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ここは一体どこなんだ。まるで分からない。

「で、どうだい。このこの様子は」

 父親が重低音の声で、でも慈愛のこもった声で言った。

「ええ、この子、さっきガッツポーズとかしていたんですよ。それのさっき、うんちもしたので、私がオムツに魔法をかけて、オムツ内のウンチを取り去ったのよ」

「ふっふっふ。そうか。それは良かった。お前さんの魔法は天下一品だからな」

「あら、あなたったら。ふふ」

 その夫婦の会話、掛け合いを見て、聞いて俺は、ますます頭がこんがらがってきた。

 何だよ。一体全体どういうことだよ。ここは日本じゃなかったのか? 母親は日本語が喋れる。父親も日本語が喋れる。でも、オムツは光ってうんちを、吸収、分解するし、それに父親は、まるでモンスターだ。これは、ここはいつの時代なんだ? 俺の前世から一体何年経ったらこんな世界になってしまうって言うんだ? それに魔法だって? あり得ない! 魔法なんてそんなのあり得るわけないよ。それとも、魔法というのが、科学的に解明されたのか? それともそれとも、ここは日本語が喋れるけど、もしかしたら異世界なのか? 分からん分からん。そして俺の正体も分からん。前世も分からん。生まれてきた意味も分からん。何だよこれ。日本語が喋れて、ちょっとした知識があって、無双出来るなんて考えていたけれど、無双なんて出来そうもないよ。夢想しか出来そうにないよ! もう、俺、生まれてまもないと思われるけれど、この世界でやっていく、生きて行く自信がないよ。喪失したよ。俺のプライドボロボロだよ。どうしてくれるんだよ。あああっ! あああ!!

 だけど、せっかくこの世界に生まれてきたんだ。まだ諦めるのは早い。だってもしかしたら俺の遺伝子、最強の可能性だって否定できないんだから。さっき父親が(父親とまだ受け入れがたいが)母親にお前の魔法は天下一品だ、みたいなことを言っていたし、父親だってすげえ鋼の筋肉をしている。と、いうことはその息子である俺の体にもこの両親の遺伝子が組み込まれているということに他ならないんだ。つまり、俺も、この父親と同じように鋼の強力な肉体をいずれ手にすることが出来るかもしれないし、母親のように魔法が使えるかもしれないという可能性だってあるのだ。まあ、まだ魔法が使えると言う話には疑問が残るけど。だから俺は諦めない。諦めてたまるか! やってやる。やってやるぞ。この世界で生きて生きて、生き抜いてやるぞ。

 俺はそう、固く決意するのであった。

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