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*華麗なる姉妹の特別なジジョウ*  作者: 六軒さくみ(咲海)


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26/50

兄二人の思考は迷子になる

 ────  一般的に



 10人の人間が10人とも美人だと言えば、美人に違いない。

 けれどそんなことは稀で、人には好みがあり十人十色とはよく言って、10人いれば多少のズレは存在するものだ。

 そのズレすら起こらない奇跡もこの世の中には存在する。

 いや稀にとか、本当に珍しいから多分、奇跡というのだと思う。


 話が逸れがちだが、とにかく造作が整い十人が十人、下手をすれば百人が百人必ず美しいと口を揃えて言うほどの容姿を持つキラとサラの双子がその奇跡を体現している。 

 このとき、兄であるリィの心情は「言葉に出来ない複雑な気持ち」というのが的確だった。

 支離滅裂だが、表現方法が他に見つからないが事実なのだ。


 政治的要素や、一族の紛争、そしてひいては本国アンタレスの事情などが複雑に絡みあって、一般基準の家庭からは遠く離れた環境に属していたことは、兄であるはずのレンと同様、男であるはずの自分が女として育てられていたのだから、リィも幼い頃から重々理解していたことだった。 

 何故だろうと感じた疑問も、成長し知恵を付け理解力さえ生まれてくれば、自然と納得せざるを得ないこともある。 

 18年間を女として育ち教育を受け(但し、いろいろな面に置いて女性的であったかは不問)多少なりとも異常な事態を冷静に受けとめるだけの度量があるとリィは思っていた。

 その異常な事態に自分も分類されるであろうからだ。


 なのだが、どうしても目にしている光景に居心地の悪さや居たたまれなさ、漠然とした言葉に出来ない何かを感じるのは、どうやらリィだけでは無いようで、隣にいたレンもリアクションをしかねていた。 


 一族の事情でキラとサラは7歳までを本国アンタレスで過ごしている。

 兄妹が一緒に暮らせるようになったのはキラとサラが7歳、リィが9歳、レンに至っては11歳になっていた。だが、幼い頃からアンタレスで何度も逢っていたし(家族なのだから当然であるのだが)毎日のように通信で話しもしていた。

 そのころから双子は本当に愛らしくて、見ていると自然に微笑みが浮かんだものだ。

 首をかしげて「お姉様」と呼ぶ仕草は抱きしめたいくらい愛らしく、ふっと見せる表情はドキリとするくらい可愛くて、いるだけで綿菓子を連想し(このあたりにリィの想像力の限界があったのだが、それは本人が可哀想なので敢えて突っ込まず)幸せな気分になったものだ。

 もっとも、一緒に暮らし始めてわずか2日あまりで、キラとサラの小悪魔振りは、すぐさま露呈しリィたちの理想を破壊してはくれたが、愛すべき妹達であることは変わらなかった。


 キラは2年前までは、今より少しお淑やかで、今より少し健気で、今より少し情け容赦があって、今よりもう少しお嬢様らしく、そして今よりも断然、可愛げがあり、今より全然、演技力がなかったのだ。

 もうそれこそ自然体で、多少かなりお転婆で(これは家庭環境に問題あり)多少気が強く、可愛らしい小生意気な少女でしかなかった。


 話はまたそれだが、キラとサラが双子でそれこそ、一心同体であるのは、まったくもって否定は出来ない。

 美しい髪もその髪の色も、顔の輪郭、瞳の大きさ、肌の色とどのパーツをとりあげても、寸分の違いがないのではないかと言うほど似ているのだ。


 似すぎていると言っても過言ではない。


 通常、双子でもここまで似るだろうかという程だ。 

 瞳の色が違わなければ、高度な科学力によって生み出されたクローンだと思うだろう。

 理論上、そして今の科学力をもってすればクローンなどは簡単に作り出せるのだが、過去の事件や倫理の問題などが人にその研究の歯止めをかけさせているだけで。

 きっとその歯止めがなければ、人類はとうにその禁断の領域に足を踏み入れている、いや踏み入れて手痛い目にあったのだから、歯止めが生じて当然なのだが。

 

 で、何故レンとリィが廊下を歩きながら言葉を無くしているかと言えば、先ほど見たキラとサラの抱擁が原因なのだ。


「なんていうか、こうアイツら平気なのかな?」

「何を言いたいの、リィ」

「イヤ、一見すればそりゃ、すっごい美しい姉弟愛だと思うけど、逆を言えば危なくないか?」


 何をどう言いつくろったとしても目の前で繰り広げられていた双子のそれは、ドアを開けて入り込める雰囲気ではなかったし、直視をできるシロモノではなかったことだけは事実だ。


「私とあんたじゃ絶対に出来ないスキンシップであることは確かね」

「出来ないさ! やったら頭の中味を疑われる」

「じゃあ、あの二人の頭の中味、疑ってる?」

「そんなわけがない」

「なら、考えるだけ時間の無駄」


 レンが大人としての発言だけを残し、足早に自分の部屋へと帰っていった。

 途中、廊下に飾り付けられた花瓶を倒したところを見れば、レンも十分に動揺し複雑な心境であることは確かだ。ただ無理矢理に言い聞かせているだけだ。

 余計な心配だとは思うがやはり漠然と不安になる。


(ああ、神様アンタレス様、イヤ違うな。キラだ、キラに頼んだ方が確実に叶う気がする)


 と、最初考えていたことと全く違うことを考え始め、脳が現実を逃避していると気付いていないリィは結局、また最初から考えるのだ。

 奇跡とはとか10人いればとか。ただ、アンタレスに頼むより、キラに頼んだ方が確実に叶うがすると思っている時点で、リィもすでに毒されて居ることに気付いていない。

 


 で、結局、何を言いたかったのかをすっかり忘れていたりするのだ。


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