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区役所勤めの魔王様  作者: はるくぼ
第1章 異世界とは違う社会

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第12話 魔王様、誘われる

翌日に休日を控えたとある日。

凸凹したコンビが窓口に並んでいた。


「よ、よろしくお願いしますです」

「うむ、今日はよろしく頼む」


その様子を、佐藤は少し離れた位置から見ていた。


(だいぶ警戒心が薄れてきたかな?)

ついこの前まで、魔王を前にすると尻尾が立っていた姿を思い出す。


いまは尻尾は比較的ゆったりしている。

まだ、いつもよりは頻繁に揺れているが。


(完全に安心、とはいかないか)

それでも、逃げ腰だった頃に比べれば大きな進歩だ。


互いに一言だけ挨拶を交わして、窓口業務を開始した模様。


「番号札を拝見いたします」

「記載内容を確認させていただきますので、ご本人様か確認できるものはございますか?」


リィナは相変わらずハキハキと仕事をこなしている。

彼女が戻ってきてから確実に佐藤の負担が減っているのでありがたい限りだ、


ダルクもすっかり窓口業務に慣れてきた様子だ。

生来の頭の良さに加えてあの勤勉さ。仕事もすぐに覚えるわけだ。

最近では、窓口での受理する申請は対応できるようになった。


(しかしな……)


仕事をテキパキとこなす二人――


に、対応してもらっている住民の様子を伺う。


(めっちゃ見てる……)


片や猫耳・尻尾がある小柄な子、片や頭に立派な角が生えている大男。


「そりゃ見るよな」


佐藤は苦笑しながら、ぼそりと溢した。


区役所という場所に、どう考えても似つかわしくない二人だ。

それでも、窓口の向こう側の住民は、文句を言うわけでもない。ただ少しだけ視線が泳いでいる。


よくよく耳を澄ませば、ダルクも威圧感が出ないように意識して声量を落としているようだ。


(……気を遣ってるな、ダルクさん)


最初の頃は、相手の反応など意に介さず、淡々と正論だけを並べていた魔王だ。


今は違う。

相手の間や視線の動きまで、ちゃんと見ている。


(馴染んできたなぁ)


しみじみ思いながら、自分の仕事に戻った。


***************************


「ありがとうございます。手続きは以上です。

お気をつけてお帰りください」


リィナが今日最後の窓口対応を終え、

住民が区役所の外に出たのを見送った後。


「ダルクさん、入口閉めちゃってください。

他の課にももう人はいないみたいなので、閉めてもらって大丈夫です。」


「承知した。」


そういって入口を閉めに向かうダルクを見送り、リィナに話しかける。


「ダルクさんにはだいぶ慣れてきた?

今日も結構お話できてたみただけど」


「ん〜、はいです。少しですけど。

初対面の時は怖かったですけど、今は真面目な人って印象です」


「それならよかったよ。さてこっちも窓口締めちゃおうか」


「はいです!」


リィナと共に窓口の締め作業を行う。

途中で入口を締め終えたダルクも加わり、締め作業も思いの外早く終わった。


(今日は早く帰れそうだ)


特に用事があるわけではないが、早く帰れるに越したことはない。

次の日も休みだし、晩酌でもするかと考えていると、


「先輩!!」


元気いっぱいの声が掛けられた。


「どうしたの?リィナさん」

「明日はお休みなのです!

なので、今日は一緒にご飯行きたいです!!」


「急ですね」


思わず苦笑しながら返すと、リィナは小さな胸を張った。


「はいです! 今日、いっぱい頑張ったので!

それに……」


ちらり、と視線が横に流れる。

入口付近で書類棚を整理していたダルクのほうだ。


「ダルクさんも、一緒にどうかなって」


「我か?」


名を呼ばれ、ダルクは不思議そうにこちらを見た。


「ダルクさんも、です。

最近よくご一緒にお仕事してますし…」


リィナ伺うように見上げる。

ダルクは少し考え込むように顎に手を当てた。


「業務外の交流、というやつか」

「そうですね、私もたまにやりますよ」


佐藤がそう言うと、ダルクは一拍置いてから、ゆっくりと頷いた。

「……よかろう。こうした交流が大事なのは我も同意だ。」

「じゃあ、決まりですね」


「やったです!」


リィナが小さくガッツポーズを作る。


「じゃあ、さくっと片付けを終えて行きますか」

「はいです!」

「承知した」


そうして三人は、それぞれのデスクの片付けを再開する。


翌日は休日。

ほんの少しだけ、仕事の顔を外してもいい夜だ。


(……まあ、たまにはいいか)


佐藤はそう思いながら、PCを閉じた。


異世界から来た2人の同僚との飲み会。


「……ものすごく注目されそうだ」

ここまでお読みいただきありがとうございます!


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