3.
運よく(?)寮母さんがいたので、俺の部屋を聞き出すことが出来た。
「大変ねぇ。いつも溌溂としてるマルコさんなのに疲れてるのね。自分の部屋の場所もわからなくなるほどだもの余程よね」
なんか申し訳ないです。ただ知らないだけです。以後気をつけます。
翌日には頭もスッキリとしていてこれならば仕事に差し支えは全くないと思う。
「おはようございます!商会長。昨日は格別の配慮をありがとうございました。昨日の分までも今日は働きたいと思います!」
「お、おう。まぁ、やる気になるのはいいがほどほどにな。またあんな風になってはたまらんからな」
ふと、商会長の机の上の帳簿が目に入った。目に入ってしまった。事故です。
「商会長。この数字ですが。おかしくありませんか?この部分と前年度の数字が顕著に違います」
「そうだなぁ。担当曰く、その地区での売り上げが非常に良かったからだという事だが?」
「恐れながら、非常に良いと言うからと言って売り上げが伸びるようなものではありませんよ?ガラス……」
ガラスを何もないのに大量発注?大規模な建物を作ったわけでもないことは、その地区の感じからしてわかる。確か農村地区。ガラス??割れまくるような事あったのか?ガラスのみの大型建築とか?いやいや、そんな技術はサンライの世界にはないよなぁ。
「確かにな。何か災害があったわけでもないしな」
「これは担当者にもう一度聞き直すべき事柄だと思いますが?小間使いの分際で分を弁えずにすみません!荷物運びの仕事に戻りますね!あと背筋を伸ばすようにします!」
あー、ついつい目に入ったから口に出しちゃった。
アレは横領とかだよなぁ。あんなにわかりやすく証拠を残して……。商会長の事を若造とか侮ったのか?
俺は小間使いとして、働くようになった。まだまだなんか腑に落ちない部分はあれども、十分すぎるほどの給料は頂けるし、荷物を運ぶ程度で給料が頂けるなんて俺は幸せだ。殴られ、唾を吐きかけられていたような人生とは全く違う。
商会長の言うように背筋を伸ばすようにしたところ、俺でもそこそこモテるようになった。とはいえ、なんだかミーハーな女性には興味が湧かなかった。商会長もそんな感じなんだろうか?
小間使いとして働くようになって久しくなった頃、俺は商会長に呼ばれた。
呼び出し=ヤキを入れられるという図式がどうしても頭から離れない。小心者の俺はまだ心に住んでいる。
「久しぶりだなぁ、マルコ。マルコがよく働くっていう話はいろんなところから聞いてる。そんでなぁ?この間の帳簿の事なんだけど……」
商会長は部屋から人払いをした。
「担当者を問い詰めたら、横領を自供した。自供したから市警団に渡したよ。全く、この商会から犯罪者が出るなんて、考えもしなかったよ」
ため息交じりにカルロは言う。
それは俺のせいだからってボコるの?だから人払い?
「マルコ。お前さぁ、小間使いなんかやめて俺の右腕として働かないか?」
はいぃ?
これは…なかなかの出世ですか?




