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15.動き出す計画

 お嬢様の従者になって24日。

 つい3日前に使ったばかりの移動魔法陣で学院のあるプラトンに戻ってきた。学院には戻らず、レオハルト様が借りているという家で朝食を頂いている。ちなみに、作ったのはレオハルト様である。つまり、レオハルト様も一緒にプラトンに戻ってきている。正確には、お嬢様とレオハルト様、ペルシア様、そしてペルシア様の侍女であるカエデ様の4人と一緒に。


「さて、全員、いろいろと訊きたいことがたっぷりあるだろうが、1人1人聞いていると面倒なんで、取り敢えず最初から説明するぞ。」


 レオハルト様曰く、プラトンを含む一帯はポイポス家の領地であり、この領地から王都に上げられる収支報告書に不明瞭な点が見つかったらしい。ここまではアレース侯爵にも説明してもらった内容だ。


「不明瞭な点というのが、他領の報告書に記載のあるポイポス領との収支とポイポス領の報告書とで微妙な差があったり、収穫高が近年目減りしていたりと細かなことなんだが、実際には収穫量は特に減少しているというわけではない。」


 明らかに数字がおかしいのに、何故捕まらないのか。答えは簡単で、ポイポス家がとっても偉いお家柄だから。これだからお貴族様は、、、と言ってしまうと、レオハルト様達もになってしまうのでそろそろ一括にするのはやめなきゃだな。


「ロキにも少し街の様子を調べてもらったが、小麦粉の生産量自体は目減りどころか増加している。しかし、街では小麦粉の卸量が調整され、価格は据え置きのようだ。では、この小麦粉はどこにいったのか?それに、塩等の調味料は卸量自体が制限され、価格も高止まりしているようだ。」


「何度お聞きしても、ナルシス叔父様達が領民を苦しめるようなことをなさるとは思えませんわ。お父様もナルシス叔父様達と連絡をとってはならないと仰るし。」


 「ナルシス叔父様って誰ですか?」って小声でカエデ様の顔を窺うも、流石に生粋の侍女様は表情を動かすことなく空気のようになられていました。


「そもそもこの話はポイポス卿からの密告によるものだ。ポイポス卿はジュノー家によるものだと考えているようだ。」

「なるほど。だから、ポイポス家は動けないんですのね。」


「ロキは初耳だろうが、ポイポス家の当主の弟とアレース侯爵は親友と言っても差し支えないほど仲が良い。もちろんポイポス家当主とも。ただ、ポイポス家の主家とオルクス家の仲が劇的に悪くてな。表立って友誼を示せないのだ。」

「ジュノー家には、ポイポス家御当主の姉君が御嫁入りされていますから、強く出れないのですわ。」

「あと恐らく、リーシア様もですわ。御息女のリーシア様が神殿に入られていることにはなっておりますが、実は行方が分からなくなっておりますの。御当主はリーシア様も拐かされたとお考えなのではないかしら。」


 ただの脱税と思ってたら、なんかすごい犯罪な感じがしてきたんですが。聞かなかったことにして、逃げていいですか?レオハルト様が作られたフワフワのチーズオムレツを食べたら。


「そういう訳で、王都はアレース侯爵とサイラス達とイーサン、オフィーリア嬢が、我々はこの街を中心に真犯人を突き止める。雪で孤立する今は相手に情報が届き難い上に、ティグリス達とイーサンがその辺りの妨害工作もしてくれる。逆を言えば、この時期以外は大きく動けんだろう。」


 お嬢様の連れ出し方が突飛なように見えただけで、実はめっちゃ計画的だったのようです。だって、ティグリス様達が陸路で王都に向かってる理由がきっと、レオハルト様が仰る妨害工作のためだったんだ。


「学院入学からコツコツと情報網は各方面に広げてると仰ってましたから、妨害は問題ないと思いますわ。ただ、ジュノー家に囚われていらっしゃる姉君と御息女がどうされているか、ですわね。」

「最終的にはソコも解決してからになるだろうが、先ずは本当にジュノー家が黒幕かを突き詰めてからだな。」


 まさかのティグリス様の入学さえも計画の一部だったとは。この計画って何年目なんだろ。


「ちなみに、ポイポス卿が調査しだしたのが10年前。コチラに話がきたのが7年前だ。ただリーシア嬢の行方が分からなくなって、慎重に動かざるを得なくなってしまった。」


 相変わらずレオハルト様の察する力が凄まじい。疑問に思ったら、即解説が入ってくる。



「ロキ。お前、アタマに布を巻いてない時は、顔に書いてあるのが丸分かりだからな。」


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