俺、オムツにびっくりする。
ふと、俺は気づいた。
「えっ、えっ!?」
俺のオムツの中がやけに心地良い。それは先ほど、うんちをした時の解放感というのではなく、普通に快適なのだ。まるで、さきほどのうんちが消えてしまったかのように。
俺はオムツを見つめた。
ひ、光っている!?
目を疑った。
こんなオムツ今まで見たことがなかった。いや、もしかしたら俺が死んで生まれ変わる間に、新たな光オムツが新商品として開発されたのかもしれない。だって、死んでから生まれかわるまでの時間なんて俺は知らないし、もしかして死んでから、100年以上経っている可能性だって、もしかしたらあるかもしれないと俺は今、思ったからだ。でも100年経って、光るオムツっていうのは科学発展的に遅すぎる気がしたので、その考えは却下した。すると、母親が透明な板越しに独り言を言った。
「あら、この子、うんちをしたのね。ふふっ、でも大丈夫でちゅよ。すぐにオムツがウンチを吸収、分解してくれるでちゅよ。すぐに気持ち悪さがなくなるでちゅよ」
へっ?
俺は耳を疑った。どういうことだ? 何を言っているんだ? 俺の母親は。オムツがウンチを吸収、分解する……だって?
しかし、俺は身を持って体感していた。先ほどまでの、うんちの感触の不快感は消え失せ、まるでミントアイスを食べているかのような、8×4をスプレーしているかのような爽快感、フレッシュ感が俺の体、主にオムツを履いている下半身を包んでいたからだ。包み込んでいたからだ。これはまるで夏の運動直後に浴びるシャワーのような心地よさだった。って、俺どんだけ心地良さの比喩を並べているんだよ。
俺は苦笑した。だが、それほどまでに、驚いたというのが実の所の本音である。オムツがウンチを吸収、分解するなんて話は、そんなオムツは俺の知識の泉を探しても、全く見つからなかった。どんなに、知識の泉や、山や砂漠や海や空や宇宙を探してもどこにもそんな知識はなかった。埋もれていなかった。
つまり、どういうことだってばよ。俺の頭が混乱し、氾濫した。
もしかして、本当に俺が生まれ変わるにあたって、相当な時間が経過して、科学が発達したとでもいうのだろうか。俺は、分からなくなって首を横に大きく振った。そして、まず俺は今が何年なのかということが知りたくなった。俺の頭の中を探って、俺の覚えている最後の日付を思い出した。おぼろげながら浮かんできた日付は2016年の8月15日だった。つまり、俺が前世で生きていた時代はその時代だったのだ。だから今の西暦と日付が分れば、だいたい俺がいた前世の時代からどれだけの時間が経過したのかということが分かるということになる。だから、まずはそれを探らなければ。
俺は名探偵のように顎の下に親指と人差し指を添えて、考える仕草をした。俺って可愛いー。