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隠れ鬼

隠れ鬼・・・。それは、仲間との絆を深めるための魔法のような遊び・・・。

(隠れ鬼1)

 あたり一面まだ夏のように蝉が鳴いている。本当に秋になるのかって思うほどに五月蝿い(うるさい)。

 俺たちはその暑さを遮るかのように木陰側を歩いていた。

「あーあ!せっかくの休日が誰かさんのせいで台無しだー!」

俺は横目で隣の誰かさんをにらむ。もちろん隣は優香だ。

「いいじゃん!どーせ漫画読むほど暇だったんでしょ?」

そもそもなぜ俺たちは歩いているかというと・・・。

               ・

               ・

               ・

 あれから俺たち2人は見つめあいっていうかにらみあいっていうか無言の状態が続いていた。何て言えば帰ってもらえるとか考えたけど現に漫画を読んでるところ見られてるわけだし・・・。

「よーし、今日は雨だな。今日は家に引きこもろう!」

俺はそう言って窓を閉めようとした。が、窓に誰かの手が挟まった。

「痛いなぁ・・・。龍ちゃんには・・・こんなに晴れているのに・・・雨粒が・・・見えるのー?」

優香は痛そうに作り笑いをしている。このままいけば、あいつもあきらめるのかな?そう思うが、なんだか俺の良心が働いて思わず手の力が抜けてしまった。

「りゅーうーちゃん♪」

窓は開き優香が入ってきた。不法侵入!と言おうとしたが、もう遅い。ビシッ!ゴキ!グチャ!と音がする。明らかに最後のは打撃の効果音じゃないよな!?

「あらっ!?龍牙!?誰か友達が来てるの!?」

そのときお袋が戦闘終了後のリビングに入ってきた!

「ああああああああああ!?これは夢かしら!?龍牙が、龍牙が、女の子を連れて来ている!?」

いやいや、連れて来ているんじゃなくて勝手に入って来ただけだから!

「ねーねー、名前は何ていうの?龍牙とはどういう関係なの?」

お袋しつこいぞ!そんなのだいたい分かるだろ!?ただの悪友だよ!

「あっ!私は紅川 優香っていいます。龍牙くんの彼女です!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っは?

「かっ!?彼女??きゃー、お父さん!大変よ!龍牙にもやっと春がやってきたわ!」

「おい!!お前なんつーことしてくれるんだ!」

「えっ!?いいじゃん別に面白いから!まずいってわけじゃないんでしょ?私たちだって仲が悪いわけじゃないんだし。」

そう言ってのんきそうに口笛をふいている。

「いやいや、そういう問題じゃねぇよ!ああもうここにいるとお袋達が変な事を聞いてくる。逃げるぞ!」

「あれ!?今日は引きこもるんじゃなかったけ?」

確かにそういったがこうなりゃやけだ!

「お前の連れていきたいところに連れて行けー!」

そういって窓から外にいくために置いておいたサンダルを履いて我が家から逃げて行くのであった。

「ちょっと龍牙ー!どこ行くのー?彼女に変な事しちゃだめよー!」

全く・・・俺の家族って・・・!?


(隠れ鬼2)

 と言う訳で、俺たちは今この暑さの中をさまよい歩いてるわけだ。そもそもこいつはどこに連れて行こうとしているのかさえ分からない。一体どこに連れていくんだ?

「おい!優香!お前、俺をどこに連れていくきだ?」

俺がそう聞くと優香はでへっと笑って言った。

「あなたとあたいの恋が実る場所★」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ?

「お前!俺をおちょくるのもいい加減にしろー!」

「ありゃ?龍ちゃん、まさか本気にしちゃった!?あははは!まぁ、インドア派のお坊ちゃまだから仕方ないねー!」

「てめー!まだ言うか!まぁ、確かに俺はアウトドアよりインドア派なんだが・・・!でも、中で遊びたいときの方が多いだけで、外で遊ぶときもあるし外遊びの英雄ドラゴンとも呼ばれたんだぞ!」

優香はそれを聞くなり腹を抱えて笑い出した。まぁ、当然俺の言ったのは嘘である。昔から、室内遊び一筋だったからな!

「あは、あは、あははは!はぁはぁ、苦しい。英雄ドラゴン(笑)」

そこまでうけたのか?こいつのつぼが分からん。

「龍ちゃん!いや、英雄ドラゴン!そこまで言うのならあたいが今日決着をつけようじゃないか!」

ビシーン!!と優香が俺に指を指した!決着も何も俺はお前といつライバル的な関係になったんだよ!?

「そもそも、その決着はどこでするんだよ!?」

「龍ちゃん。今向かっている所が今日の勝負場所さ!」

勝負も何もお前と勝負したらいつか骨が折れちまうぜ。・・・いや、むしろいつか死ぬと言った方がいいかもしれん!

「ちっちっちっ!龍ちゃん!あたいの勝負を勘違いしてないかい?今日の勝負は特別だよ!」

「特別って何だよ!?相撲か!?」

ベシッと俺の頬にはりてが!!くっそー痛ってーなー!

「レディがそんな事すると思ってんの!?」

お前ならやりかねん!と言おうとしたが今度ははりてだけじゃすまないかもしれない・・・と思いやめた。

 そして、俺の家から約15分。優香が足を止めた。

「さあ!着いたよ!今日のバトルフィールド!月光寺(げっこうじ)だよ!」

そこには、たくさんの階段の上に古い大きなお寺が建っていた。


(隠れ鬼3)

辺りは木々に包まれ、木陰とせみの合唱の中に建っている、月光寺。俺と優香はそこの階段の150段目を登り終えた所だった。

「なー!優香!ここの階段何段あるんだ?」

俺は頭から流れ落ちてくる汗を手でぬぐいながら話す。

「さあー?300段くらいあるんじゃない?何、龍ちゃん。もう疲れちゃったのー?」

優香は何食わぬ顔をして言った。

「こ、この英雄ドラゴンが疲れわけねえだろ!」

そう言ったがもう話す気力すら残ってないのだ。暑いぜー!インドア派の俺には厳しいぜ!お家が恋しいよー!

 そう思ってるうちに階段を登り終えてた。俺、やればできるんだな!頑張ったぞ!俺!

「何自分に感動してんのー?」

優香が隣で呆れている。

「いいんだよ!多分この気持ちが分かるのはインドア派の仲間達だけだよ!みんなありがとう!」

「ぶーーー!龍牙くんがとうとうおかしくなっちゃたですー!わーい♪」

ん!?この声は、まさか!?と思い振り返る。そこにいたのはやはり、桜ちゃん!ついでに天音ちゃんも!てか、さっき桜ちゃん俺がおかしくなってるのに対して喜んでただろ!?でもなんでこの美少女姉妹が?

「ようこそ!私たちのお家へ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っへ?

「今、桜ちゃんは何て言った!?私たちの何?」

「ありー?言ってなかったけ!?桜と天音の家。つまり、木下家は月光寺に住んでるの!つまりお寺が家だよ!」

え~~!お寺が家って!すげーな色々と!

「んじゃあ!桜ちゃんと天音ちゃんのお父さんは・・・?」

「ぶーー!?お父さんは普通の会社員!お母さんは普通の主婦!おじいちゃんが、お坊さんで村長さんですー!」

あー!おじいちゃんがお坊さん!んでもって村長さん!・・・えっ!?村長さん!

「桜ちゃんのおじいちゃんが村長さん!?」

「ぶーー!言いませんでした?私たちのおじいちゃんはこの東山の村長であり、地区会の会長さんなのです!」

しっ、知らなかった。

「だから、龍ちゃんの家も電話番号も家族構成も桜と天音と私が知ってるよ!」

「ちょっと待て!桜ちゃんと天音ちゃんなら分かる!なんで優香が知ってんだよ!」

すると、桜ちゃんが笑い出した。

「桜ちゃん・・・。まさかと思うが、君が教えたんじゃないよな!?」

「龍牙くん!スマイル☆」

「スマイルじゃねーよ!個人情報だだ漏れじゃねーか!」

こうして、今日もこいつらのせいで1日がおかしくなりそうだ・・・と俺は一人思うのだった・・・。


(隠れ鬼4)

月光寺に着いて早10分。俺の家を出て1時間位たって午後になろうとしていた。月光寺はせみ達の声と女子達の声で盛りあがってた。

 俺は一人、女子の会話についていけずに階段で座っている。俺は何のためにここに来ているのか分からない。決戦とやらはどうなった?

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん!?」

 そう思っているそのとき、階段の下に人影が!子供の二人組。まさか・・・!?

「おっ!?やっと来たか!こっちだよー!」

優香が俺の隣に来て、耳元で叫ぶ。耳が痛ってーな、くそー!・・・だが、やはり来たのはあの姉弟2人組。花谷 りんとらんだった!

「龍ちゃーーーーん!覚えている?うちやよ!りんやよ!」

「俺だよ!龍ちゃん!らんだよ!覚えているだろ!忘れたなんて言わせないぜ!」

 この個性あふれる姉弟を忘れるわけがない。忘れよーとしても、頭から離れてくれないだろうな・・・。

「お前らも決闘に参加するのか?」

俺はそう思いながら2人に問いかけた。

「いひひひ!決闘かー!俺達も参加するぜ!いひひひひひ!」

らんが不気味に笑っている・・・。そもそも、決闘か決着だが知らんが何をするんだよ!?

「ところで、優香!今日は何をするんや?」

えーーー!?ちょつと待て。りんも知らんのか!?てっきり俺だけかと・・・。

「よーし!何をしようか?」

俺は力が抜けて思わずこけてしまった。やること決めてないのに決闘とか言ってたのかよ!

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・隠れ鬼。」

ぼそっと誰かがつぶやいた。・・・それは、天音ちゃんだった。

「「「おっ!それいいねー!」」」

みんなの意見が合意したようだ!

「ちょつと、質問していいか!?隠れ鬼って何!?」

みんなは俺の質問に驚いているっていうか唖然としているようだ。そして、俺の腹になぜか拳が入って、優香が説明をする!

「隠れ鬼とは、鬼役の人が最初一人!そこからどんどん増えていく!まあ、かくれんぼと鬼ごっこが混ざったみたいなもの!鬼は絶対逃亡者を見つけたときに見つけた事を相手に聞こえるように言う。そして、それを言うまで鬼は半径10m以内に入ってはならない。もし、入ってた場合、そこで10秒間かずえる。10秒間たったら鬼の行動は再開されるよ!」

「ぐふっ!(←腹にきいた)。・・・なんだかややこしいな・・・。」

「まあ、習うより慣れろ!早速始めるよ!」

「「「おー!」」」

優香のかけ声でみんなは腕をあげた・・・!


(隠れ鬼5)

正午になる30分前。月光寺には俺と5人の子供達が集まっている。

「じゃあ、早速、じゃんけんといくよ!」

れんが手をグーの形にして言う!最初の鬼決めだな!

「それじゃあ、やろうやないの!」

りんは手をチョキにしている。

「ぶー!負けないのですよ☆」

桜ちゃんは手をパーにして笑っている。

 なんなんだ?こいつらの会話は・・・?仕草もグーチョキパー?。

 俺はそう思っていると、優香が桜ちゃんの肩を持つ。

 そして、みんななうなずき優香が叫ぶ!

「文句なしだよ!じゃあいくよ!最初は・・・!」

よーし来た!こんなにじゃんけんで白熱のバトルをするのは小学校以来だな!いくぜーーー!

「「「パーーーーーーーーーーー!」」」

「グーーーーーーー・・・???あっ!」

 こいつらの仕草の意味が今頃分かった。一人ずつ思っていたことを考えると。グーの仕草をした、らんの思っていたことは・・・

(普通のじゃんけんをする?)

そして、チョキの仕草をしたりんは・・・

(龍ちゃんなら何か勝ちそうだよ!みんな同じものを出せば負けるか勝つかだよ!あいこのときもずっと同じやつで!チョキをずっとだしとこうや)

パーを出した桜ちゃんは・・・

(それじゃあ、負けます!もう、最初はパー戦法でいきましょう!龍牙くんを必ず鬼にできます!)

んで、もって俺以外のやつはそのサインを見て、今に至るわけだ。 優香が桜ちゃんの肩を持ったのはそのためだったに違いない! だが、これは反則中の反則だろ!反論なしではいられないだろう!

「おい・・・!」

「ありー?龍ちゃん文句なしだから反論しないよねー☆」

 うぐっ!?心を読まれた!?それも文句なしとはそれじたいがずるい!その、優香の笑顔もずるい!反論しようにも反論したら言葉じゃなくて拳が飛んでくるだろ!?その笑顔は絶対そうだ!

「うぐぐぐぐ!くっそー!はめやがって!いじめだ!いじめ!そのサインは反則だー!」

すると、優香が近づけて来た。

「鬼は君しかいないんだ!他の人は鬼は似合わないのだよ!君がいかに重要な存在がこれで分かるだろ!」

「そっ!そうなのか!鬼ってやっぱり俺しか無理なのか!照れるなー」

そう言って俺は頭をかく!

「では、目をつぶって、3分間待ってくれ。よろしく頼む」

そういって、優香、桜ちゃん、天音ちゃん、りん、らんはそれぞれの隠れ場所に散らばる。だが、今思うとさっきの言葉かっこよく聞こえるけど普通に鬼は俺だけがやればいいみたいな感じ(?)じゃねぇか!

「あーーー!!!もう、さっさと終わらせて家に帰らないと漫画くんが俺を呼んでいる!そのために俺が<3分間まってやる!>とでもいうと思ったか!隠れ鬼だがなんだか知らんが、みんなとっ捕まえてやるー!」

そう言って、俺は今日の範囲月光寺の庭から探すのであった。まぁ、考えているうちに3分以上待ってたな!待っててくれ漫画くん!


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