11.
「キリキリ働け~‼」
商会内にカルロの声が響く。昨日(今日未明?)の優しさが嘘のよう。
「商会長、何かあったのですか?」
「グランデ商会のやつがあらゆる取引をストップしやがった。まぁ、その分グランデ商会としての収入は無くなったんだけどな」
ああ、今朝ここへ来る途中に近所の主婦の方々が愚痴ってたやつか……。あれは商会じゃなくて、商品を実際に買う人が困るんだよねぇ。
「あ、「庶民としてはいろいろと高くて困る。」だとか「香辛料の争奪戦に負けた腹いせなの?しわ寄せは庶民にきてるじゃない!」とかすごく怒ってましたよ」
「だからだ。全力でうちの商会が出来ることをするんだよ!」
出来る事……高くて困るって言ってるから、利率を下げる?あとは取引先との取引をさらに深めるかな?
グランデ商会が子供みたいに不貞腐れて取引しないなら、その取引を全部いただこう!って動きと今取り引きしてるところとより関係を深めるべきだな。
それで商会長が朝からあんなんなのか……。
「マルコ!今のうちに一気にグランデ商会がほぼ独占状態だった取引先との取引もこのカルロ商会が頂くぞ!」
「商会長、落ち着いてください。国家間取引があるものがあるので、そういったものの取引先を奪うのは難しいでしょう。それよりも今うちが持っている取引先との関係を深めた方がいいのでは?」
「お、おう。なんだか、俺にしては先走ってしまったな。マルコの言う通りだな今は所有している取引先との関係を強固にした方がいいか」
「あの~、市場に出てる品物の値段をもっと下げることってできませんか?」
「それなぁ?頭が痛くなる問題なんだよ。利率を下げるって話だろ?うちは結構下げてる方だと思うんだけどなぁ?」
庶民目線だとまだいけます!
「先ずは取引先との関係を強固にしてだなぁ。それから考えることか?」
主婦さんは今まさに値下げを求めてるんだよなぁ。
その日の夜、俺はなんとなく二日酔いを解消してくれたバー、Sanctuary Silentに行った。
「俺は今すぐにでも、値下げをしなきゃいけないと思うんですけど、商会としては今まで築き上げた取引先とより強固な関係をきずいておくべきってことなんですよね~」
「……」
無言のマスターに愚痴を聞いてもらう。
「こんなことは他の人に言うわけにいかないから、マスターに聞いてもらってなんだかスッキリした!ありがとう!……あれ?俺、何しにココに来たんだろう?飲んでないや」
「……また二日酔いになりたいのか?」
「あ、それは勘弁したいです。えーっと前と同じハーブティーをいただけますか?」
マスターは用意していたのか、すぐに出てきた。
はぁ、やっぱり落ち着く。
カランカランと入り口についているベルの音が店内に響く。
「なんだよ?マルコ、来てたのか?」
「ちょっとね。ハーブティーをいただきに♡ これ美味しいんだもん」
「俺はアマーロ・サワーを頼むよ」
やっぱりグラスを傾ける仕草をするカルロは大人の男!って感じでなんか負けているなぁ。俺も早く酒に強くなりたい。今度一人だったら、マスターにどうやったら酒に強くなるのか聞いてみようかな?
「……ちょっとは庶民のことも考えて商売してくれよ?」
マスターがお通し(?)のようなナッツ類をカルロの前にさしだした時に、呟いた。
そうだよな。ここだって商会直属の店ってわけじゃないから卸値とか関係あるだろうし。大変だ。俺の愚痴をさりげなく商会長に伝えてくれたのかな?
「そうだな」
何故、マスターの言う事は聞くんだよー?俺はまだまだ人生経験足りないのか?そうなのか?




