パンとミルクとビールは安上がり
翌日。私はベッドで目覚めた。
「アンナちゃーん!朝ごはんよー!大学まで遠いんだから起きなさーい!」
誰のせいで遠くなったと思ってんの…。
と、愚痴を言いながらアタシはお気に入りのピンクのパジャマのまま下に降りてリビングに行く。
あ〜眠いわ〜アタシ朝弱いのよね〜。
入ってすぐ、リビングにあるコーヒーマシーンでカフェラテを入れる。
ママはリ暖炉の左側のキッチンでご飯の準備をしてくれてる。
入れたカップを持って席に着く。座るとママが昨日パン屋で買ってきてくれてたパンとバター、チーズに、ハム、いつもの朝食が出てくる。
パパはもう仕事に出てるわね。
弟のエリクはもうほとんど食べ終えてあとはミルクを飲むだけって感じね。
何気なく左斜めの暖炉の方向を見ると、いるわいるわ、緑で黒い眼鏡のコボルトが。
あいつ、コボルトのくせして普通の男性並みに身長あるし、なんか服も人間のものなのなんなの。流石に伝承みたいに布一枚で出てこられても困るけど。
え、なんかこっち見てる。口パク…?何…?
『ミ・ル・ク・と・パ・ン』
一人前に要求だけしてくるわね。
はいはいはいはい、思わず苦い顔してなぁなぁに頷いちゃったわ。そうそうに目を逸らしたくもなるわね。
これからこんな人外ずっと暮らしていくなんて、先が思いやられるわ。
でもミルクとパンら買わないと一応精霊なんだし仕返しが怖いわね。スーパーで焼いたやっすいパンでいいわね。
弟のエリクはいつのまにか出ていっちゃった。
え、また緑男がこっち見てる、次はなんなの…?
『そ・れ・と・ビ・ー・ル』
ホント要求だけは一丁前ね。
思わずアタシは拳を握る。
「あら、アンナは出なくて良いの?」
ママがコーヒーを片手にテーブルに着く。
アタシは暖炉の上にかけてある時計を見る。
やっば!バスの時間まであと15分?!急がなくちゃ!
一瞬で食べて、朝の身支度をしてアタシは家を出た。
大学が終わって帰り道。アタシは駅まではいつも同じ大学の友人、ノラと帰っている。
「ノラ、もう来週の課題終わらせた?アタシ全くやってないわ〜やばいわ〜」
「アンナ、流石にそろそろやった方が良いわね…」
ノラは眼鏡をかけた顔を困った顔にしてる。眼鏡の奥には茶色の瞳。肩まである茶髪の髪で前髪はカチューシャであげてオデコを出してる。◯ンのそ◯子スタイルね。
鼻の上にはチャーミングなそばかすがある。
いつも講義の時やテストの時には頼りにさせてもらってるわ…いつもありがとう、ノラ…。
と、アタシはディスカウントスーパーの前を通りすぎた時に、あの緑野郎のお願いを思い出した。
「ごめん、ノラ。アタシスーパーで買い物済ませなきゃ。一緒にくる?」
「ううん、今日この後バイトがあるから先に帰るわね」
「わかったわ!チュース ノラ!」
「チュース!」
アタシたちはスーパーの前で別れた。
スーパーで一個25セントの格安パンを袋に取り合えず、3つ入れて、ミルクも一応買って、ビールも、瓶一個買ってくか。
どれも安くて良かったわ。
アタシはパッと買い物を済ませて家に帰った。
チュースって、野球部とかがあいさつで言ってるイメージありますよね?ドイツでは、バイバイっていう意味で日常的によく使います。
そして、スーパーではパンとビールはやはり安いですね。
有識者の方、何か間違いがあればコメントくださいね。