【EP4】戦いの後
俺の無謀な「直感」は、その完璧な戦術を打ち破った。しかし、それは始まりに過ぎない。
「自滅されると、私が次に本気で戦う相手がいなくなるじゃない!」
怒り、そして戸惑いを隠せない彼女の視線。
戦い終えた日常で、俺たちに下された任務は、あまりにも唐突で、そして最悪だった。
二人きりの「補給任務」
これは、真逆の戦術と、不器用な感情を持つ二人が、これから世界と、そしてお互いと向き合う物語だ。
模擬戦の翌日。整備ドックは、鉄とオイルの匂いが充満する男の戦場だ。
俺、大田カケルは、相棒の装甲を磨きながらニヤついていた。
「ゼロ、昨日のは完璧だったな。特に、あのマントの隙間を抜けるターン。あれは俺の天才的ひらめきだろ」
「マスターの直感力は解析不能の領域です」と褒めてくる。まったく、頼れる奴だ。
「……気持ち悪い」
冷たい声と共に、ドックの扉が開いた。羽賀アカリだ。
「まだ昨日の勝利に浸ってるわけ? 気持ち悪い」
アカリは仏頂面だ。
「悪かったな。お前こそ、負けの勲章を大事にしてるのか?」
「これは戒めよ!そして、あんたの無茶苦茶な動きをリヴェルタにインプットするためのデータよ!」
彼女は指先でリヴェルタの装甲をなぞる。
「私のリヴェルタは戦略機。安定と効率が命。でも、あんたの『ゼロ』は、感情そのままを動きに変換する、最高に厄介な機体だわ」
「厄介で勝ったんだ。悪くないだろう?」
アカリは鋭い視線を向けた。
「あんたの戦い方は、いつか自滅を招く。昨日だって左翼に反応低下があった。あれを見逃して突っ込むのは、ただの無謀よ」
… 図星すぎて何も言えない。
「俺はゼロを信じてる。あいつなら俺の無茶についてこられる」
俺がアークゼロに触れると、青い光が優しく瞬いた。
その瞬間、アカリはわずかに視線を逸らし、フッと口元を緩めた。
「ふん……別に、あんたが心配とか、そういうんじゃないけど」
いきなり早口になり、顔が少し赤い。
「自滅されると、私が次に本気で戦う相手がいなくなるじゃない!」
そう宣言したアカリが立ち去ろうとした、その時。教官が息を切らせて飛び込んできた。
「待て、羽賀!大田もだ!週末の補給任務がお前たちに回ってきた!」
「補給任務? 俺たちが?」
「そうだ! 近隣都市へ物資の買い出しだ。専用の輸送車両を使う。パイロットとしての相性も訓練の一環だ!大田、羽賀。お前たち二人で行け!」
アカリは絶句した。
「は?私が、この無謀男と二人で補給任務!?冗談ですよね?」
教官は聞く耳持たず
「任務だ!効率よく終わらせろ!」
と言い残して去っていく。
静寂の中、アークゼロが静かに言った。
「マスター、彼女……口元が緩んでいます。心拍数も上昇傾向です」
「……ああ、同感だ。不満そうに見せかけて、めっちゃ楽しみにしてるな」
アカリは顔を真っ赤にして、俺から視線を逸らした。
「な、なによ! 嬉しくなんかないわ!ただ、効率よく任務をこなして、早くあんたを叩き潰すための準備に取り掛かりたいだけよ!」
そして、ポケットからリストを乱暴に取り出し、俺に投げつけた。
「これ!任務に必要なリストよ!どうせあんたは行き当たりばったりでしょうからね!集合は明後日の朝8時。遅刻したら容赦しないから!」
アカリはそう言い捨て、怒涛の勢いでドックを出ていった。
手のひらには、ぐしゃぐしゃになったリスト。
いきなり二人きりの買い出し任務へと、急展開を迎えたのだった。
お読み頂きありがとうございます!
今回は「人間の情景」を書かせて頂きました。
初めての作品で、自分の妄想を文章にするのに悪戦苦闘しております。
次話完成次第投稿していきますので宜しくお願い致します!
YouTubeにて本話の紙芝居動画を投稿しております。視覚聴覚でもお楽しみ頂ければと思います!
EP4動画:https://youtu.be/3HZolm2hDBA




