13.
「ふーむ、今は湖からの風も低いですからなぁ」
ああ、寒かったよ!で、味と香りはどうなんだ?
「うん、時間はかかるがどちらもT国で食べるものと遜色がない」
真夏はわからないな。普通に地面を走る馬車よりはいいだろう。
俺はなんとなくSanctuary Silentで愚痴を吐くようになった。やっぱりマスターの人柄とかかなぁ?他の誰にもないものがあるよなぁ。
「ってさぁ、苦労して運んだのに真夏はわかんないね~って評価。ひどくね?」
「……」
マスターは無言でグラスを磨いてるだけだけど。この数カ月で俺も結構飲めるようになった(と思う)。危ない時はマスターがセーブしてくれるから助かる。
カランカランと音が鳴り、お客様が入ってきた。
「またかよ……」
カルロ商会長と俺はここで結構会う。約束してるわけじゃないけど、かなりの確率でココに来たら会う。
商会長にはアマーロ・サワーが出された。
俺の手元にはリモンチェッロがロックで。ちょっとは大人っぽく見えるだろうか?
「おっ、少しは飲めるようになったみたいだな。まだまだだけどな」
そんなウォッカをロックで飲むとかは無理。
カルロの真似をしてグラスの氷の音を立ててみた。
「真夏に香辛料がどうなるかなんて誰にも分りませんよね?むしろ今まではどうしてたんでしょうね」
「香辛料なんて使うのはお偉いさんばかりだから、わかんねーよ」
カルロがグラスの氷の音を立てるけど、やっぱりさりげなくてカッコいいと思う。
俺は……もうほとんどからのグラスだったしなぁ。
「マスター、おかわり!」
「マルコ、あんまり飲み過ぎすなよ。明日も仕事あるんだからな?」
ふーんだ、美味しいんだもん。このお酒。
俺もグラスの氷をカラカラと鳴らす。
「おいおい、なんだよ音を鳴らしたかったのか?下品だな」
下品……やっぱり俺はまだまだなんだな。
「なんで、香辛料の取引争奪戦に参戦したんですか?胃腸弱いのに」
「最後が余計だ。今の商会をより大きくするためかなぁ?現状に満足しているようじゃダメだろう?」
商会長はグラスの氷をカラカラ鳴らしながら話をするけど、ちっとも下品じゃなくて様になってカッコいい。俺とは違う。
「でも、まさかというか自分の商会だけ見ていた報いなのか、グランデ商会があんな動きに出るとはなぁ」
「正直言って、子供の癇癪みたいですよね~」
「正直に言いすぎだ。言い得て妙だが」
「お前の言い分もわかるんだ。利率を考えずに売れば、庶民的にOKだろう。でもなぁ、カルロ商会にはお前を含めて何百と働いている人間がいる。そいつらを養っている以上簡単には答えは出せない」
商会が大きい故の悩み?




