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『この街で、俺はもう一度生きる』ーー異議あるか?  作者: satomi


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10/21

10.


 お酒に憧れはあった。現実世界の『井上真』は高校生。まだ法的にお酒は飲めません!サンライの世界では、もう飲める年齢のようだ。自分で自分の年齢を知らないってのも変だけど。カルロは雇用主だし、雇用している人間の情報くらい知っているんだろう。俺は知らない。

 その夜、俺は人生初の酒となった。


「おい、マルコ!お前、酒に弱かったのか?」

「知りませ~ん。それよりも、あのプレゼンは何だったんですか?普段の商会長とは別人のようによいこちゃん」

「はぁ、こいつは絡み酒なのか…。プレゼンでよいこちゃんは当たり前だろ?相手の印象よくしないと採用されないんだからな!」

 俺はそれから意識がなくなった。

「……眠っているようですよ?」

「仕方ないなぁ。俺がこいつを連れて帰るか。マスターまた来る。こいつも徐々に酒に強くなるだろ?」

「……ウォッカをボトルキープしますか?」

「そこまでしなくても……」

「……冗談ですよ」

 何事もなかったようにマスターはグラスを磨き続け、店の中には心地よくウッドベースが響き渡る。

「また来る」

 商会長のそんな声が遠くで聞こえた気がする。


 結局、商会長はあんまり飲めなかったと翌日に愚痴をこぼされた。俺はというと、二日酔いなのか?頭がガンガンする。


「やっぱりなぁ。マルコ、お前は今日は部屋で休んでおけ、商会長命令だ!」

「いや…でも……気になるとこが……」

「め・い・れ・い」

「……はい」


 俺はこういうのに弱いのかなぁ?使い物にならない……かもしれないけど、仕事場にくらいいたかったなぁ。

 そんな事を思いながら部屋でベッドに横になり、ゴロゴロとしていた。寮母さんに心配されたけど、寮母さんもどうしていいのかわからなかったみたい。


 夜も更けたけど、昼に休んでたせいか俺はちっとも眠れる気がしなかった。

 トントントンと部屋をノックする音が聞こえる。

 ここで部屋に来るのは寮母さんくらいのもの。なんだろう?

 俺はドアを開けた。

「商会長⁈」

「おう。ちょっとはよくなったか?」

「おかげさまで、ちょっとは……」

 本当に少しだけど。ガンガン頭が痛かったのが、カンカン痛くなったくらいの差だ。

「これから、出かけるぞ!あのバーだ。Sanctuary Silentだ。」

 へ?


 俺は言われるがまま部屋から連れ出されて、バーへと行った。

 心地いいはずのウッドベースの音が頭に響く……。

「マスター、こいつ二日酔いなんだけどマスターならなんかうまいこと二日酔いのハーブティーとかできそうだなぁと思って連れてきた。こいつにはハーブティー。俺は、そうだなぁ……マスターのお任せで適当な酒を頼むよ」

 二日酔いだっていうのによりにもよって、バーに連れて行く?

 マスターの特製ブレンドだという二日酔いに効くハーブティーは爽やかな飲み口で、後味もスッキリ。頭がスッキリとして来るのがわかる。

 カルロが飲んでるのは、アマーロ・サワー?

「……ストレスも溜まりそうだからな」

 アマーロって胃にいいイメージ。マスター優しいな。寡黙だけどさりげない優しさが染みる。俺もスッキリしてきた。明日にはきちんと仕事が出来そう。ウッドベースの音も心地よく感じる。

「マスター、ありがとう。二日酔い良くなったよ。明日からまたいつも通り働けそう!」

「おいおい、ここに連れてきたのは俺だろう?」

 カルロが持っているグラスの中の氷の音がカランと響く。



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