21.
「商会長!新商品について考えが浮かんだんで起きて下さい!」
「……おい、お前の大事な右腕が困ってるぞ。起きた方がいいんじゃないか?」
やっとのことで商会長が起きた。商会長が酔い潰れるなんて珍しいな。そういえば。仕事、かなり忙しくて大変なんだな。胃は大丈夫なのか?
「俺がちょっと考えたのは、香辛料を使ったお菓子です。ただのお菓子じゃないですよ?もちろん。想定している購買層は庶民で年齢層は幅広く。『スパイス・ハーブクラッカー』です!」
「何だそれは?」
「そうなりますよね?それがまず重要なんです。味の展開は4種類①ほんのりスパイスが効いているもの。 ②ハーブが香るもの ③甘じょっぱいもの ④プレーン の4種類。①についてはほんのりスパイスなので商会長でも平気な感じ。これは主に若年層というか若者向けです。「なんだよこれ?うまいじゃん?」と言わせるのが目的。②についてはマスターに協力をお願いしたいです。疫病をなんとかしたことで、ハーブへの信頼度が上がっているところです。ここでとどめのようにハーブの香りがするクラッカーを」
「……ああ、わかったよ」
俺はなんか変な感じがしたけどそのままプレゼンを続けた。
「③については酒のつまみとしてここでも提供できますし、他の酒場でも提供可能。ちょっとした、酒のつまみにちょうどいい感じです。④のプレーンは保存が利くし、料理にも使えるということで、主婦層をターゲットとしています。 こんな感じなんですけど?」
「いいんじゃないか?それはそれとして、マスター、俺に二日酔いにいいハーブティーをください」
「……全く。乱暴な飲み方をするからだ‼ 胃にも悪かろう」
「スイマセン」
俺の話は?
「あの……俺の提案は?」
「明日にでも、書面にして会議にかける。それからだな。俺だって香辛料地獄から脱却したい」
切実だな。
翌日俺は商会の会議室でプレゼンを行った。
「……この4種類の味の展開をしたいと考えています」
「まずは試作だな。ほんのりスパイスは、本当にほんのりとスパイスを感じる程度。でも「なんだよこれ?美味いじゃん!」と言わせられるようなものにしたい。……とにかく、ベースとなるプレーン味が最初だろう」
クラッカーだから保存は効くとして、『スパイス・ハーブクラッカー』だから、プレーンでも少しはスパイスをそれとハーブも。スパイスの量の基準はいろんな料理に使える。それがプレーンだよなぁ。できれば無味・無臭がいいけど、香辛料だし、香りと辛味がウリなんだろう?
監修で会議に出席しているマスターが、スパイスとハーブの組み合わせを教えてくれた。
「プレーンなら、オニオンパウダーとパセリにローズマリーを少々ってとこか?」らしい。
「パセリはクラッカーに彩を添える役割もある」
プレーンはそれでOK。
試作をしてみても問題はなさそう。
ほんのりスパイスの‘ほんのり’の基準は商会長の胃。商会長が気分悪くならなければ、量が丁度いいということになる。
「これは、若者に「美味いじゃん」と言わせたいから、若者好みの味ってことか?ベースにプレーン味があって、『ほんのりスパイス』だけど…」
「ブラックペッパー(粗びき)とタイムでどうだ?」
ブラックペッパーは若者に好まれる味してるよなぁ。ラーメン屋によくあった。試作の段階でブラックペッパーの量を多い・普通・少な目で作った。
「俺(俺の胃)としては多いよりも普通に近い方がいいかな?」
と、商会長が言うので、そのように試作をし、商会長のOKを貰い。決定。
ハーブ香るってやつは、香辛料よりもハーブの比重を多くするのかなぁ?と思ったけどそうでもなかった。
「あの二日酔いにいい感じのハーブは?」
「えーっとレモングラスにミント?爽やかな感じになりそう」
「スパイスはごく少量のシナモン」
甘じょっぱい酒の肴になりそうなやつは?
「ブラックペッパーにローズマリーで塩だな。結局のところしょっぱくするには塩なんだよ」
このように決定していった。




