俺、父親とご対面する。
「あら、可愛い。この子、ポーズをとっているわ」
母親が俺を見て笑った。
その時、廊下の奥から、またコツコツと足音が聞こえてきた。
って、コツコツというよりはドシドシという足音だった。
何だろうこの不安感。まるでこれから怪獣にでも襲われるのではないか、というような不安感が心を支配した。だけど俺はその不安を煽る支配者に打ち勝つべく、自分を鼓舞した。
案の定、その巨神兵のような足音は新生児室まで入って来て、俺の方へと近づいて来た。
「ええっ」
もう、どこか諦めモードというか、嫌な予感しかしなかった。そしてそれは的中した。
「おおお、何て可愛いんだ。我が息子よ」
まるで重戦車のような低い声で、俺の父親らしき人が言った。というか、我が息子と言ったので父親で間違いないだろう。つーか、誰だよこいつ。いや、何人だよこいつ。いや、何モンスターだよこいつ……。俺は父親を軽蔑するような冷たい目で見つめた。すると父親が、口ひげを生やした口をにっと釣り上げた。
「がっはっは。何て冷たい、強い意志を持った目をしているんだ。我が息子よ。こいつは将来有望な戦士になるぞ。がっはっは」
ドン引きした。
何だよ戦士って。いつの時代だよ。父親を見れば見るほど、心が急速に冷めていくのが分かった。っーか、どう見ても誰が見ても、父親はドワーフみたいな種族だった。
それにガタイが半端じゃなかった。何て形容したらいいのだろうか。ヘビーキューのボクサーを3、4人集めて、固めて、一つにして形作ったようなそんな体型をしていた。そして、ランニングシャツを着ていて、そこから金とも茶ともつかないような色の太い剛毛の毛が、わっさわっさと胸から、背中から、脇から溢れていて、それは剛毛のショータイムとでも言えそうな代物だった。いや、ショータイムというよりは、剛毛という生き物に寄生されたかのような、惨状だった。でもまあ、男らしいと言えば男らしくもあった。むしろ男らし過ぎて、キャラが濃すぎて、テレビで見るだけで十分な感じだった。しかも10年に一度でいいぐらいの感じだった。ごめん俺の新たな父さん。
俺は心の中で切に謝った。と思ったけど、実際はどこまで切に謝ったのかは、はなはだ疑問が残った。