2.
気づくと俺は見慣れた世界にいた。
これは……異世界転生ってやつだろうか?見るからにここは“俺”がトップのあのVRMMOの世界だよな?ってことは…俺はイケメン商会長に転生したのか?
キレイな石畳が敷き詰められた街並みのショーウィンドウで俺の姿を見た。かなりの期待を込めて。
違う“俺”じゃない!むしろ誰?
「何をやってるんだ?マルコ!モタモタしてないで、この荷物を運べよ」
この声の主は“俺”⁈
振り返ると確かに“俺”はいた。
長身のイケメン。商会長で、仕事が出来る。……カルロ‼ 遠くから様子を窺ってるのか?女の姿が見える。
「えーと、カルロ様?」
「なんだよ気持ち悪いなぁ。いつもみたいに「商会長」って呼べよ。気持ち悪い。なんか悪いモノでも食べたのかよ?ハッ、まさか……拾い食い?いや、俺はそこまで鬼畜に貧しくなるようには雇っていないぞ。十分な給金で雇っているハズだ!」
商会長は声も素晴らしい。って俺が作り出した“俺”なんだけど?
「マルコさぁ、背筋を伸ばせばそれなりだと思うんだよなぁ。猫背のせいで人生損してるぜ?絶対に」
そうそう、いいやつなんだよ。カルロは。アドバイスしてくれてさぁ。だから人望も篤くて。って全部俺が設定したんだけど…。
俺は“マルコ”ってカルロ商会の小間使いなのか?異世界転生ってそういうものなのか?テンプレだと異世界転生ウハウハ人生こんにちは!だけど?俺は俺が作り出した人格に使われるのか?疑問はあとからあとから湧いてきて、俺の頭はショート寸前。
「マルコ、話し込んでしまったけど、そこの荷物運べよ!」
「はい、商会長」
コレが今の俺と、俺が作り出した“俺”との差なんだろうか?
猫背がいけないのか?俺はなんだか自分が情けなくなった。自分で作りだしたアバターにすら負けてしまって(精神的に)。
長身イケメンの世界一の商会長とその下で働く小間使い……。俺が作り出したアバターのハズなのに、何故俺は使われないといけないのだろう?とは思うものの、この世界で俺が生きていくためには仕方がないのか。と思い直し、運ぶように言われた荷物を運んだ。
「マルコ、今日はなんだか疲れてるのか?帰ってゆっくりしろ、業務命令だ!」
と、言われても……こいつ(マルコ)の家はどこなんだ?そもそもわからん??
「えーと、俺ってどこに住んでましたっけ?」
「はぁ?お前はこの商会の独身男性寮だろう?」
どこだ?俺が建てたんだよな。福利厚生も重要だからって。
「どこでしたっけ?」
「本当に疲れてるんだなぁ。誰か!マルコを男性独身寮まで送り届けてやれ!」
商会長の声に反応し、今まで門番をしていたかの男性が俺を送り届けてくれた。
はてさて、この独身寮の中で俺の部屋はどこだ?送ってくれた門番さんもいい人だよなぁ。
自分作成人格にはなれませんでしたー。ザ・完璧マンだもん。




