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影・解・散る・罪・最期

第一章ついに完結・・・!

 (影)

 気づけばまた裏山・・・。記憶がふつふつと蘇る。


あの後、俺はスーツ姿の奴等を力ずくで押しのけた。保健室全体は、薬ビンや窓ガラスやらが割れて、ぐしゃぐしゃに・・・。その後も奴等は、俺を捕まえようと必死になって、俺の服や体をとてつもない力で押さえたんだ。

俺の服はほわもうボロボロ。俺の体には所々にあざができている。

 奴等は、きっと俺にどうしてもあの薬品を使いたかったらしい。・・・新薬か何かだろう。どうして俺にかは分からない。

 奴等は数が多い!でも俺は奴等に対抗した!

どうやってかって?決まっている!刃物だ!偶然ポケットに入っていた、カッターナイフで、俺を掴んでいた手をグサグサと・・・。

 そのせいで、俺の白かった制服は今や赤黒く染まっている。

 気がつくと奴等は、うめき声をあげて全員倒れていた。けっこー傷口は深かったからな。そこをすかさず俺は逃げてきた。この裏山へとな。

 

「何故だろう?前まで薄気味悪いと思っていた裏山が、居心地がいい。」

そう思っている俺。少し思い出したことがあった。

「そういや、奴等は、裏山に入った奴はあの薬品を注射されるとか言ったけ?・・・あの薬品は一体何なんだろうか?」

分からない。色からして怪しい薬品だったのは確かだ。じゃあ、裏山に行ったことのある奴は全員注射されたんだろうか?

「優香の話し方からすれば、あいつも入ったことあるよな!・・・確か行ったことある奴は死ぬんじゃなかったけ?じゃあ、優香は行ってない!?」

頭がこんがらがってきた。一回、頭の中を整理しよう!

「俺も裏山に入った。てか、今入っている。今まで3回入った。確かに殺されそうになったり、不思議な事が起こっている。人が人でなくなっているのも今時点で分かっている。だが、俺が今年で100年罰当たりを止めないと!」

かっこよく響くが、何のために俺はここまでして罰当たりを止めたいと思っているのだろうか?

「待て!そもそも、優香が行ったことあるなんで聞いてないな!きっと仲間だったら言ってくれるはずだからな!」

あと少しで、答えが・・・。100年罰当たりの謎が解ける!あと少しのトリックが解けない!

「ここに来て、何日が経っただろう?きっと、俺がここまで必死に謎を解こうとするのは、引っ越してくる時に見た夢のせいかもな・・・。」

小さな少女が俺に助けを求め、詩を聞かせてくれた。

「幸せをつかむために、不幸も経験する・・・か。」

不幸もたくさんあったな、お袋を俺の手で殺してしまう不幸と親父が人を殺した不幸が・・・。だが、これが幸せをつかむ試練だとしたら、次は絶対幸せなのだろう。

「神様・・・。両親と仲間を天秤にかけるなんてする、俺は罪なのでしょうか?」

言っても無駄だ!神様なんて、自分の心の中にいる光なのだから。

今の俺が神様に何を言おうと、答えるのは心の影。つまり、悪魔なのかもしれない。

罪じゃないと、誰かが笑う。


 (解)

 裏山からの朝日が一段と輝いている、午前6時。昨日は裏山でずっと一人で過ごしていた。100年罰当たりの謎を解き明かすために寝るのさえ忘れていた。

 警察も昨日の奴等も俺を追ってこない。ここにいるのが分からないのだろうか?

「警察・・・。昨日の奴等・・・。」

そう思っていた俺。昨日眠らずに考えていた100年罰当たりの謎を解き明かすためのヒントが隠されていた。

「そうか、分かったかもしれない!」

俺の声が当たりの木々に跳ね返され、山びこのように声が帰ってくる。

「これで、100年罰当たりは終わる!犯人もトリックも見破った!」

だが、一つ問題点があった。

これをどうやって、みんなに知らせるかだ!

昨日の騒ぎで、学校に近づいたら、先生に怒られ、警察一発通報だ。それに、お袋の事件から日が結構経っている。警察の探しも本格的になっているだろう。

「どうしたら、いいだろう?」

(分からない。分からない。分からない。きっひひひひひひ。)

悪魔の笑い声が響き渡る。

ふらっ!

「えっ?」

めまいもしだした。どうしちまったんだ俺?

                  ・

                  ・

                  ・

真っ白な、天井が俺を見下ろしている。どこか懐かしい香りがするここはどこ?

しゃっ!

その時、カーテンが開く音がした。

「お目覚めですか?ふふ!」

綺麗な女の人。・・・先生だ。

「えっ?先生?一体ここは?」

俺が、質問をすると、先生は先生の赤い髪を手でかき分けて、答える。

「ここは、先生の家よ!海道くんが昨日の注射の事件の後に、頭を打って気絶しちゃったから、先生が連れて帰ったのよ。」

「えっ?」

俺は驚きを隠せない。じゃあ、さっきのは夢ってことか?

「そんなに驚かないで!先生寝てる間には変なこと何もしてないから!」

先生は笑っている。だが、俺は笑えない。あれが夢だとしたら、あの推理は成立しないからだ

「先生!俺は昨日ずっとここにいましたか?」

「えっ?えぇ!ずっと眠っていたわよ!」

そんな?嘘だろ?じゃあ、俺はあの注射をしたってことかよ!

「それより、海道くん。何をさっきから驚いているの?」

「黙れー!」

思わず暴言を叫ぶ俺。先生も驚いている。

「海道くん。少し落ち着きましょう!ね!」

「落ち着けるわけないじゃないですか!せっかく見つけた答えを一瞬にして消される思いがあなたには分かりますか?」

先生は真顔になる。

「答え・・・ね。言ってみなさい。あなたが推理した全てを。」

先生は知っている。俺が推理していることを。でも、そんなのはどうでもいい。

「昨日の奴等と警察はグルだったんだよ!」

ガチャ。

「龍ちゃん・・・。」

ドアが開く。そこには、俺の仲間達がいた。


 (散る)

 夕方、5時近く。狭い部屋の中には、俺、先生、優香、りん、らん、桜ちゃん、天音ちゃんがいる。

「龍ちゃん!それは一体どういう事!?」

優香の鋭い質問が狭くて、暑い部屋の中に響く、

「お前ら何でいるんだよ・・・?」

少し戸惑う俺。

「答えて。」

優香の目つきは鋭さを増す。

「あれが、夢ならこの推理は通らない!」

「いいから、話せよ!」

らんも質問の答えを要請する。

「だから、夢ならば意味がない推理なんだよ!夢だったら意味がない!新しい推理をしなければ!」

「それでもいいんや話して!お願い!」

りんも同じく・・・。なんでこいつら俺の推理を聞きたがるんだ?

「だから・・・、げほっ、げほっ!げぼー!」

その時、むせあがる何か。俺が寝ていた布団には大量の血。

「ごほっ!ごほっ!ごぼーー!」

続けて、同じ症状。さっきより激しい。

「海道くん!しっかり!桜さん!例のあれを!!」

「はい!」

桜ちゃんは、部屋の隅にある引き出しから、アルモノを取り出した。

「はぁ、はぁ。そっ!?それは?」

そうそれは昨日の注射だった。

「みんな!押さえて!」

すると、俺を押さえるべく、みんなが俺をつかむ。

「龍ちゃん・・・。今、楽にしてあげるからね・・・。」

俺の両腕を掴んでいる優香が小さな声で言った。

「やめろーーーー!」

                  ・

                  ・

                  ・

俺は裏山の頂上まで登っていた。結構断崖絶壁だ。同じような時間が流れているようだ。俺はまた逃げ出した。仲間を傷つけて。殴ったり、蹴ったり・・・。逃げきった俺。

きのうの奴等みたいな感じになっていた。みんな倒れて苦しんでいた。

「楽にするって、安楽死ってことだよな・・・。じゃあ、あの注射はやっぱり・・・。」

裏山から見える、景色は絶景そのもの・・・。俺の心を癒やしてくれているのだろう。


 (罪)

絶景を目の前にしている海道龍牙。・・・それは俺自身。

「罪があるのに罰はなし。」

俺のくせである、独り言。東山に来て何回言ったかも忘れた。

「・・・くそったれーーーーーーーーーー!」

崖の下にめがけて叫ぶ。響き渡って、消えていく。

「何で!?何で!?・・・神様って奴は俺ばっか見捨てるんだよ!?せっかく手に入れた、仲間、場所、自分を守ろうとするために裏山に入っただけなのに!?・・・何で!?」

こんな事になってるんだよ!?

声がかすれて最後の声は出なかった・・・。

グシャグシャ・・・

落ち葉を踏んでくる足音が後ろから聞こえる。

「誰だ!?」

後ろを振り返る!?そこには・・・?

「・・・龍ちゃん。」

「・・・優香!?それに、りん、らん!?」

俺は驚きを隠せない。警察だと思ったからだ。少し喜びも感じた。だがさっき、俺はこいつらにひどいことをした。あわせる顔なんてあるはずない。

「お前ら、俺が憎くないのか?蹴ったり、殴ったりしたじゃねーか!」

「憎いよ!!!」

優香の声が裏山全体に響く!!

「憎いに決まってるでしょう・・・!?仲間にあんなことするなんて・・・。でも、それより憎いことがあるよ・・・!?」

優香の目にも涙か・・・。憎いのは当然かー・・・。でもそれより憎いことって!?

「・・・龍ちゃん!?なんで裏山入ってんの?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴクリ。

何でだろう!?これだけは何故か怖い!?体全体が一気に冷えていく。

「・・・なんで、あたい達に隠し事するの?」

俺の体の震えはもう止まらない。自分でもそれは分かる。

「何で、あたい達から逃げているの!?」

「ヴアーーーーーーーー!?」

俺の隣まで来たこいつら3人・・・。俺はもう実感した。

(こいつらは悪魔だな)

「俺の心に潜む悪魔らよ!?俺をいじめてそんなに楽しいか・・・?俺は気づいた、俺がここにきておかしくなったのは、お前らのせいだな!」

そして、大声で叫ぶ!!

「太陽と一緒に沈みやがれーーーーーーーー!!!」

最後の叫びなのだろうか!?声はもう出ない!!

遠くに沈んでいく太陽と一緒に、優香、りん、らんを崖に投げ飛ばした。

投げ飛ばされた3人と何故かあふれる涙がともに崖に沈んでいく。

さようなら。

心の中で悪魔に別れを告げた。


 (最期)

走る・・・。走る・・・。どこまでも・・・。なんでかって?そんなの決まってる。自分から逃げるため。自分自身は逃げても逃げてもここにいる。逃げることなど不可能・・・。

走り続けて何時間経っただろう?辺りはもう暗い。帰る場所はないし、一体どこまで来たのかもわからない。

ただ一つ分かる。ここは森の中だと。

グサッ

足に激痛。思わず倒れる俺。

足には、釘が刺さってる。

抜いてみると、血が出てきた。だが、それが生きている。そんな事も思い始めた俺。明らかに、自分自身もおかしくなっている。

走れなくなった俺。片足を引きずりながらも、歩き出す。

(きひひひひひひひひひひひひひ。)

どこからか、悪魔の笑い声が聞こえる。

めまいもしだして、力が抜けた。そのままうつぶせに倒れる。

立ち上がろうとしたが、無理。あおむけになるのがやっとだった。

あおむけになって気づいた。木々の間から見える星空が綺麗だと。

今日、俺は死ぬだろう。

星空が俺にそう伝える。

俺が死ぬとしたら俺の推理はあっていたのかもしれない。

注射器のグループと、警察はグル。

注射器のグループは多分、裏山に入った奴に毒薬を注射して、100年罰当たりを成功させる、宗教軍団。それをアシストするのが警察に化けた宗教軍団の一味だろう。

100年罰当たり・・・。どうしても仲間に真相を伝えたっかた。

どうか俺の思いがとどきますように・・・。

体の感覚がなくなっていく。意識が遠のいていく。

次の俺ではきっと・・・。


                 ・

                 ・ 

                 ・ 

平成20年9月。100年罰当たりの犠牲者。

海道龍牙・・・隣の県の山で血だらけで発見された。

紅川優香・・・行方不明。

花谷りん・・・行方不明。

花谷らん・・・行方不明。

木下 桜・・・行方不明。

木下天音・・・行方不明。

海道龍一・・・行方不明。

海道かよ・・・自宅で死亡。

大川十流・・・川に転落。

行方不明の者は未だ見つからない。


海道龍牙は、まだ息があったのだが、間もなく死亡。ポケットの中から小さなメモ用紙が発見された。


<この、事件は悪魔が起こしています。裏山に行くと悪魔に取り付かれるのです。・・・警察と奴らはグルです。奴らに騙されてはいけません。自分の意思を持って。悪魔に打ち勝ってください。悪魔は心の影です。自分自身とたたかえばきっと・・・。>


もはや、何が伝えたいのかもわからない。乱雑な文字。所々に出てくる奴らとは・・・一体。

「富山さーーん!コーヒーできましたーー!」

「ああーー!今行く!」

分からない。

調査は無限に続く・・・。


第1章<完>

今まで読んでくださった方!ありがとうごぜーます。

感想などを書いてくださるとうれしい限りです(>▽<)


第2章に続くので、ぜひ続けて読んでください。

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