二日目 2
「どんまい。明日には明日の風が吹くわ」
「……そっすね」
ああ、恥ずかしかった。
幸いだったのは、こちらのミスにあっちが気づかなかったことだろうか。これで向こうから鼻で笑われてたら、俺の修学旅行どころか、高校生活がゲームオーバーになってた気がする。
バスガイドさんは、笑いを堪えるように口元に手を添えながら、俺の肩に手を置いた。
「それも経験。まあ、たまにはこういうこともあるわ」
「せめて笑いを止めてから慰めてくれませんかねえ!」
「じゃあ、私と写真を撮りましょう」
「は?」
「どうしたの?男子高校生って、修学旅行で美人バスガイドと写真を撮るのが楽しみでたまらないんじゃないかしら」
「どんなピンポイントな願望なんだよ。まあ、別に俺でよければ一緒に撮りますけど……」
「今の言い方だと、私が君と一緒に写真が撮りたくて仕方ないみたいな感じになるのだけれど……まあ、いいわ。先生、カメラお願いします」
「ラジャー!」
おい、先生。あんたプライドはどこに置いてきた。今ちょっと涙が出そうだったぞ。見ろよ。後ろで委員長が悲しそうな顔してるじゃんかよ。
「普通に撮ってもつまらないわね」
「いや、普通がいいんですけど」
「あ、じゃあ君そこの椅子に座って」
「ああ、もうこの先の展開がわかったわ」
「sit down」
「何故英語!?ああ、もうわかりましたよ!」
休憩用の椅子に座ると、すかさずバスガイドさんが俺の膝の上に乗ってきた。
この柔らかさも甘い香りもだいぶ慣れてきたが、それでも緊張しちゃうあたり、さすが思春期男子。
そして、この異常な状況にクラスメートや他の観光客の視線が集まっていた。
こっち見なくていいよ!観光を楽しんで!
「じゃあ、撮りますよ~。はい、チーズ!」
意外とノリノリな先生に対して、苦笑いを向けると、シャッター音が鳴った。
その音は、修学旅行に黒歴史を刻んだ音のように思えたが、まあ今は置いておこう。
溜め息を吐くと、先生がバスガイドさんに駆け寄り、携帯の画面を見せた。
「どうですか?」
「うん。OKです。またお願いします」
「了解しました!」
いつから主従関係ができたの!?ねえ、先生弱味でも握られてんの!?
今度は我が担任が周りの視線を集めたので、何だか色々気にならなくなってきた。
それに……一風変わった思い出ができたと思えばいいかな。
「写真送るからアドレス交換しときましょ」
「いやいや、いきなりそんなイベント発生させないでくださいよ。もうちょいこう、余韻というか……」
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「よし、ツーショットとアドレスゲット」
「やっぱり大きくなったなぁ。昔は私の膝の上に乗ってたのに」




