19.
疫病騒ぎで新たな香辛料の輸送ルートを探す必要があった。
「酷い目に遭いましたよ。全身痒いし、痛いのも辛いですが、痒いのも辛いものです。カルロ商会でハーブを手配していただいたおかげですっかり良くなり、眠れる夜がやってきました」
確かになぁ。痛いのも我慢できないけど、痒いのも結構なもんだよな。眠れなかったんだ……。辛いな。痛くても眠れるかも。…しれない。
「湖に沿ったルートを使えないとなると、他のルートを探さないといけないのですが、大使に思い当たるものはありますか?」
「湖がダメなら遠回りになってしまいますが、いっその事海に沿ったルートというのはどうでしょうか?」
「大使がご存じないんでしょうか?天候によっては海が荒れてしまうのです。高波に荷物が攫われてしまう可能性もあります。馬車ごとなので馭者さんと馬まで海の藻屑となってしまうでしょうね。その際の損失は計り知れませんよ」
俺がため息交じりに言う。大使は本当に内陸でのみ育ったんだろうか?あと、商会長も。俺はほら、テレビで台風情報とか見たことあるし。この地方は大丈夫なの?
「カルロ商会長殿の片腕のえーっと」
「マルコと申します」
「マルコ殿は心配性ですなぁ。私の実家は海沿いに住んでいますが、高波など来たことありませんよ?この地方で波乗りを楽しみたい方なんかは他の地方へと移動してしまいます」
「そうなのですか?全くの杞憂でしたね。カルロ商会長、海に沿ってではどうでしょう?」
「気温は涼しいだろう。しかし、海風は塩分を含んでいるのでは?せっかくの香辛料の香りの方がダメになるのでは?塩分が本格的ならば味の方に影響も……」
難しいなぁ。
「ハハハ、香辛料を海風に晒して通るわけではないから、カルロ商会長が心配するような事はないですよ」
またしても俺が実際に輸送してみた。
確かに、海風が来る。ぬるいなぁ。香辛料はどうなんだろう?
「うむ。海に沿ったルートは風がぬるくて香辛料がダメになるから、使えませんね」
結構、時間かかったんだけど?
「では、いっそのこと海運ではどうでしょう?春夏秋冬変わらずに輸送できるので、こちらでも管理をしやすいです」
「ふむ、確かに海の上ならば陸よりも温度が低いな。湿度の管理をしなくてはならないが」
「海で運ぶのですから大々的に、保冷庫ごと船に乗せてしまうのはどうでしょう?そうすれば万事解決です」
「なるほど。しかし、海には海賊が……」
「海賊が金品ではなく香辛料を?それはなんだか不自然です。金品ではない香辛料は狙われないでしょう」
「いや、保冷庫を狙うかもしれないぞ?」
「大型のものを?持ち運びが不便ですよ?海運業者の方に運んでいただくのです」
またもや俺が実働で借りだされた。俺は密かにカルロって船酔いするんじゃないかなぁ?とか思っている。
海運は時間がかかるがそれだけで、香辛料の品質を落とさずに輸入することができた。商会としても、保冷庫ごとなのでどれだけ輸入したかなどの管理をしやすくなる利点があった。




