの街に戻ってきて3日。

 今日も朝から雪かきをしている。毎年恒例なので、特に驚くようなコトもない。あるわけがない。

 そう思っていた時間はあまりにも短かった。


 雪は熱で融ける。

 融けて水になれば、歩くのに支障はない。

 水は寒気で凍りつく。


 常識である。


 だからと言って、振り続ける雪を溶かそうとは誰も思わない。


 しかし、ココにいらっしゃるのは常識が一般庶民とは遥かにかけ離れたお貴族様である。しかも明らかにお貴族様の常識からも斜め上に突き抜けてしまった方々である。付き合いは短いが、アレが貴族の常識から外れているのは察せられた。


「ペルシア様ぁ。行きますわよー。」

「どうぞぉ。コチラは準備できましたわぁ。」


 お嬢様の手から、幼児くらいの大きさの火球が放たれた。火球が放たれた先にはペルシア様が佇んでいる。


「面白いくらいに、あっさりいくなぁ。」

「もう、こちらの通りはほぼ終わりですわ。」


 お嬢様とペルシア様は本来、雪かきはしない予定だったのだが、お嬢様が「暇ですわ」とレオハルト様に訴えたところ、魔法で雪かきならぬ融雪を提案されたのだ。


「やはり結界を所々孔を開けた方が保つな。長方体ではなく、円柱、否、長球だともっと耐久性が高くなるのではないか?ロキ。どう思う?」


 アレ、ならぬレオハルト様が問うてきた。無視しても良いかな。


「なんだ。まだ不貞腐れてるのか?」

「別に。」

「しかし、意外だったな。それほどまでにくだけてくれるのであれば、もっと早くに明かしておけば良かったか。」


 今朝、雪かきを始めると、ガラの悪い男が数人、レオハルト様に話し掛けてきた。


「おう。見ない顔がいるじゃねぇか。」

「雪塩草を採りに行くつもりなんだが、何か変わったことはあるか?」

「オッサン、久しぶり。あ、この人達、オレの知り合いなんだ。」

「お、早速仲良くなったのか?」

「何、言って」

「同じ学院に通っていることを知ってな。ココでは声を掛ける空きもなかったからな。」

「確かになぁ。しょっちゅうココにいる俺等ならまだしも、あれは難しいよな。」

「ロキはいっつも動き回ってるからな。」

「チョロチョロ、小動物みたいだよな。」

「小動物?!ってか、え?知り合い??」

「あ?」

「知り合いも何も、なぁ?」

「何年も前からしょっちゅうココに来てるぜ?」

「まぁ、サイラスが一緒じゃないのは珍しいな。」

「今回はイーサンもいねぇのか?」


 確かに、レオハルト様は会ったことがあるとは言っていた。A級冒険者ということは、実力はもちろん、それなりに実績を積んでいるということでもある。

 でも、だからと言って、ガラの悪いオッサンと普通に馴染む貴族っておかしいだろう。オッサン達も貴族と知っている感じだけど、オッサン達は大の貴族嫌いだろう。いっつも貴族のえげつない話をしていて、オレにも注意を促してただろう。


「ま、レオと一緒にいるなら、心配ねぇな。」

「学院に連れて行かれたって聞いて、心配してたんだぜ。」

「もう、心配されるほど、子供じゃねぇよ。」

「子供じゃないとか言ってるウチは子供ってことだ。」

「チビだしな。」

「違いねぇ。」


 オッサン達に混じって、レオハルト様もさり気なく子供呼ばわりしているが、アンタもだろうと言ってやりたい。

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