下校
(放課後)
俺は放課後まで寝ていたらしく教室に戻ったら教室の中は静かだった。俺はもうみんな帰ったんだなと思い、机の横に掛かっているバックに教科書なんかを詰めて帰ろうとして、振り返る。
ドタン!
「痛っててててて!なっ?なんだー?」
俺は突然起こったことだったので何がこったか分からない。一体何が起こったんだ?
「痛ったーーーい!」
へっ!?俺はふと気付く。目の前で女の子が倒れている。俺は何が起こっているのか分かった。ぶつかったんだ!
俺はここは最初に起き上がって、女の子に手を差し伸べて「ごめん。」と言うのが普通だな!と思い起き上がろうとしたとき。俺の目の前に手が差し伸べられていた。
「ごっ・・・ごめんなさい。あたしの不注意でもうごめんなさい。ごめんなさい。どうしょう。どうしょう。ぶ~!?」
「えっ!えっと。うん。だっ、大丈夫だよ。」
そう言って、俺な思わず差し伸べられた手を握って立ち上がってしまった。普通逆だろ!相手は小さな女の子だぞ!
「えっと、名前は?」
俺が訪ねると、女の子はぶーと言って答えた。
「あたしの名前は木下 桜。ちょっと小さいかもしれませんが、中学1年です!ぶー!」
えっ!中学1年生?会ったときから思ってたんだけど小さい!それも可愛い!本命にしてもいい位に!
「桜ちゃんか!俺は大丈夫だが桜ちゃんは怪我ないか?」
「はい!大丈夫です!ぶー♪」
本当に可愛いなー。ぶーっていうところがたまらん!今思ったら2人っきりじゃねぇか!?そう意識するとドキドキするなー!
「なあ、桜ちゃん。」
すると、桜ちゃんはぶーと可愛い仕草で俺を見つめる。行け!男、海道 龍牙ー!
ガラガラ
その時ドアの開く音がした。そこにいたのは?
「おっ!いたいた!桜!転校生!何やってんの?待ちくたびれたよ!」
学級委員長 紅川 優香
「なんで!なんで!お前がいるんだよ!せっかくの場の雰囲気が台無しじゃねぇか!それも俺は転校生っつー名前じゃねえ!」
「ありゃありゃ。そりゃごめん、お二人ともいい雰囲気だったのか!あたいはKYだから分かんなかっよ!ニャハハハハ」
こいつめー!本気で言ってるのか、ざとやってるのか分かんねぇー!
「ぶー!優香!いい所に来たのです。龍牙と2人っきりだったので何をされるのか怖かったです。」
ガシャーンと俺の頭の中の桜ちゃんのイメージは一瞬にして消えていった。俺のイメージって一体・・・?
「そろそろ、行くよ!」
学級委員長 紅川 優香がしきる!
「行くってどこにだよ?」
「もちろん!龍牙の家ですよ!ぶー♪」
(下校1)
学校帰り道。簡単に言うと下校。俺は1人で帰るつもりだったが、女子3人と帰ることになっていた。それもみんな俺ん家まで。学級委員長 紅川 優香とクラスメイトの木下 桜、それに今回いきなり登場の桜ちゃんの妹、木下 天音。この子はおとなしくあまり口を開かない。でもでも、やっぱり桜ちゃんに似て可愛いぜ。俺達が教室でごちゃごちゃしてる時にはもういたらしいけれど静かすぎていないも同然だった。
「おい!お前達!いくら地元の人だからといって俺の家までは知らないだろう?のんきに俺の前を話しながら歩いていてはぐれちまっても知らねぇからな!」
「大丈夫!大丈夫!気にしないでいいよ!
んでね、昨日のテレビなんだけど・・・。」
本当に大丈夫なのか?紅川 優香!っと言おうとしたけど女子の話を邪魔したらいけないと思いやめた。女子の話にはついていけんし、男子が入るのはどうかと思いとりあえず自分家を目指す。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・といっても、長い。やっぱり話に混ぜてもらうべきか?いやいや、俺は男子だ!男子ならこれがあるじゃねぇか!
~彼女にするならどの娘?ゲーム~ いぇーい!パフパフ!
一人で寂しいがとりあえず1人ずつ分析してみよう!まず1人目、学級委員長 紅川 優香! 最初話した1秒間で性格やスリーサイズまでがだいたい把握できた。やっぱ中2だけあって、男を刺激するナイスバディ!!顔も美人だし彼女にするなら迷わない!と言いたい所だが、性格にこいつは問題がある!これさえ無くせば男共はこいつを彼女に欲しがるだろう!
でへへへ!次は、木下 桜!まだ小さい果実だがもっと大きくなったなら金色に光る特別な果実になるだろう!この俺が言うんだ!間違いない!それに、大きくならなくとも、可愛い仕草とぶーという口癖が男の脳に刺激を与えて、脳を活性化させる!この刺激を欲しがって全男は争いを起こすだろう!
グフフフ!そして桜ちゃんの妹、木下 天音ちゃん!かわいい顔でいつも恥ずかしそうにして喋らない!しかし、その行動こそ男達の求めている行動!恥ずかしそうに喋る姿もまたいい!まだ喋った事ないから情報量が少ないがきっとこの娘も大物だー!
俺はじっくりこの情報を元に彼女にするならどの娘にするか真剣に悩んでいた。
(下校2)
・・・・・・あれから、何分経っただろう。俺はまだ真剣に悩んでいた。前の女子達の会話は未だ終わろうとしていなかった。
俺の優柔不断のせいで彼女達に迷惑がかかるかもしれない!と思うと尚更真剣に悩む!親父ならどうするだろう?と俺は親父の気持ちになって考える。・・・・・・・・・・・・・・・・・これは、考えるだけ無駄だな!親父ならこの娘全員と言うに決まっているからな!まぁ、その選択も悪くないかー!と思う俺は親父のいらない遺伝子をものすごく受け継いでいるのだろうか!?そう思うと俺の将来は一体・・・?
「転校生!」
その時、俺の耳元で誰かが叫んだ!
「うわっと!なっ、何だよ!?いきなり耳元で叫ぶな!それも、その呼び方はよせといっとるだろ!」
やはり、耳元で叫んだのは紅川 優香だった!俺はそいつめがけて怒鳴り返した!さすがに、紅川もびっくりしてるな!イッヒヒ、いい薬になったかな♪と考えている俺だが、後ろに気配!振り向いたがもう遅く、そこにいたのはまたしても紅川だった。
ボフッ!!
「ぐへーーー!」
俺は振り向いて1秒後に地面にひざまづいていた。ボフッ!って何の音だよ!?
「ぶー♪龍牙くんのお腹に優香の拳が入ってKO!!」
「あはっ☆ごめん転校生!ついつい手が出ちゃったよ!」
拳!?あの紅川の拳か!?もろ入ったぞ!それも、何で二人とも笑顔なんだよ!天音ちゃんだけかよいい子は!
「優香は空手、柔道、剣道、合気道、弓道などなど、小さい頃からやっていてとても強いんです!ぶー♪」
なっ!なんだよそりゃ!初めて聞いたし、それを早く言えよー!
「ありゃ!そういやあたいまた、転校生って言っちゃったなー!転校生は一体あたい逹に何て呼んでほしいの?」
そういえばそうだな。俺にあうあだ名は・・・!?
「龍ちゃん!」
「えっ!?」
俺は頭より先に口が動いた。このあだ名、確か・・・!?
「龍牙くん!そのあだ名もしかして、りんからんのどっちかがつけたでしょう!?ぶー!?」
「えっ!?あ、うん。花谷らんがつけたよ!でも何で!?」
俺は桜ちゃんに問いかけた。
「ぶー!?だって、名前の一字の下にちゃんってつけるのあの姉弟がやってるです!」
「じゃあ!あたい逹もそのネーミングセンスのないあだ名で読んであ・げ・る!」
そんな事言われるとこの名前で本当に良かったのかと自分に問いかけた。
(下校3)
あれこれ30分、やっと俺の家に着いた。今思うと俺の家って結構遠い・・・。
「ふー!やっと着いた!てか、地元の奴だからって俺の家まで良く来れたな!?」
「それ位分かるよ!ねっ!桜に天音!」
何で2人に聞くんだよ!?全くこいつの考えが分かんねぇ!それも、木下姉妹も何で顔を見合わせ笑ってんだよ!!
「全くお前達は・・・」
「それでは早速お邪魔しまーす!」
「わーい!」
「人の話しを最後まで聞け!それに、勝手に人の家に上がりこむなー!」
そう言ってあの3人の後を俺は追っていく。あいつら本当に何考えて俺の家まで来てるんだ?分かんねー!
「ここが、龍ちゃんの部屋!?もうちょい、面白いものすごいがたくさんあると思ったんだけど、意外に普通でつまんないのー!」
「つまんなくて悪かったな!それも面白い物って何だよ!?」
今日は本当にいい日(?)なのか!?
「んで!?俺の家まで来て何するきなんだよ!?」
俺の問いかけがスイッチだったのか分からない。場の雰囲気が一瞬にして変わった。3人の表情も。
「龍ちゃん。いやここは分かりやすく転校生で呼んだ方がいいかな。これから話すことは決して嘘でもふざけ話でもない。真剣に聞いてくれる?」
俺は一瞬その呼び方はよせって言ってるだろ!って言おうとしたがふざけ話じゃないと聞くと口が動かなかった。それにこの3人の表情。何かあると察知したからだ。
「分かった。真剣に聞くよ。」
そう言うと3人は安心したのか少し表情が軽くなった。
「ごめんね!この話が終わったらまた龍ちゃんて呼ぶよ!そしてまたふざけあおう!」
「ああ!もちろん俺もそのつもりだがな!」
いつものふざけた紅川ではなくまさに真剣な紅川だった。そして、また彼女は話し始めた。
「じゃあ、始めるよ!この東山、100年罰当たり事件の話しを!」
(下校4)
家の外はもう暗くなり始めている。鈴虫も辺りで鳴き始めた。俺の部屋の中だけ時が止まっているみたいだ。
「転校生は知らないんだよね?東山100年罰当たり事件?」
真剣な眼差しで紅川が俺に問いかけてきた。バスの運転手、大川十流が言っていたやつか。だいたいあいつから聞いたが詳しい話を俺は知らない。それも本当なのか事態怪しいのだ。
「いや、聞いた事ないな。なんだその東山なんたら事件つーのは?」
俺はわざと全く知らないふりをした。
「そうか・・・。やっぱりか。じゃあ、話すね。」
そういうと紅川の目の色が変わり、口を動かし始めた。
「この事件は、名前の通り100年前から続いているらしい。その事件の内容は、簡単に言うと、殺人だよ!」
殺人か・・・。大川の話では殺人か事故か分からないって言ってたよな。だが、紅川は殺人と断言した。やはり、大川の話はデマだったのか?でも100年前からっていう部分は噛み合っている。
「なあ、紅川!」
「転校生。優香でいいよ。そっちのほうが呼びやすいでしょ。」
「ああ。分かった。じゃあ、優香!その事件は絶対殺人なのか?」
俺は改まって問いかける。
「転校生。この写真を見て!」
紅川がそう言うと、天音ちゃんがバックの中から数枚の写真を取り出した。
「なっ・・・・・・・・・。」
俺は言葉が出なかった。何故ならその全ての写真が、血だらけの人が死んでいる写真だったからだ。一体何で!?
「ごめん。気分悪くさせたなら、写真片付けるけど・・・。」
優香が気を使ってくれる。だが、ここで写真を片付けてしまったら、どんな感じに死んでるのか分からない。
「悪い。大丈夫だ。写真をそのままにして話を続けてくれ。」
「うん。分かった。転校生この写真の人達全員、血だらけで倒れているね。つまりこれは何か鋭利な刃物で自殺か殺されている。って思うのが普通でしょう。」
「ああ。確かに普通の人ならそう思うだろ」
俺が答えてまた優香の話が始まった。
「でもね。この写真の人達、全員。目立つ傷が無いの!」
「えっ!?」
傷がないのに血!?
(下校5)
リンリンと鈴虫が鳴いている。時計はもう8時を回ろうとしていた。
「傷が無いのに血って!?どういうことだよ。」
「分からない。でも、少しの外傷ならあるの。でもこの血の量は有り得ない!」
俺は何が何だか分からなくなっていた。
「優香。疲れたでしょう。ここからは私が話します。」
そう言うと、優香とバトンタッチして桜ちゃんが話し始めた。
「それも、この事件が起こる場所。つまり、犯行現場がいつも一緒なんです。」
「んで、その犯行現場ってどこなんだよ?」
すると、桜ちゃんはぶーっと言うと、口を動かし始めた。
「学校の・・・裏山。」
えっ!?桜ちゃんだよな!?今喋ったの?人格、声、話し方。全てが別人のようだった。
「だから、龍牙くん。いいえ、転校生。裏山には、近づくな!」
びくっ!?本当にこいつ桜ちゃん!?
「桜ちゃんだよな?」
「・・・・・・・・・・・ぶー?」
一瞬疑ったがこの可愛い仕草は桜ちゃんだよな!そう思い俺は安心した。
「じゃあ、そろそろ帰るね!」
「ん?あっ!ああ。送らなくていいか?」
「大丈夫!変な奴が来たら、あたいの上段回し蹴りでイチコロだよ!にゃははははははは!」
そういうと、3人とも笑って玄関のドアの前まで行って、足を止める。
「龍ちゃん!裏山には絶対近づいちゃだめだよ!」
「分かってるって!お前こそ夜道を送ってやらなくていいのか?」
ボフッ!
本日二度目の腹に拳が入った。
「ぐふぉーーー!」
「「「ハハハハハハハ!」」」
最後はみんな笑って帰って行った。
今日の夜は家に誰もいない。1人でさびしい。というより少し恐怖感があったかもしれない・・・。
楽しいことが全てじゃない。
恐怖で一人の怖い夜
君なら一体どう過ごす?
詩題名<1人で怖い夜> 海道 龍牙