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『この街で、俺はもう一度生きる』ーー異議あるか?  作者: satomi


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20/21

20.


「全く、今回も俺ばかりがあっちこっちに移動して大変だったんですよ!商会長はその間何をしてたんだか」

 俺はまた一人でSanctuary Silentに来ていた。

 寡黙なマスターに、店内に響くウッドベースの音がなんとも心地いい。

 カランと俺は一人でカンパリ・ソーダを飲んでいた。


 カランカランと扉が開く音がする。

「あら?今日はあなた一人なの?」

「俺と商会長はセットじゃないですよ!」

「マスター、私にはアマレットをお願い」

 商会長の元カノ。俺の方がなんだか気まずい……。


「はぁ、グランデ商会の改革って楽じゃないもんねぇ。古い慣習を捨てて新しくって難しいわ。これなら、ゼロから新しく紹介作る方が楽よ」

 そう言ってアマレットを飲む。

 確かになぁ、貴族様重視を捨て去る。ってこれだけでも重労働。何よりも街の人がグランデ商会は『貴族様ばかりを気にする』ってもう色眼鏡で見ちゃってるからなぁ。

 カラカラとグラスの氷の音を鳴らすレオナからマスターはグラスを取り上げた。

「……飲み過ぎたんだろう」

 マスターに言われてレオナは帰ることにした。

 ? まだアマレット1杯だと思ったけど?

 レオナと入れ替わるように商会長が入ってきた。

「マスター、アマーロ・サワーを頼む」

「商会長。正直、俺が海の上にいる間とか何してたんですか?」

「仕事だ仕事!全く、マルコがいないってだけで使えねーやつばかりなのな。そんなやつ雇った覚えないのに」

 ちょっと嬉しい。

「仕事って何です?」

「あー、マルコだし、あとはマスターしかいないからいいか。香辛料を使った新商品の試作。マスターのハーブティーにどんなに胃が救われたことか!」

「それは大変ですね。で、完成したんですか?」

 俺もグラスの氷を鳴らしながら、聞いてみた。さりげないだろうか?

「ブハッ、お前。わざとらしさがありありと。わかりやすいなぁ。まぁ、それは置いといてだ」

 置いておかれた――――‼

「まだ完成してないんだよ。俺の胃はまだ危険な状態にいる」

「そんな状態なのにアマーロ・サワー飲んでいいんですか?」

「ストレスだって溜まるんだ。酒だって飲みたくなる」

 煽るようにアマーロ・サワーを飲んだ。

「……そんなに乱暴に飲むような酒をここに置いた覚えはない」

「悪い……」

 商会長はチビチビと飲み続けた。


 香辛料を使った新商品?

 えーっとここはイタリアっぽいところ。

「商会長、新商品の狙う購買層は?女性とか年代とか」

「割と若者向け。庶民からどこまでも」

 酔ってる……。

 買い食い系か?カフェで食べる系?持ち歩ける方がいいのか?あ゛―‼商会長が酔ってるから話を詰めれないじゃんか!




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