挿話、というか少し解説
説明回です
読み飛ばしていただいても構いません
先に一日の流れ。というより、一ヶ月、一週間など時間の流れについて説明しようと思う。
あ。挨拶がまだだったな。
ごきげんよう、魔王だ。
さて……えぇ、とりあえずあっているかどうかの確認も兼ねて説明させてもらう。
まず、一日の時間は二十四時間ということになっている。
七日間で一週間という単位になり、五週間で一ヶ月になる。
十ヶ月で一年になる。
ここでややこしい日があり、月末に、月代りの日というものが一日存在する。
それが十ヶ月分で十日間。この十日間は原則としてすべての職業に休日が与えられている。
勇者曰く「ホワイトな一日」らしい。どういう意味なのだろうな。
えぇ……で、年末に二日間、年始に二日間の年代りのための日があり、年代わりの日というものが一日、存在している。
世界的に年代わりの日は、昼の十二時に年代わりの祭りが開かれるのだという。
ぜひ、参加してみたいものだ。
……で、これで一年は三百六十五日ということになっているのだそうな。
一ヶ月、三十五日が十回で三百五十日。
月代り、一日が十回で十日。
年末年始で五日。
合計、三百六十五日。
これが日や暦についてだな。
えぇとだな……んー、あ。
私の城にはあったのだが、一般庶民には時計というものは普及していないらしい。
ひとつひとつをドワーフや協力的な魔族たちが技術を合わせて丁寧に作り上げているらしく、どの時計も全て同じ時間を示しているのだとか。
しかし、それを可能にするには莫大な費用と時間が必要になり、教会、上級貴族の家、王宮の限定された場所にしか配置されていないのだとか。
勇者は自分で作ったとかいう持ち運びできる小さな時計を持っている。
その一個を作るのに二ヶ月ほど掛かったそうだ。
だが、点在して設置してある時計と連動しているというわけではないらしく、たまに合わせてやらないとダメとのこと。
あ、教会などの一応は世界中に置かれているものは、公式の時計だとかで全て連動しているらしい。
昨今では、たまにニセモノが出まわることがあり問題になっている。
それで、時計の役割だが……。
教会なら決められた時間。
六時、九時、十二時、十五時、十八時、二十一時の計六回。鐘を鳴らさなければいけない。
貴族の家に置いてあるものなら時間になると内部の機構がなんかなって――なんともいえない、ボーン……ボーン……みたいな――音がなる。ちょっと苦手。
私の城に置いてあったものは何をしていても絶対に「カチッ」という音が聞こえるものだった。
勇者が見るところによると、すごく特殊なものなのだとか。詳しいことは聞いていないが、勇者はなにかわかっているような反応をしていたな。
まあ、というように「一日のどの時間なのか」ということを告げるための役割を果たしているのだ。
これのおかげで夜になると活性化する、危険な魔物に襲われる人々も減っている。
今では日々の活動において必要不可欠とも言えるほどに大切な存在なのだ。
学校にも設置してあり、その時計のおかげで時間割という一日の予定が決められている。
九時の鐘から授業が開始され、五十分ごとに十分休憩があり、それが一日五回ある。
午前に三時間、午後に二時間。
十二時の鐘から一時間は昼食のための時間で、十三時から午後の授業という具合だ。
午後の授業が終われば、あとは解散。
家や学校の寮に帰る者もいれば、町で買い物にいく者もいる。
そして希望した者はそれ以降の「特別授業」という項目を受けられるそうだ。
基本的に希望者は少なく、その者たちを集め、希望者全員で授業をうけるのだという。
えーと、時間に関することはこれくらいだな。
学校については、またいつか話すことになるだろう。
金銭的なことに関しては、通貨の種類と用途を知っておけば問題ない。
今まで使ったことはないが、そのことについては前から知っているから確認程度だな。
種類は低い順に鉄、銅、黄銅、銀、金、ミスリルがある。
鉄貨が一、銅貨が十、黄銅貨が百、銀貨が千、金貨が一万、ミスリル貨が十万と言った具合だ。
これが取引に使われるもので、これの足し引き掛け割りができれば十分なのだと。
で、まあこの程度で終わってしまうほど……。
えーと、少し取引についての話をしよう。
あー、人と商人の取引は基本的に金と品だ。
しかし、商人や商会同士の取引では基本的には物々交換になるとか。
貿易商や貿易を兼ねているような行商人が持ってきた商品を、持ってこられた町の商会や商人が利益になると思えばお金で買い取る代わりに他の街で売れそうなものを渡す。
なにやら貿易商やそれを兼ねている行商人は元からある程度のお金を所持しているようで、求めているものははじめからお金ではないらしい。
本当に困ったら、商談の時に金銭で買い取ってくれないか言うそうだ。
ある特定の商会に所属している商人、行商人は冒険者ギルドに所属する冒険者たちと同じように“庇護下”に入る。
ある程度の問題ごとは面倒を見てくれるらしく、大抵の商人は商会に所属するようになるのだという。
そういえばここ最近、王都ではどこに所属しているかわからない行商人風の男を見るという噂があるらしいな。まあ、いいか。
よし、あれだ、取引に限らない様々な話をするとしよう。
題を決めてあれこれ言うのは私には早過ぎる。とりあえず流れでどんどん話していくぞ。
さっき冒険者ギルドという言葉が出てきたな。それについて言っておこうではないか。
冒険者ギルドというのは、ある意味では一種の国だ。
各国家、商会、貿易会、賊、民衆……ありとあらゆるものに対して影響力を持つ。理由はその力だ。
騎士や近衛兵などの国側の兵士になる場合は対象外だが、冒険者というのは基本的に誰でもなれる。故に規模が大きくなるのだ。
あの街角で喋っているオクサマも冒険者、そこの露店で物を売っているオジサマも冒険者。商会の会長が冒険者として登録しているなんていうこともあるそうだ。
まあ、このように“冒険者”という人間は多すぎる。
そして、その規模の情報を統括し、掌握できている組織として確立している。となれば当然のように侮られないし、侮るわけにはいかなくなる。
しかも、こんな組織が世界中、いたるところからの需要がある。
ギルドハウスの建築はもはや暗黙の了解で義務化などなど。とまあ、これ以上言うこともないほどおかしい組織なのだ。これの説明はこれで終わり! ながい!
あーと、えー、ちなみに所属はその国に依存する。
例えば、別の国に行って、そこのギルドに挨拶しに行くとすると「ユロパス王国、王都ギルド所属のアランです」みたいな自己紹介になる。
まあ、勇者は勇者というだけで別の扱いになるだろうが、例だ、例。
それで、冒険者というのは、日雇いの職業のようなものだ。語弊があるがな。
なるには登録が必要で、前に適性がどうのという話があったと思うが、それを調べ測る。そして一人ひとりにあった、冒険者としてのスタイルを確立していくという。
登録すると、まずEランクから開始することになる。ランクについては低い順にFからAまである。Fというのは成人――十五歳だったか――に満たない者に与えられるランクだ。
Fランクで活動している間で、それなりの功績を残しているものに関しては成人すると同時にD以上になったり、なにかしらの優遇があったりするそうだ。
別に戦闘とかの武力を行使する依頼を達成することが功績ということになるわけではないらしい
薬草や地形に関して専門的な知識があるおかげで採集系の依頼のみで高ランクになっている者もいるし、全く戦えないのにAランクになっている者もいるんだと。
ただ、「見過ごせない」という理由だけでいろんな人助けをしている噂が広まっただけで、ギルドに行ったら突然昇格試験の話をされるということもあるそうだ。
世の中、武力だけが全てではないのだな。ま、私は頭をつかうことが苦手だが……。
そんな冒険者の仕事は、依頼が貼りだされている掲示板があり、そこにある様々な依頼を受けて完了させれば報酬が支払われるというものだ。
内容は、逃げ出してしまった猫の捜索から強大な魔物を倒してこいなど。先ほど話していた商人の護衛というものもある。薬草採集とかもひとつだな。
徴兵の依頼も存在する。緊急依頼として、ギルドとは別に国からの保障があり、報酬は高めになっている。
だが、やはりというか、命が関わると誰しもが渋るというものだ。故に、依頼を受けるものは馬鹿か余程、お金に困っているものくらいしかいないそうだ。
女神に依る和平協定というもののおかげで、戦争や諍いというものが起きないかと思っていれば、軽いものなら度々起こっているのだと。
世界大戦というものまで発展すれば女神やらなんやらが動くだろうが、本当にそんなことがあるのだろうか?
基本は依頼を達成させていけばランクが上がると思っていればいい。
とりあえず、これで話しておかなければいけないようなことはないだろう。
勇者に用意してもらった“かんぺ”というもののことも言い尽くしてしまったから、なにもいえん。
よし、では諸君、またどこかで会うとしよう。
よくあるような設定かと思います
次回から王都編というか、そういう感じになります
更新は不定期ということで長々とお待ちいただけたら嬉しいです
よろしければ、評価、ブックマーク、感想、指摘などおねがいします