戯言の裏腹
いつの日か、分かり会えるときがくる。
そんな戯言に惑わされてはならない。
人は生まれ落ちる瞬間も、逝くときも、独りなのだ。
それならば、生涯「孤独」と捉えても違いはない。
幼少期よく遊んだ友も、成長と共に離れていく。
青年期つるんだ仲間も、家庭を持ち消えていく。
希薄な人間関係は、存在しているともいないともいえる。
ただ、どちらかを選べというならば、後者だろう。
いつでも孤独な人生だ。
期待すればするほど、裏切られる。
いや、裏切られたという被害妄想にすぎないか。
孤独であるくせに、他者に期待した己が悪い。
そうだ。
全ては僕が悪いのだ。
分かり会えるときが永遠に来ないのも、僕の歪んだ思考のせいだ。
嗚呼、分かっている。
分かっているのに、僕は思考をやめられない。
本当は誰かに、何かに、手を伸ばしたいのかもしれない。
どうしょうもない僕を、解放して欲しいのかもしれない。
赦されたい。
孤独なんて嫌だ。
こんな思考、壊されたい。
そのはずなのに。
僕は僕である限り、解放されることはないのだ。
僕は、僕と分かり会えるときなど来ないのだから。
甘い戯言に、惑わされてはいけない。
所詮、戯言なのだ。