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区役所勤めの魔王様  作者: はるくぼ
第2章 異世界準拠の当たり前

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第19話 魔王様の新武装

ある日のことだった。


「佐藤殿、薄々感じていたが我の服装はもしや異端か?」


佐藤はキーボードを打つ手を止めた。


「……どうしたんですか、急に」


「今日窓口で、小さな子供を連れたご婦人の対応をしていたのだが――」


ダルクは、ほんのわずかに眉を寄せる。


「子どもに、泣かれた」


「……あー」


佐藤は察した顔をする。


「どんな感じだったんですか?」


「子どもを連れたご婦人が我の窓口に来たんだが――」


――――――


窓口越しに、ダルクと三歳ほどの子どもが目を合わせる。


子どもはじっと見つめる。

ダルクも、じっと見つめ返す。


『……ママ』


小さな声。


『このひと、みんなとおようふくがちがうよ?

なんかこわいねぇ』


『こら、しー。

あっ、すみません』


ダルクはニッと嗤いながら答えた。


『魔王の威厳が出ているだろう?どうだ、格好いいか?』


子どもは再度ダルクを見、そして―――


『……こわい』


わっと泣き出した。


――――――


「―――ということがあったのだ」


「いやそれは服装というより雰囲気の問題では……」


佐藤は肩を震わせながら答えた。


「子どもが違和感を感じた入口はこの服装であった。

ということは、この服装に原因の一端があるのだろうと我は考えた」


ならば―――、とダルクは続ける。


「我も佐藤殿が着ているような服を纏おうと思う」


「そうですね。そろそろ、ちゃんとしたスーツに切り替えてもいいかもしれませんね」


ダルクは自分の黒いローブを見下ろす。


「……これは魔王の威圧を放つのに優れてはいるが…

ここでは不要であろう?」


「そうですね、その威厳はここではあって無いようなものですね」


「そこで我も佐藤殿のような装いを纏いたいのだが、生憎どこで入手できるか皆目見当もつかぬ。

佐藤殿、すまぬ。休日の時間をいただけないだろうか?」


「いいですよ。ダルクさんのスーツ入手の旅、お手伝いしますよ」


「すまぬ、恩に着る」

「過分ですよ」


あ、そうだ―――

と佐藤がダルクへ提案する。


「リィナさんもお誘いしてみますか?

異世界から来られた方向けのスーツなら、彼女も詳しいと思いますよ」


「今週末ですか!空いてますです!」

「「えっ?」」


バッ、と二人はダルクの背後に目を向ける。

そこには、つい今しがた名前が上がった人物――リィナがいた。


「あっ、聞いていらしたんですか。

ダルクさんがスーツを買われるそうで、リィナさんも着ていただけると心強いって話をしてたところです」


「はい、聞いていたです!週末にお出かけ、楽しみです!」


「……背後を取られていたのに気づかなかったとは、戦いから離れるとこうなるのか…」

「普通に歩いてきただけですよ?」


「まぁまぁ、区役所職員には不要なスキルなので問題ないですよ。

ではお二人共、土曜日の10時に駅前でいいですか?」


「うむ」「はいです!」


こうして、次の休日の予定が決まったのだった。


**********************


迎えた土曜日。

三人は駅前で集合し、リィナおすすめの紳士服店へ向かっていた。


「これから行くお店は、私たちみたいな多種族向けのスーツを多く取り揃えてるです!

魔王様サイズもあるかもです!」


「それはいいですね、オーダーメイドとなるとお金もかかりますし…

というわけでダルクさん、今日は既製品から見ていきましょうか」


「既製……」

ダルクはその言葉を反芻する。

「既に製された衣か。すでに運命が定まっているようであまり好まぬ響きだな」


「ただの量産品です」


「量産型魔王さんです!」


横でリィナが楽しそうに言う。


「量産される魔王なぞおらぬわ。

鎧を売った金もまだある、我向けに仕立ててもらうとしよう」


そんな話をしているうちに目的の紳士服店に到着した三人は、そのまま店へ入った。


奥から現れたのは、妙にガタイのいい、やたらと野太い声の店員だった。


「いらっしゃい♡

あら、リィナちゃんじゃない!今日はどうしたのかしら?」


「あ!ベルちゃんですー!

今日は新しく同僚になった魔王さんがスーツ買うのについてきたです!

お二人共、こちら仕立て屋のベルちゃんです!マブダチです!」


「うん…?魔王様…?」


一拍、のち

―――邂逅。


「まああああああ!?!?!?」


ダルクを見た第一声がそれだった。

店内の空気が震える。


「な、なんだ」


ダルクが一歩引く。

店員はダルクを上から下まで舐めるように見つめ、目を輝かせた。


「ちょっと待って!? なにその体格に格好!? コスプレ!? それとも素!?」


「…素だ」


真顔で返す魔王。


ベルは両手を叩いた。


「最高ッ!!!」


(また濃いのが出てきた……)

佐藤は天を仰いだ。



「で? 今日はどうなさったの?」


「スーツを一着仕立てたい」


「仕立てたいですってぇ!? 既製じゃないってこと? わかってるじゃない!」


まだ何も説明していない。

ベルは勝手にメジャーを取り出す。


「ちょっと失礼するわよ〜」


胸囲。


「は????」


肩幅。


「うそでしょ????」


股下。


「ちょっと脚長すぎない!? 人類のバランスどうなってるの!?」


「魔族だ」


「納得!!」


納得するのが早い。


ひとしきり測ったあと、

「結論から言うわ」


ベルはビシッと指を立てた。


「既製品、無理♡」


「やはりか」


「そりゃそうよ〜

こんな創作にでてくる、最高到達点みたいな体格の服装なんて、既製品にはないわよ。

と、い・う・こ・と・で♡

生地選びからよろしくねん」


そうして次は生地コーナーに向かった。


「黒はダメ。絶対ダメね。魔王様と黒はもう最終決戦になるわ

区役所勤務なら尚更ね。まずはその威圧感抑えましょう」


ベルはグレーの生地を手に取り広げる。


「うん、これ。この色ね。威圧−30%」


「装備みたいです!」

リィナがきゃっきゃ笑う。


「あとはネクタイねぇ…

魔王様はどの色がお好き?」


「ふむ…この朱色はどうだろうか?」


「だめね、返り血に見えるわ。

瞳の金色に合わせて、黄色とかにしときましょう」


その後、スーツに合わせるシャツや靴を選び、ダルクのスーツ仕立ての打ち合わせが終わった。


「いい素材だわ。仕立ての意欲が沸き立ってくるわ!」


「それで、いつ頃受け取りに来ればよいだろうか?」


「そうねぇ、本来オーダーメイドなら短くても3週間はいただいているのだけど…

今回はこのスーツを着た魔王様を早く見たいから2週間で仕立て上げてみせるわ!」


「世話になる」


「いいのよ。その代わり、またスーツ仕立てるときはうちに来なさいよ!」


「できあがりを見て判断だな」


「んもぅ、いけずね♡」


そうして、前金を支払い、店をあとにした。


「……なんというか、濃い方でしたね」

佐藤が言う。


「うむ。だが、手つきに無駄はなく、丁寧であり迅速だった」


「ベルちゃんの仕立ては完璧なのです!私が保証しますです!」


「2週間後か、楽しみにしておこう」


こうして、ダルクのスーツ買い付けミッションは無事完了した。


しかし――、


「佐藤殿」


「どうしました?」


「2週間後も、できれば同行願えないだろうか?」


魔王が渋い顔をして、訴えかけるように言ってきた。


一瞬考え、

「できればお断りしたいんですけど……」


ダルクの顔が更に渋くなった。

ごめんなさい。キャラの濃いオカマさんを書きたかっただけなんです

頻出させるには濃いのでたぶんもう出てこないです...



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