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東山

 (始まり)

 そこは、暗闇の中。。辺り一面暗闇だけ、人なんているはずがない。人の気配すらしないそう、それは本当に何もない無の闇の中。なのに、俺はそこにいた。まるで誰かに閉じこめられたように。

「一体、誰が俺をこんな所に?一体、何のために?俺が何かしたか?誰かに迷惑をかけたか?」

俺は独り言をつぶやいた。

「……………………………………………」

何もおきるはずがない。人なんていないのだから。

「…………くそ!」

俺はだれかいるわけではないのに汚い言葉を八つ当たりするように叫ぶ。

本当にだれもいないのか?本当に俺一人なのか?そもそも、なぜ俺はここにいるんだ?

…………だめだ何も思い出せない。もうこんな場所は嫌だ!だれか俺をここから出し

てくれ。俺はそればかりを願い続ける。強

く、強く願い続ける。

「……………………………………………」


無言が続き、俺は一人寂しい思いがやがて強く、強くなってきた。

「フン。フフフ、フヒヒ、フハハハハハ、ハハハハハハハハ、ハーハハハハハハハハハハハハハハハハ、ハハハハハハハハァ、ハァ、ハァ、ハハハハハハハ。」

寂しさと悲しさが混ざりあって何とも言えない気持ちになった。

「何で俺笑ったんだろ?おかしいよな俺って。ハハハハハハ、ハアー。一人が寂しいのがこんなに苦痛とは思ってもいなかったぜ。正直いってもう嫌だ。帰りたい。もとの世界へ。」

俺の独り言はまたむなしく去ろうとしていた。しかし、そのとき俺に一つの光が舞い降りてきたのだ。

「あれは?一体何だ?」

俺は一人で首をかしげた。すると、光は大きくなった。

「……………け………ぇ」

えっ光がしゃべった!それも、小学校くらいの女の子の声が確かに聞こえた。もう一度耳をすまそう。

「……けて。私たちを助けて。あなたが来ないとみんなが…………。」

それは、助けを求める声だった。

「え?一体どういう事だ?何で俺が?てか、君は一体だれなんだ?教えてくれ。何で俺はここにいるんだ?君が俺をここに?」

「…………………………………………。」

質問をした俺にもかかわらず光は黙りこんでしまった。

「すまない。君がやったなんて決まってないよな。質問を変える。君は何で俺に助けを求めているんだ?俺は君の声を聞いた事があるような気がするんだ。一体いつあったけ?あるよな?あったこと。何か言ってくれよ!」

俺は、質問を変えて今度の質問を強制するように投げかけた。その答えは?

「………………………………………。」

やはり無言だった。もうあきらめるしかないのか?そう思った瞬間、何か聞こえる。別のだれかが何か言っている。俺を呼んでいるようだ。目の前がフラフラする。意識が遠のいていく。暗闇が消えていく。そのとき、俺は見たのだ。光が小さい女の子に変わっているのを。しかし、上手く顔が見えない。えっ?また何か言っている。何だろう?

「どうか、幸せでありますように……」

「…………えっ?」

俺は、最後の言葉だけがとても、気になって仕方がなかった。

 

(東山1)

 気がつくと、俺は暗闇の中から解放されていた。頭がぼーとする。一体ここはどこなんだ?俺は、頭をあげた……がその瞬間、ゴンと音がした。

「痛って~~~~~~~~~~!」

俺は、後ろを振り替える。そこには………親父がいた。

「痛いのは、こっちの方だ!父さんがせっかくうなされていた、お前を起こしていたのに、起きたと思ったらいきなり頭つきだ~!? 父さんに恨みでも、あるのか?」

 俺は、激痛で目が覚めた。すべてを思い出した。ここは、電車の中だ!そうだ、俺は引っ越しをするんだ。えーと、確か引っ越し先は…………???

「新しい引っ越し先の東山(ひがしやま)ってどういう所かしら?楽しみだわ!」

そうそう、東山だ!ありがとうお袋!

「うん。とっても田舎だよ。交通もあんまり発達してないんだ。でも、自然がとってもきれいで空気もとってもきれいだよ。」

と親父がお袋にこたえた。そうか!親父が元々住んでいた場所なんだよな。

おっと、そういや紹介まだだったな!俺は海道 龍牙。いたって普通の中学2年だ………って俺は誰に紹介してるんだろ。まあいいや。

「龍牙、新しい家に行ったらすぐに引越しの片付けをするぞ。こういうのは男仕事だからな!がーはははは!」

「えー俺、明日の学校の準備が………」

俺は親父のお願いを断ろうとした。・・・が

「りゅーーがーーーくーーーん。」

隣からか細い声が・・・俺は恐る恐る隣をみた。そこにはお袋が今にも泣きそうな顔でこちらを見ている。やばい、やばい。

「なんでしょうか。お母様。」

「んー?お母さんの聞き間違いかもしれないけど、今、龍牙がお父さんの頼みをきいてあげない冷たい性格の子供になったような声がきこえたの。聞き間違いよね?龍牙が、誰が最近加齢臭がただよってきた親父のいうことなんて聞くもんかなんて言うわけないものね。」

「いや、そこまで言ってねーよ………あ」

間違った。俺は自爆してしまった。やばい、やばいコロサレル、コロサレル汗が頬をつたい落ちた。そのとたん

「やっぱり言ったんだー。うっ・・ううっ。うえーーん。」

とうとう、お袋は泣きだした。汗が滝のように流れる。後ろから殺気が・・・・・・・。後ろは確か親父・・・。

「お母さんを泣かせる奴は俺が許さん。覚悟しろ龍牙!!!」

「やめろ、やめ、ぎゃーーーーーーーーーーー!]

               ・

               ・

               ・

「えーー、次は灯月の森、あかつきのもりー。終点でございます。お忘れ物のないようお願いしまーす。」

すると、親父が立ち上がり言った。

「よーし、行くぞ」

さっきまでの怒りはなんだったんだよ。そう思いながらしぶしぶ俺は電車をあとにしたのだった。

 それにしても、ひどい目にあったよな。今後も不安だ。そう思いながら東山行きのバスに乗り込んだのだった。


海道 龍牙↓

挿絵(By みてみん)



(東山2)

 ガタガタと振動が伝わってくる。電車に何時間も乗っていたのに、今度はバスか………何か、とっても大掛かりな引っ越しのような気がする。俺の家族ってちょっと変わっているよな。普通に友達みたいなかんじだし………さっきもあったけど親父とお袋の性格もおかしいよな………。まぁ、楽しいからいいのかなぁ?だいたい、こんな田舎に引っ越すのもちょっと変わっているよな。  もう俺は、眠気はおきなかった。俺って電車で何時間寝ていたのかな?それに、あの夢は………?

「おい、龍牙!」

「ん?」

いきなり親父が俺に呼びかけてきた。

「何だよ?」

俺はだるそうにかえした。

「いいか、これは真面目な話だ! 真剣に聞いてくれ。いいな?」

「い、いきなりなんだよ!」

しかし、親父の顔は真剣そのものだった。

「わ、分かったよ!聞くから。」

仕方なく俺は、聞くことにした。

「ゴホン、いいか龍牙。父さんの仕事の都合で引っ越しをした。それは、知ってるか?」

「いや、初めて聞いたな。それで?」

「それで、お前は学校生活も1からやり直しだ。つまり、お前が学校で上手くやっていけるのか、父さん達は不安なんだ。」

「……………………………………………」

俺は言葉が出ない。実は俺も不安だったんだ。

「その様子じゃ、自分自身も不安なんだろ?やっぱりな。父さんも経験したことあるから分かるぞ。そこで、龍牙!父さんからの頼みだ。  

仲間を作れ!全て分かりあえるなかまを!そして、その仲間を大切にしろ!それだけだ。」

「何だ、それだけ? 俺はてっきりもっと重要な話かと思ったぜ! 緊張して損した。」

「なっ、父さんはこれでも、心配しているんだぞ!」

そうなのか? 俺はそう見えないが………

「きゃー、父さん素敵よーー」

「ん?そうかい!そう言われるとてれるなー。母さんも素敵だよ。」

あーー、また始まった。やっぱり俺の家族って…………………。

そう思っていると、ブロローン キッキーとブレーキ音が聞こえた。

「おっ、着いたようだな。龍牙ー降りるぞ!忘れ物がないようにしろよ!」

「へーーい、分かってますよ!」

俺はいつも道理に親父の事を軽く返した。……………えっ?視線を感じる。 俺は窓を向いた。そこには、仮面をつけた少女が立っていた。だれだ?俺を見ているのか?

「龍牙ー。早くしろー。」

親父達が俺を待っている。俺は親父達の方を向いて、適当に返事をした。そうして、もう一度窓を見た。しかし、少女はそこには、いなかった。

俺は、急いでバスから降りようとした。あの子は一体? 早く降りてあの子を………

「おい、坊主。」

えっ、今度は一体? 俺は声のする方に振り返った。

「あんた達が噂のよそ者だね? 聞いているよ。」

それは、バスの運転手だつた。

「はい、そうですけど。よそ者っていう言い方は良くないと思いますよ。」

俺は不機嫌そうに言った。 見た目としゃべり方で俺の好きじゃないタイプと分かったからだ。 嫌らしそうな顔、嫌みのようなしゃべり方、全部嫌いだった。

「あぁ、すまないねぇ。昔ながらの風潮ってやつでして。海道さん。ふっふふ。」

「えっ?何で名前を?」

すると男は続けて鼻で笑った。

「ふっふふふふふ、すみませんねぇ。私はこういう者です。」

<大川 十流>(おおかわ とおる)

そう、それは名刺だった。

「はっ?俺あなたの名前なんて聞いていないですけど。」

俺は怒りがこみあがってくる。

「あらぁ、私はてっきり俺の名前を呼ぶ前に自分の名前を名乗れって言ったと思いましてねぇ。ふふふ」

ぶちっと音がして俺の何かが切れる音がした。

「てめぇ~~~~~~~~~~!」

「やめるんだ!!」

いつ来たかが分からないが親父が止めに入って来た。

「落ち着け龍牙! 抑えるんだ。」

「おや、おや、問題児ですねぇ。お宅の子供。しつけをしないと。」

だーーーーんっとすごい音がした。

「それ以上言うと、俺が黙っちゃいねぇぞ!」

その音は親父が窓ガラスを殴った音だった。ひびが入っている。

俺が親父を初めて格好いいと思った瞬間だった。


(東山3)

 バスの中は沈黙状態が続いた。が、沈黙を破ったのがあいつだった。

「いや~、驚きましたよ。やっぱり子供が問題児なら、親も問題児なんですね~。いやはや、窓ガラスが・・困るな~私が怒られるんですよ。」

あいかわらずこりてない。一体何なんだこいつ。俺はそう思いながら親父の方を見た。すると、親父は、

「すみません・・・・。

えっ。謝った?俺は親父をみつめた。

「龍牙、行くぞ・・・・。」

親父は悔しそうな表情でバスを降りた。俺は、最後に運転手の大川をにらんだ。すると大川は、また鼻で笑った。

「君も気を付けなよ。この魔の山、東山にはね。フフフフフ。」

「なっ、どういう意味だよ? 魔の山って。」

すると、大川は続けて言った。

「フフフフフ、本当に何も知らないんですね。いいでしょう教えてあげますよ。」

俺は大川の言葉にイラっとしたが抑えて、うなずいた。

「この話は他言しないようにしてください。いいですね?」

俺は続けてうなづいた。

「この山は昔から謎の死に方をする人がいるんです。毎年10人以上、多いときは数十人死んだ年もあるんですよ。そして、俺の息子も犠牲者だ。」

「あんたの!?」

俺は驚きが隠せなかった。

「フフフフフそうです。私の息子。去年行方不明になったんです。おかしくなってね。そう、人が人でなくなり、何者かに操られる。そういう感じです。」

ゴクリ。俺は生唾を飲んだ。

「そして君は俺の息子に似ているだよ。次は君が狙われるよ。」

大川の目が鋭い。全身に汗。さっきから手と足が震えてる。

「・・・・フフフフフ、何てね。さあ、そろそろ降りないとまた君の親父が来てしまう。 さあさあ降りた降りた。」

俺はバスから無理やり降ろされた。

何なんださっきの事件? うそ? 本当? ・・・・・・・・・・・・・

俺は考えた。すると後ろから足音。近づいてくる。恐怖で振り向けない。

足音は俺の所に来て止まった。そして、俺の肩に触れてきた。

「うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

俺はおもいっきり振り払った!そこには………

「痛っ。いたたたたたたたた。ぐっふ。」

……………………親父だった。俺はすごくほっとした。

「な~~~~んだ、親父かよ。そこらの不審者かと思ったぜ。ひびらせるなよな!」

「かちーん!何だその言い方は!お前がいつまでたっても来ないから見に行ったらバスの運転手と喧嘩だ~?父さんが助けに行かなかったらどうなっていたか!」

親父は腰を抜かして痛そうにしながら言った。だが俺には一つ疑問があった……

「何で謝ったんだよ。」

「えっ?」

親父はとぼけるように聞き返した。俺はそれにイラついて怒鳴った。

「だから、何で謝ったかって聞いてんだよ!」

辺りは一瞬で静まり返る。親父は驚いたように俺を見つめている。静けさを破ったのは残り少ないせみの鳴き声だった。

「何言ってるんだ? 俺は謝ったつもりはない。」

         

         

         

「は~~?何だそりゃ?」

そうそれは、意外だった。親父は誤っていない。その、証拠に窓ガラスを叩き割ったのに弁償代も払ってない。

「父さんもああいうタイプは好きじゃないんだ。父さんが謝ったのは………だよ。」

「えっ???」

「ああいやこっちの話だよ。」

「何だよそれ。」

しかし、俺はごまかされているような感じがして仕方がなかった………。


(東山4)

 俺達はバスから降りた所から徒歩で新しい我が家に向かっていた。もう30分近く歩いている。けれども見える景色は木、木、木………見飽きたなぁ。けど空気も澄んでいて気持ちがいいぜ。頭に酸素が回ってなにかが思い浮かんできた。

「あ~~~~~~~~~!」

俺は思わず大声を出した。親父とお袋も何ごとかと俺を見ている。

「お袋!ずっとバスの外いたよな!」

「えっ?あ、うん。いたけど、どうしたの?」

「見なかったか?」

俺は単刀直入に言った。

「何を?」

「お袋、冗談はなしだ、見ただろ。仮面をつけた小さな女の子。」

お袋は真面目な俺の雰囲気がよめたようだ。お袋の顔もまじになっている。

「見なっかったわよ。そんな子。龍牙どうしたのかしら?」

「え……………………??」

俺は、信じられなかった、お袋は見てない?なぜだ。じゃああの女の子は?………一体どこに?どうやって?窓の外にいたはずなのに。あの一本道の所を人に見られずにどうやつて?


誰かに聞こうと思ってもそんな子一人もみていない。いや、聞かなくとも分かること言っても信じちゃもらえない。俺は一人で考える。あの子は本当にいたのかと。

詩、題名(俺は独りで考える) 海道 龍牙

               

              

               

結局、1時間近く歩いて新しい我が家に着いたのだった。


(東山5)

俺は家に帰っても考え続ける。あの女の子の事、そして東山の事。

今日はいろいろありすぎたな。何のやる気もおきない。荷物も片付いてない。あぁーー何かとってもムシャクシャする。

そのとき、お袋が1階から呼ぶ声が聞こえた。

「龍牙!ちょっとおつかい頼んでいいかしら?」

くーー、こんな気分の時におつかいかよ。嫌だが、断ると面倒くさいし。

「分かった、分かった。」

俺は買い物メモを持って自転車をこいで何kmも離れた商店街に行くのであった。


30分くらい自転車をこいだら、商店街についた。さすがに人は多いな!俺は買い物メモに書いてある物をせっせと買い集める。

「よーーし、全部買ったよな。しかし、すげー量だなこれ。おつかいにしちゃー、ハードすぎるぞ。」

俺は独り言をぶつぶつ呟きながら自転車にまたがろうとしたとき、後ろに気配!俺はさっと振り返った。そこには!?

「?????!」

女の子、それも小学生くらいの。俺を見てこう言った。

「お兄ちゃん!卵を忘れているよ。」

えっ!?俺は買い物バックの中を見た。確かに買い忘れている。

「あーー!!誰だか知らんがサンキュー!でも、何で??」

しかし、彼女はこたえようとせずにただクスッと笑って行ってしまった。

 俺は、また悩み続けて帰るのであった。


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