花火・疑惑
川で遊んだ後の龍牙たち・・・。
(花火)
太陽はもう半分が沈みかけていた・・・。一番星がもう輝いている。
ポチャン・・・。ポチャン・・・。
同じ時間の感覚で音が鳴る。俺が石を投げているからだ・・・。
「紅川か・・・。昔の人の悪霊が取り憑いているのかな?それとも・・・河童?」
またしても俺の独り言は川のせせらぎに消されていく。
「おーい!龍牙くーん!こっちにおいでー!楽しいことが待っていますよー!」
桜ちゃんが俺に手を振っている。俺も思わず小さく手を振る。かわいいな・・・。
「過去を振り返っても意味がない・・・か。今と未来を考えていこう!」
そう言って、俺は石から下りた。
ザバーン!!
下流から大きな水の音!?みんなは気づいてない!?気のせい?
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!?」
気のせいであって欲しい・・・。
「龍ちゃん遅いよ!何やってんだよ!」
らんがまともな服装で笑っている。手遅れではないな!ほっとした!
「龍ちゃん!ほら見てみー!これらはなうちらが全部釣ったんよ!」
りんがクーラーボックスの中を見せてくれた。そこには、大きなニジマスやヤマメがたくさん・・・。
「おっ!うまそうだな!」
俺がクーラーボックスに手を伸ばすと・・・
ビシッ!
「痛ってーな!何すんだよ!」
「龍ちゃん!これは釣った者にしか与えられない魚だよ!だから、龍ちゃんのはなーし!」
優香が俺に指をさす!元気でたんだな!
「何を言う!そういう優香だって釣ってないだろう!」
すると、優香は自分の小さいクーラーボックスをだして、開けた!
「・・・なっ!?」
そこには、たくさんの魚達が・・・!あんな短時間に釣ったのかよ!
「ぶー!龍牙くんには私の小さなお魚をあげます!どうぞ!」
すると、桜ちゃんは小さなビニール袋を渡してくれた。
「桜ちゃん・・・。気持ちはありがたいんだが、これは、おたまじゃくしというものではないかな?」
「かわいいでしょー!お魚ですよ!」
「いやいや、だからおたまじゃくしだと・・・。」
ボフッ!
「桜が魚って言ったら魚なの!」
優香の拳が腹に・・・。
「よし、龍牙くんも来たことだしそろそろ始めようです!ぶー!」
いやいや、桜ちゃん!そこは俺を心配しょうよぜ!結構痛いんだよ!リアクションも大変なんだから!
「やるって?何を・・・?」
みんなは笑いだす!俺のしゃべり方が痛そうだったからか?
「「「花火!!」」」
みんなの目は輝きに満ち溢れている!
それから、7時くらいまでみんなで花火をした。楽しい時間だった。特に最後の閃光花火!俺のだけ2~3秒で落ちた。面白いのやら、悲しいのやら・・・。
帰り道・・・。俺のぞうりのはなおは切れた・・・。何か不吉な事が起こる前兆なのだろうか・・・?
(疑惑)
次の日の朝。2回目の遅刻はせずにちゃんと俺は学校にいた。
「今日は、全校野球大会だな!燃えてきたー!」
クラスのテンション高めの男子、青空が声をあげる!
(そうか・・・今日は野球大会か。プリントが配られてたな・・・。)
俺は机の中に入れたプリントを取り出した。
「学校グランド、9時集合!役員は30分前にライン、ベース、その他の道具を準備すること!9時30分より・・・キックオフ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「キックオフって野球じゃねーだろ!」
一人むなしい突っ込みが響き渡る。
もうすぐ9時になる・・・。
「りんもらんも優香も桜ちゃんも天音ちゃんも・・・。みーんな役員ときたもんだ!俺だけ仲間から外されたみたいだな・・・。」
俺は9時までぼーっとしてても暇なのでクラスをうろちょろ。
「・・・ん?」
うろちょろしていると、ある机に俺の興味がひかれる本があった。
「<東山100年罰当たり事件の謎>!!?」
俺の手は自然にその本をつかんでいた・・・。
ペラペラ・・・。
「この事件は人が何らかの影響で死んでいく・・・。原因は未だ不明・・・。この事件は100年前から起こっていた・・・。」
ペラペラ。
そのときある文が俺の目に飛び込んできた。
「裏山説は嘘である・・・?」
その文を読んだとたん俺は本を思わず閉じてしまった。・・・詳しく読もう!と思ったが本が消えた?ていうより取られた。
「おいっ!転校生・・・。誰の許可を得てこの本を読んでいるんだ・・・。」
この、声は確か・・・?
「何だよ!読ませてくれてもいいじゃないか!それも俺は転校生という名前ではない!」
そう、そこにいたのは本を片手に持った平泉彩人・・・。俺が一番苦手なタイプだ・・・。
「礼儀知らずには転校生という呼び方があっている。それに、この本はお前には刺激が強すぎる・・・。お前が読んだことでどうせ裏山に行こうなんぞ考えてるんだろ?」
裏山・・・。確かに行ってみたいが・・・。
「行かねーよ!俺は、仲間達と約束したんだ!行かねーってな!」
すると、彩人は鼻で笑う。
「だと、いいがな・・・。」
そして、俺の額に指をさす。
「最後の警告だ!裏山に言っても何もない!ただ、あるものといえば・・・。その後の悲劇だ!」
!!?
彩人はクールに笑いながら玄関へ・・・。
「悲劇・・・か!?」
俺は好奇心が抑えられない。
平泉彩人!確か・・・今日の野球大会の相手ピッチャーだったけな!?