ep6「精霊剣」
第1章『精霊剣』
ep6「精霊剣」
『 』・・・キャラクターのセリフ
【 】・・・場所・状況またはそのキャラクターの心の声
【エトス村西の森 走るギンガとエステル】
エステル
『ねえギンガ。』
ギンガ
『ん?』
エステル
『あの武器とも呼べるかわからないものでどうやって戦うの?
剣身が付いてないんじゃ魔物と戦えないんじゃない?』
ギンガ
『俺も今それを考えてた。
でもあの先生が嘘をつくはずがない。今は先生の言葉を信じるしかないよ。
それに、、、』
エステル
『それに?』
ギンガが右手に魔力をこめると柄が現れる。
ギンガ
『この柄からはなんか不思議な力を感じる。
直感でしかないんだけど、なんとかなりそうな気がするんだ。』
ギンガとエステルは疑問を持ちながらも村へと急ぐ。
【エトス村】
村に着いたギンガとエステルは驚愕する。
村は壊滅状態であり、多くの村人の死体が転がっていた。
ギンガ
『な、なんだよこれ。』
立ち尽くすギンガとエステル。
すると、遠くから剣と剣がぶつかり合う音がした。
ギンガ
『誰かが戦ってる!助けにいくぞエステル!』
エステル
『うん!』
走るギンガとエステル
【エトス村南側】
音がした場所に辿り着くギンガとエステル。
そこには1体の人型の魔物と戦うアステルの姿があった。
ギンガ
『先生!』
アステル
『ギンガ、、か。』
アステルの呼吸は乱れ、ボロボロの状態であった。
ギンガ
『俺も一緒に戦います!』
アステルの元へ走るギンガ
アステル
『ダメだ!!来るんじゃない!!』
ギンガは立ち止まる。
アステルがそう言った理由をギンガは瞬時に思い知らされる。
1つは、アステルと対峙している魔物からとてつもないほどの威圧感と魔力を感じたこと。
そしてもう1つは、、、
ギンガ
『えっ?』
そこにはギンガの父と母の無惨な姿があった。
ギンガ
『父さん!!母さん!!』
ギンガは父と母の元へ行き、2人を抱き抱える。
2人には剣で斬られたような傷跡があり、すでに冷たくなっていた。
もう2人とも死んでいることがわかったギンガは泣き崩れる。
ギンガ
『なんで、、、なんで、、、』
アスラン
『ギンガ!ここは危ない!早く逃げるんだ!!』
しかし、ギンガには聞こえていない。
アステル
『くそっ!、、、
エステル!ギンガを連れてここから逃げろ!』
エステル
『でもそれじゃあパパが!!。。。』
エステルは戸惑う。
アステル
『こいつは魔族!魔王直属の部下だ!
お前たちじゃとても太刀打ちできる相手じゃない!!
ここにいられると戦いの邪魔だ!
急いで逃げろ!』
エステル
『わ、わかった!』
???
『あーあ、せっかくいいところだったのに。
もうこの戦いも終わりだな、アステル元副団長?』
???が続けて話し出す。
???
『やあくだらない人間ども。
はじめまして。
冥土の土産に俺の光栄な名前をもっていくがいい。
俺の名前は、ガロイセン。
魔王様直属、3魔族のうちの1人だ。』
アステル
『死ぬのはお前の方だ。』
ガロイセン
『言っただろう?もうこの戦いも終わりだと。
人間の弱点なんてとっくにわかってるんだよ、元アレスト王国騎士団副団長アステル。
ブラッデン大陸までその名が轟いていた人間がまさかこんな大陸の端っこの田舎村にいたとはな。
まっ、おかげで十分楽しめたが、、、
さようなら。』
そう言うと、ガロイセンは所持していたもう1本の剣をギンガに向けて投げつける。
アステル
『ギンガ!!』
ギンガ
『えっ?』
ギンガの目の前に、剣を貫かれたアステルの姿があった。
ギンガ
『先、、、生?』
アスラン
『大丈夫か、ギンガ?』
ギンガ
『そ、そんな。先生!!』
エステル
『パパ!!』
ギンガとエステルは慌てふためく。
アステル
『ギンガ。剣は手に入ったか?』
ギンガ
『今はそんなことよりも治療を!エステル!!』
エステル
『もうやってる!!けど!!!、、、』
エステルは涙を流しながら回復術をかけるが、アステルから流れる血は止まらない。
アステル
『大丈夫だエステル。
自分のことは自分が一番よくわかってる。
俺はもう助からない。。。
だから最後にお前たちに言っておきたいことがある。
よく聞いてくれ。』
ギンガ
『そんな、、、先生!』
アステルは弱々しく話しはじめる。
アステル
『ギンガ、剣は手に入ったのか?』
ギンガ
『はい先生。』
ギンガは涙を流しながらアステルの話を聞く。
アステル
『そうか。
お前ならあの剣を手に入れることができるって信じてたよ。。。
俺もあの方も手に入れることができなかったものだ。
辛い宿命を背負わせてしまってすまない。
だが、その剣は必ずお前の助けになると俺は信じてる。
だからなギンガ、最後に頼み事を聞いてくれ。』
ギンガ
『はい。』
アステル
『どうかエステルのことを守ってやってくれ。』
ギンガ
『はい。』
アステル
『エステルのこと、頼んだぞ。』
ギンガ
『うっ、、うっ、、はい。』
アステル
『エステル。』
エステル
『パパ。。。』
アステル
『心優しい子に育ってくれて俺はとても嬉しい。
お前が産まれてきてから毎日が本当に楽しかった。
俺の子として産まれてきてくれて本当にありがとう。
お前は、、俺の、、自慢の娘、、、だ。。。』
アステルは事切れる。
ギンガ
『先生!!先生!!』
エステル
『パパ!!パパ!!』
2人は泣き崩れる。
ガロイセン
『お別れの挨拶は済んだか?
それじゃあ、次はお前たちが俺を楽しませてくれ!』
ギンガたちの目の前に多数の魔物が出現する。
ギンガ
『エステル。』
ギンガは落ち着いた口調で話す。
ギンガ
『みんなを連れてここから離れろ。』
エステル
『でもギンガは!?』
ギンガ
『いいから早く行け!!』
怒鳴るギンガ。
ギンガから異様な雰囲気を感じたエステルは息をのむ。
エステル
『わ、わかった。』
エステルは詠唱をはじめる。
エステル
『精霊よ。水の力を与え賜え。バブルサークル。』
ギンガの父、母、アステルがそれぞれ水の泡に包まれ、エステルとともにギンガから離れていく。
立ち尽くすギンガ。
【ギンガ】
なんだろう、すげえ苛立ってんのに、、、ものすごい脱力感だ。
この感じ、、、
よくないって先生から教わったな、、、
なんて言うんだっけ、、、
ああ、そうだ、、、思い出した。。。
自暴自棄
それと、、、
「 破壊衝動 」
なんだか全てがもう、どうでもいい、、、
今はただ、目の前に全てを
ぶっ壊したい!!!!!
ギンガは右手を顔前に突き出し、魔力をこめるとT字型の柄が現れる。
ガロイセン
『柄?』
ギンガは大声で叫ぶ。
ギンガ
『来い!!!イフリート!!!』
イフリート
『オオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
雄叫びとともにイフリートが出現する。
ガロイセン
『こ、これは、、、火の大精霊イフリート!?
ということはまさか!?』
次の瞬間、イフリートは柄の中心部にある水晶玉に吸い込まれ、透明色だった水晶玉が赤く変色する。
すると、柄からものすごい勢いで炎が噴出し凝縮されると炎は剣身の形となり、その武器は炎を発する大剣へと姿を変える。
同時にギンガの外見は、髪は赤く、目は黒く、
赤色のマントの付いた騎士のような白色の正装に変身していた。
ガロイセン
『ようやく、、、ようやく見つけたぞ!!
まさかこんなところにあったとは!!』
ガロイセンは歓喜している。
ガロイセン
『遊ぶと言ったのはやめだ!!
貴様を殺し、その剣をもらうぞ!!』
しかしギンガには何も聞こえていない。
ガロイセンと多数の魔物がギンガ目掛け、突っ込んでくる。
【ギンガ】
すごい力だ。
だけど、ものすごく魔力をもっていかれてる。
この力を使えるのは1分くらいだろう。。。
でも大丈夫。
そんなに時間はいらない。。。なぜなら
一瞬で終わらせるからだ
今のこの感情を全てぶつける。
そうすれば俺は魔力を使い果たし死ぬだろう。
でも全てがどうでもいい。
今はただ、ただ!
目の前にいる全てをぶっ壊したい!!!
ギンガ
『てめえら全員
ぐちゃぐちゃにしてやる!!!!!』
その瞬間、ものすごい量の魔力が溢れ出す。
ガロイセン
『な、なんだ!?この異常な魔力量は!?!?』
ガロイセンは驚愕し動揺する。
ガロイセン
『魔力量だけじゃない!!
なんだ?この、、
異質な魔力は!?
これは、、、まずい!!!』
ガロイセンは急いでその場を離れる。
ギンガ
『火の叫び THE FIRST』
ギンガは大剣を空に掲げる。
『斬火讐炎陣!!!!!』
大剣を地面に思いきり突き刺した瞬間、ギンガを中心に天にも届く大円柱の火柱が発生し、周りにいた多数の魔物たちを一瞬で掃討する。
ガロイセン
『なんていう攻撃だ!
避けきれない!!
う、うわあああああああああああ!!!』
ギンガ
『はあ、はあ、はあ。』
ギンガは仰向けに倒れる。
【ギンガの攻撃から数時間後、シンフォリア大陸、とある場所】
ガロイセンが目を覚ます。
???
『目を覚まされましたか!?ガロイセン様』
ガロイセン
『ミロ、か。。。ここは?』
ミロと呼ばれる人型女性の魔物が話しだす。
ミロ
『はっ!ここはミトス村から離れた洞窟の中です!』
ガロイセン
『そうか。。助かった。。。
ありがとなミロ。』
ミロ
『いえ。とんでもございません!
ですが、これほどの傷、、、
ブラッデン大陸に一度お戻りいただかないと!
ガロイセン様、一体何があったのでしょうか?
あなた様ほどのお方が。』
ガロイセン
『!?』
ガロイセンは思い出す。
ガロイセン
『ついに見つけたぞ!』
ミロ
『見つけたとは何をでしょうか?』
ガロイセン
『魔王様が探し求めていた伝説の武器「精霊剣」だ!』
ミロ
『精霊剣?』
ガロイセン
『ああ!
精霊剣とは精霊を宿すことで戦うことができる伝説の武器だ。』
ミロ
『伝説の武器、、
その精霊剣とやらがガロイセン様をこれほどまでに。。。』
ガロイセン
『いや、たとえ精霊剣といえどもイフリートだけであれば遅れをとる俺ではない。』
ミロ
『?
ではどうして?』
ギンガの攻撃を思い出すガロイセン。
ガロイセン
『やつの攻撃を直接くらってわかったことがある。』
ミロ
『わかったこと?』
ガロイセンは一呼吸して話す。
ガロイセン
『あれは明らかにイフリートだけの魔力だけではなかった。
あの凶々しい異質な魔力。。。
何かがいるぞ
やつの中に』
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません!
ぜひよろしくお願いします!