15.
「グランデ商会長は私がその時手掛けていた取引先との取引について、あらゆる不正を私にかけました。不正といっても、刑務所に入るようなものではなく、商会として生きていけなくなるようなものですけれど。こうして私とヘレナは無理矢理のように引き裂かれたのです」
「うわっ、おじい様最低。問い詰めなきゃ!」
「でも、どうやらその時すでにヘレナは子供を身籠っていたようですね。貴女はヘレナにそっくり。生き写しのようだ。グランデ商会長が溺愛するのもわかる気がする」
「すると、マスターが私の実の父?」
「そうなるようですね。ヘレナは出産後に亡くなったと聞いています」
「私もそう聞いてるわ。産後に亡くなることは珍しいことじゃないから。でもまぁ、あの父さまが実の父じゃなくて良かったわ。気色悪いもの。やたらとおじい様にオベッカを使って後継ぎにでもなろうとしてるのかしら?お生憎様。私がグランデ商会を改革する予定なのよ。私が(・)後を継ぐのよ!」
「意志が強いところもヘレナにそっくりだね。ここの場所のことは君のおじい様には秘密にしておいて欲しい。今でもグランデ商会長は私を恨んでいそうだから。ヘレナが亡くなった原因も私のせいだとしてるんじゃないか?そういえば、君は何故ここに?」
「カルロ商会長とマルコだっけ?がよく通ってたみたいだったからちょっと興味が湧いたのよ。母さまの名前を聞くとは思わなかったけど」
レオナは肩をすくめて話していた。
その様子を目を細めてマスターは見ている。『ヘレナ…君と私の子は逞しく育ったよ……』
「マスター、えーっと……父さま?またここに来てもいいかしら?」
「『父さま』はくすぐったいな。マスターでいい。ここへは好きな時に来るといい」
「ありがとう」
そう言って、レオナは店から出て行った。決意を胸に秘め。
翌日もSanctuary Silentに俺は行った。やっぱり商会長もいた。
「あの疫病に対してはお手上げだな。感染ルートすらわからん」
「商会長、感染者をまとめたものとこの辺の地図を同時に見ると、結構見えてきました。感染者が多いのは、この富裕層が多い地区。さらに言うと、お貴族様のお屋敷付近ですね」
「というと、お貴族様特有のものが感染源になっている可能性が?」
「そうですね。ほら、この間輸入した香辛料だとか?」
「香辛料か……湖の風の風下の地域はどうなっている?」
「商会長……ビンゴです。感染者が蔓延しています」
「そうなると、香辛料の輸入の一時停止だな。T国大使に連絡せねば!」
「それがですねぇ。T国大使はすでに感染済みです。なにしろ香辛料がお好きな方ですから」
「感染ルートがわかっても対策と治療法がわからないとどうにも……」
「半分はカルロ商会のせいですからね」
「そうなんだよなぁ」




