6.
「お…お前、うちの可愛い孫娘に何をするんだ!」
どちらかというと、俺がされたんだが?
「フンッ、たかだかカルロ商会の小僧だろう?グランデ商会の相手にもなんないわ!さっさと立ち去れ!」
言われなくても去るってば。
「カルロ商会長。グランデ商会は各取引ごとに独自のルートを確立しているようです。おそらくは香辛料についても同様かと……。それと全く俺の勘みたいになってしまうのですが、グランデ商会は商会長よりもその孫娘のレオナの方が危険かと」
「レオナねぇ……。どうしてそう思う?」
「グランデ商会長は保守的。現在王制のうちはいいだろうと孫娘も読んでいます。しかし『そんな姿勢も王制ではなくなった時にどうするんだ』と既にレオナは考えています。そのように先を読んでいるところが現在の商会長よりも危険視している点です」
「なるほど。商人として先を読む力は重要だ。その力に長けているレオナは危険だと?」
「そのように思います。今回の香辛料の取引争奪戦に表立ってレオナは出てきませんが、今後危険になってくるものと思います」
「頭に入れておこう」
「独自のルートねぇ。厄介だ。この争奪戦、T国主催みたいなもんだよなぁ。T国に輸送ルートについてはどの商会も同じルートを使うように働きかける事は……ってT国の王侯貴族はグランデ商会寄りなのか?」
俺が作った“俺”が自信なさげだ。俺は『常に自信に満ち溢れているような』というアバターを作ったはずだが、そこまで凹むことなんだろうか?
「では、やはりこちらも独自のルートを開拓いたしましょう。ただし、この国に入ってからです。俺が実際に輸送ルートを視察して輸送に向いているかどうかを確認いたします」
T国から示された輸送ルートは酷いもんだった。
確かに雪を避けているんだろう。だが、雪解けの水で馬が足を取られてしまう。これでは輸送に時間がかかってしまう。=香辛料の質の低下。並びに輸送費の増加だろう。
「はぁ、明らかなる妨害工作か?明らか過ぎて何も言えない。これなら雪の上の方がまだいいな。でも、雪の上……馬車にソリをひかせるというのはどうだろうか?ただし国内に限るけど。寒いから香辛料の質の低下は防ぐことが出来るし、多少時間はかかるかもしれないが、質の低下は防げる。時間がかかると言っても、他の商会よりは早いだろう」
「そういうわけで、T国から示された輸送ルートは酷かったですよ。雪はありませんよ、確かに。ただ、雪解け水で馬がなかなか進めませんでしたけど!」
俺はプンスカと商会長に説明した。
「まぁ、そう怒るなよ。お前の事だ、解決策も持ってきたんだろ?」
悪戯っ子のように俺の方を見る商会長の顔が眩しい!俺が設定したハズだがイケメンの悪戯っ子顔の破壊力は陰キャには吸血鬼に太陽の光を浴びせるよう。
「そうなんですが。T国を越えてこの国に入った後は正規のルートを通るのです」
「雪が積もっているんじゃないのか?」
「確かに大量の雪でしたよ?見ましたから。あれだけあれば当日までに全部が融けきるという事はないでしょう。その雪の上をソリで移動するのです。馬にひかせます。馬も楽でしょうね。普段よりも楽々移動できるのではないでしょうか?」
「はぁ、なるほどな。寒いから香辛料自体の品質の低下も防げるというわけか?」
「全くその通りです。流石は商会長ですね」
カルロ商会長の悪戯っ子顔。見てみたし。灰になってもよし。




