11.気にするの、ソコなの?
お嬢様の従者になって21日。
今日から3ヶ月の長期休暇です。ちなみに、試験結果は1週間後に保護者宛で郵送されるらしい。プラトン一帯は雪に埋もれると言っても過言じゃないくらいに雪が積もる上に、これから貴族の社交期間とからしく、学院の運営がいろんな意味で難しいかららしい。
そういう訳で、プラトンの街から初めて出ます。超絶にお高いと有名な移動魔法陣を使って王都に向かいます。
「ロキ、ソワソワし過ぎ。」
「ロキさんはこの私の従者ですのよ。もっと落ち着いた行動を心掛けて下さい。」
移動魔法陣施設に向かう学院所有の大型馬車には、同じ派閥の男女及びその使用人が共に乗り込んでいた。サイラス様やレオハルト様はもちろん、イーサン様やユリシス様、お茶会でご紹介頂いたイーサン様の妹御でもあるオフィーリア様と侍女のフィオナ様、そしてティグリス様の妹御であるペルシア様とその侍女であるカエデ様の10名だ。ティグリス様主従はいない。なんでも遺跡巡りが趣味らしく、王都への帰路にある遺跡を巡ってくるらしい。遺跡の周りは普通、整備された道もなければ治安も良いわけではない。しかもこの時期は護衛を引き受けてくれそうな傭兵や冒険者は南部ヘ移動してしまっているのに、確実に二人旅なのに誰も心配している気配がない。
「あら、もしかして、お兄様達を心配して下さっているのかしら。」
「どちらかと言えば、移動魔法陣にソワソワしているのでは?」
「えー?王都にじゃない??」
「、、、全部です。それに何故、こんな大人数なんですか?」
「だって、お兄様達は今更ですもの。毎年のことなので、気になさらないで下さいな。」
2人は5年生だから、5回目ということだろうか。
「大人数なのは、移動魔法陣の待ち時間短縮のためよ。レオハルト様やアストレア様ならまだしも、私達程度の爵位では数時間待ちもざらだもの。どうせ学院の馬車は大型なのだし、1つで帰った方が待たなくて良いのよね。」
「そうですねぇ。レオハルト様が学院にいらっしゃらなければ、私もお兄様達にご同道させて頂こうかと思いましたもの。」
サラッと仰っていらっしゃいますが、世間知らずなだけだと思いたい。この時期のプラトン周辺は、熟練の冒険者達でさえかなりキツイと言われている。街を出れば、積雪と飢えた魔獣の両方が待ち構えている。つまり、並々ならぬ戦闘力と体力はもちろん、生存技術と運が必要なのだ。快活そうなオフィーリア様ならまだしも、おっとり美人のペルシア様には理想のお嬢様像でいて欲しい。
「従者と別の馬車にしてしまうと、転移先で待たねばならないからな。レオハルト様々だ。」
確かレオハルト様が主人で皆さんは従者みたいな関係性だと教わったのですが、主従の定義がおかしい気がする。
「ちなみに、皆が同じ馬車で移動したのは、私達のためというのもあるのよ。流石に男女で1つの馬車に乗るわけにいかないでしょう。」
皆さんと別れて侯爵家の馬車に乗り込む際にアストレア様が教えて下さった。
そこを気にするなら、女子寮で同室だということの方を気にして下さい。




