17.
どういうことだ?確かにあの疫病はヘレナが感染してしまった感染症に類似している。しかし、ハーブなんてたかが野草だろう?そんな価値があるものだと思わない。しかし、ハーブが今回の疫病に効果的なのはよくわかった。
ヘレナはハーブを研究していたが。ハーブの価値なんかを見出そうとしていたなぁ。懐かしい思い出だ。
しかしまさか、そこらへんの野草みたいな男にひっかかると思わなかったが。
一応そいつも商会を経営していたな。あの疫病の責任をひっかぶせて、二度と商会なんてできないようにしてやった。今はどこで何をしているんだか知らない。興味もない。
その男と引き裂いた時は驚いた。まさかヘレナが妊娠しているとは思わなかった。ヘレナ曰く「あの人の子」ということだった。産まれてきた子はヘレナに生き写しの可愛い女の子だった。私はレオナと名付けた。もうそこらへんの男にひっかかるような事はさせない!
レオナが生まれた時にヘレナは疫病にかかってたからなぁ。亡くなってしまったのが口惜しい。
前に一度レオナがカルロ商会の商会長と付き合ってたことあったけど、別れさせた。レオナには王侯貴族が相応しい。たかたが商会長程度の男などダメだ。
酒の力って怖いというか偉大というかだと思う。
「商会長!なーんでレオナさんと別れたんですかぁ?」
遠くでカクテルグラスの細長い部分が折れるような音が聞こえた気がする。
「ああ、コイツにはまだカンパリ・ソーダが早かったんじゃないか?グランデ商会の爺さんが俺らの仲を引き裂いたって言えば美談か?あの頃はまだ商会としてもまだ小さったし、若気の至りだな。そんなわけでキッパリサッパリ別れてるんだが。なんか不思議なことでも?」
「別れたカップルってギクシャクしたりとか、そんなのがないから不思議だったんですよね~」
「別にどうでもいいんじゃね?事実として残ってるだけ。以上だ」
「はーい」
「マスター、こいつにカンパリ・ソーダはまだちょっと早かったんじゃない?」
「ほんの少しですね」
俺は飲み干したロックグラスに残った氷をカラカラ鳴らしてちょっと考えてみた。
「マスター、おかわり頼む!」
「……少々お待ちください。こちらの後片付けを」
「珍しい。マスターがグラスを割ったのか?レアだな。写真が撮れるなら撮ってるところだ」
「いやはや、お恥ずかしい」




