5.
俺が色々とグランデ商会について調べているうちに、商会長が香辛料の独占販売権を巡る商会の争奪戦に今年は参戦するって宣言したらしい。
グランデ商会の商会長は当然のように「若い商会が出しゃばるな」って言うし、他の商会からも「無謀だ」という意見(と嘲笑とか?)が多数出たらしい。……そうかなぁ?カルロは出来る子だし、やってみなきゃわからないと俺は思うけど!なんか、「俺が作った“俺”を馬鹿にするな!」って気持ちがある。「うちの子を馬鹿にしないでよ!」みたいな?
香辛料の相場、この商会が提示する価格なんかをカルロとも相談した。
その中で、T国の輸送ルートが昨年と異なる事に気付いた俺はカルロに進言。
「これはどういうこと?」
「前年よりも雪の量が違って輸送ルートを変えざるを得なかったらしい」
「ふーん、それならカルロ商会独自で輸送ルートを確立してはどうだろう?」
「なるほどなぁ、それなら独自のルートだから輸送費にかかるコストの削減にもなるだろう。しかしだ。T国が許すだろうか?」
なんだよなぁ。こういうのは政治力があるグランデ商会が得意なんだよな。ん?得意?
「商会長……まさかなんですけど、グランデ商会は独自の輸送ルートを確立していたりしないでしょうか?それならば、毎年のようにグランデ商会が毎年この大口契約を取れるのも納得です」
政治力があり、王族や貴族に人脈があるグランデ商会なら秘密裏にやりそう。
グランデ商会は独自のルートでコストを削減しつつ、香辛料を輸入。対して他の商会は与えられた輸送ルートで輸入。……出来レースじゃん?
「商会長!俺。少々危険かもだけど、グランデ商会の独自のルートについて探ってみます!」
「わかった。……危ない目には遭わないようにな?」
それは保証しかねます。多分ここには“転移”って形で来てる以上、“死”というものもリアルなんだろう。VRMMOの世界だったらなかったけど。
俺はとりあえず、普段グランデ商会が取り引きしていると思われるものについて探りを入れてみた。
なるほど、各モノにそれぞれ独自のルートを確立していて、他の追随を許さないようにしているわけか。これが歴史ある商会ってわけか……。まぁ、政治力は敵わないけど、独自のルートがバレバレだな。おそらく香辛料についても……。
「あら?あなたは確かカルロ商会の商会長さんの片腕さん?」
誰?この顔…。グランデ商会の商会長の孫娘?俺の中での要注意人物だな。
「初めまして。カルロ商会のマルコと申します」
「丁寧にありがとう。私はグランデ商会のレオナよ。おじい様のやり方は古臭いのよねぇ。いつまで王族とか貴族とかにしがみついているのかしら?」
ごもっともです。
「王制じゃなくなったらそんな制度なくなるわよ?主なるお客様は庶民の方になるでしょうね。贅沢品ならば裕福な方ね。普段使いなら身分なんか関係ないわ!」
うーん、俺の読みは当たってるか。彼女は危険だ。
彼女は身を乗り出して俺が調べたことを書いているメモを見た。
「うちの商会について調べてるの?へぇ、輸送ルートねぇ。今まで調べてる人は沢山いたけど輸送ルートに目をつけてる人はなかなかいなかったわ。しっかり覚えておくわよ」
彼女は俺の頬にキスをした。
なかなか肝の据わったお嬢さんのようですね。




