第三話 数学教師は数学を(ニ)
「そもそも、『論理的』って何で判断する?」
「間違ったこと言ってないかどうかですかね…。」
いや、じゃあ間違ってるかどうかは何で判断するんだ?
「…何でしょう?」
「それを判断するために国があなた達に与えたものが必要条件と十分条件よ。」
この人どんだけその二つを信用してるんだろう
「そうね。例えば…『うちの宗教の信者は皆幸せです。幸せを掴むにはうちの宗教しかありません。』というのが論理的に間違ってるのは感覚的に分かるわね?」
「ええ。流石に。」
「では、どこが?」
「ええと…他の宗教で幸せを掴めるかは分からないからですかね。」
「そう。論理的にはね。本当にその宗教の信者が全員幸せになっていたとしても、他の宗教で幸せが掴めないかどうか分からないからよ。」
「幸せになる、が必要条件で、宗教に入る、が十分条件なんですね。」
「正確には少し違うかな。「その宗教の信者である」は「幸せである」を満たすための十分条件で、「幸せである」は「その宗教の信者である」の必要条件、といったところか。」
「なるほど」
「因みに作者は宗教勧誘には毎回この説教を垂れていたので嫌がられていたらしい。」
「最悪な上にやたらメタい発言しないでください。」
「まあでもさっきの話が根本的に間違っているかというとそうでも無いのよね。」
「どういうことですか?」
「また今度教えてあげるわ。今日は帰りなさい。」