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1話【弱肉強食in学校】

今日も相変わらずつまらない一日。



二回目の目覚ましで無事ベットからの脱出に成功、簡単な身支度をして家を出る。昨晩からの雨は未だ止む気がないらしく、制服の肩を濡らされて気分が悪かった。現代の技術とは驚くほど進歩しているくせに、「絶対に雨に濡れない傘」かなんかを作ることもままならないのか。お喋りできるロボットなんて作らなくてもいいから、まずはこの、誰もが知っているであろう気持ち悪さを何とかしてほしい。


こんな天気の悪い日は、死体の一つや二つでも通学路に落ちていないかと幾分か期待を胸にするも、人間どころかハエの死骸すらお目にかかれない。(決して走馬に死体を観察する趣味はないが)そんなハプニングでもあれば、雨にこの身を苛立たせ新たな脳内論文の筆を取る必要もなくなるってものだ。



ーーそんなことを考えているうちに学校。特別誰と挨拶を交わすこともなく、自分の席へ着く。

これでも頭は切れるので、勉強には特別困らない。(困るような問題が出てくれたほうが暇が潰れるのに)



最も困るのは休み時間だ。教室で一人ずーーーーーーっっと、読書。

走馬自身、孤立していることを恥ずかしく思ってなどはいないのだが、兎にも角にも暇で仕方ない。まぁこんなひねくれた性分だし、今日の暇つぶしに持ってきた本は『キュン死に注意!! イケメンだらけの学園、恋に溺れる私はマーメイド・・・♡』の煌びやかな帯が付いたノベルだし。そりゃできないよね、友達。


クラスメートから距離を置かれている理由は分かっている。にもかかわらず状況を打開しようとしないのは、率直に言うと「この学校の奴ら全員つまらないから」である。男子はいかにも低脳そうな不良か、それに目をつけられぬよう必死に身を隠す草食動物。女子の大体はその低脳どもにきゃあきゃあ言うか、乱暴だわと陰口を叩くか、はたまた同性への陰口を叩くか……。そのどれにも当てはまらない、いわゆる地味子ちゃんという奴も結構いる。漫画とかで、実は可愛いヒロインだったりするタイプ。


勇気を持って断言しよう。ブスはメガネを取ってもブスだ。








(ーーうわ、今日も懲りずにご出勤…)

走馬の本をめくる手が止まる。理由は扉の向こう、彼の学校生活をつまらなくしている要因の一つが、うるさく音を立ててやってきたためである。


「おー、今日は逃げねぇできちんと座ってんじゃん」


「お利口さーーん」



(低脳がいち、に、さんびき…)


「逃げるもなにも、昨日は僕が偶然席を立っている時に皆さんがいらしたんでしょう。いつも机にべったりの僕とすれ違いになるなんて、本当に運が悪い。むしろ誇るべきことかもしれませんね」


温度のない作り笑顔で返す。やはり、走馬のこの性格はあまり好かれるものでなく、餌をよこせとヨダレを垂らす低脳ザルに目をつけられないわけがなかった。だがそれに怯えることは、自分が草食動物に成り下がることを意味する。そんな情けないこと、己の信念が許すはずもなくー、その結果、入学早々不良に絡まれる日々である。


「てめぇ何調子乗ってんだよ」


それは男一人縮こまらせるのに充分な凄みを帯びた一言だった。が、走馬はお得意のスマイルを保ったまま














ーーーーーーーーーーーー教室を飛び出した。












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