10.女の人、怖い
お嬢様の従者になって、20日。
試験も終わり、あとは結果を待つばかりとなった。
試験に関しては、特に問題なく解けたと思っているが、筆記試験は他の人がどの程度できるのか判らないので、自分の出来が良いのか悪いのか判断がつかない。
実技試験は、取り敢えず、お嬢様からお褒めの言葉とお説教とを頂いた。何故褒められる出来だったのに、怒られたのかは解らない。
従者教育の方は、何が従者教育になっているのかは判らないが、少しずつ貴族の派閥に関する知識は増えてきたと感じている。例えば、お嬢様行くお茶会にも種類があることが解った。一つは、同じ派閥のお嬢様方とのお茶会。最中は様々だが、基本的には穏やかな雰囲気で終わることの多いお茶会である。もう一つは、関係が良好な派閥の方々がいらっしゃるお茶会で、基本的に終始穏やかな雰囲気のお茶会だ。サイラス様のことを教わったのもこのお茶会でだ。最後の一つは、敵対派閥の方々がいらっしゃるお茶会である。従者になってから一度だけあったが、侍女達までピリピリしていて、全員が臨戦態勢と言っても過言ではないほど、緊迫していた。もう二度と行きたくない。サイラス様に同じ派閥の侍女さんを紹介して下さっていたので、立ち振る舞いもフォローしてもらえたが、それでも首がすぼまりそうになるのは仕方がないと思う。女の人、怖い。
レオハルト様曰く、貴族の方々は会話と経済で戦っているらしく、お茶会は女性の戦場なのだそうだ。何気なく話す嫌味と噂話から情報収集や情報操作しているらしい。情報収集はまだ解るけど、操作ってナニさ。こわっ。
果物屋の親仁も言っていた。
「女の噂話は怖いんだぞ。ちょっとした浮気がバレた次の日には、いつどこで会ってたか、何回会ってたかとか、見張られてたのかってくらい事細かに知られてる上に、なんかしょっちゅう浮気してるダメ亭主みたいに尾ヒレやら胸ビレやらがついて、ソレ誰だよって言いたくなるくらい別の話になってんだ。」
噂話でいつの間にか犯罪者にされてたら、どうしよう。お嬢様の従者にならなかったら、いきなり推定有罪とか言われて、お貴族様権限で捕まえられてたかも。怖過ぎ。
ちなみに、同じ派閥の学院に通っている方々は、基本的にはお嬢様と仲が良い人が多いらしい。最近はお茶会中のお嬢様にも注意が向くようになったが、確かにお嬢様がよく感情を面に出している気がする。一方他の方々は、小さな妹でも見るかのように、微笑まれている。なんとなく、お嬢様の派閥内での立ち位置が察せられた。




