ep39「恐怖」
第3章『水の大精霊 オンディーヌ』
ep39「恐怖」
【アンダイン闘技場】
観客たち
『うわーーー!!』
『きゃーーー!!』
『モルガンだーーー!!』
会場中がざわめきだす。
男性A
『なんでモルガンが出場してるんだ!?』
女性A
『なんでヴィングトン大陸人が参加してるのよ!』
男性B
『魔力量の多い人種が参加したら有利になるに決まってるじゃないか!?』
女性B
『そこまでして優勝賞金がほしいのかしら!ほんと醜いやつ!
さっさと死んじゃえばいいのに!』
男性C
『がめついやろうだ!』
女性C
『普通は空気を読んで参加しないもんだけどね!』
男性D
『だから何度も言ってるだろ!あいつらにはおれたちと違って常識ってものがないのさ!』
女性D
『あれだけ自分が差別されて、よく生きていけるわね!
一体どんな図太い神経しているのかしら!』
男性E
『かーえれ!』
女性E
『かーえれ!』
会場中がブーイングの嵐と「帰れ」コールに包まれる。
モルガン
『ふーーー!ふーーー!』
モルガンは変わらず呼吸が荒れている。
しかし彼女の目には涙が溜まっていた。
【モルガン】
泣くな!泣くなモルガン!
こんなのいつものことじゃない!
ここで泣いたらもう止まらなくなってしまう。
そしたら余計あいつらがおもしろがるだけ!
大丈夫。いつものように冷静に。
落ち着け。
いつもどおり自分にうそをつくんだ!
こんなものは気にならないって!!』
男性A
『かーえれ!』
女性A
『かーえれ!』
男性B
『しーね!』
女性B
『しーね!』
ギンガ
『・・・』
アイン
『・・・』
エステル
『ひどい、、、こんなのひどすぎる。。。』
エステルはうずくまり号泣している。
ジョルダン
『・・・』
ディーダス
『・・・』
プルマ
『・・・』
漆黒の翼A
『・・・』
漆黒の翼B
『・・・』
漆黒の翼C
『・・・』
漆黒の翼D
『・・・』
ギンガ
『・・・・・
アインちゃん。』
アイン
『なに?』
ギンガ
『おれを闘技場の中心部に投げつけてくれ。』
アイン
『・・・・・。
わかった。
もう止めないわ。
思いっきりやってきなさい。』
エステル
『何する気なのギンガ?』
ギンガ
『おれが投げつけられたらみんなは離れてろ。
モルガン!』
モルガン
『!?
ひっく、、、ひっく、、、』
ギンガ
『見てろ。今からおれがこの街を変えてやるから。』
モルガン
『ひっく、、、ひっく、、、
どういうこと?』
ギンガはアインに近づく。
アイン
『この棍棒に乗って。』
ギンガ
『ああ。』
ギンガは両足でアインの棍棒に乗る。
アイン
『思いっきりいくわよ!
アイン流遊技 一の舞』
アインは棍棒をぶん回す。
『ギンガホームラン!!』
ギンガは空高く打ち出される。
観客たち
『ざわざわざわ』
男性A
『なんだなんだ?』
女性A
『さあ?仲間割れでもはじめたんじゃない?』
女性B
『はははっ!ださっ!』
男性B
『わかんないぞ。ヴィングトン大陸人の仲間だからな!
急になにをしですかわかんないぞ。』
男性C
『確かに。おれたちの常識でははかれないからな!』
女性C
『わたしたちの普通が通用しないから怖いのよね。』
ギンガ
『・・・・・
どいつもこいつも、、、』
ギンガは右手に魔力をこめ柄を出す。
漆黒の翼A
『柄?』
ジョルダン
『柄?』
プルマ
『なに?あれ?』
ディーダス
『あれは、、、武器なのか?』
ギンガは大声で叫ぶ。
ギンガ
『来い!!!イフリート!!!』
イフリート
『オオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
雄叫びとともにイフリートが出現する。
モルガン
『な、なに、、あれ?』
観客たち
『うわーーー!!』
『きゃーーー!!』
会場中が悲鳴に包まれる。
男性A
『な、なんだ!?あの怪物は!?』
女性A
『きゃーーー!!化け物よーーー!!』
ディーダス
『な、なんなんだ!?あれは!?』
プルマ
『な、なんなの!?この異常な魔力量は!?』
ジョルダン
『ま、まさか、あれは!?
火の大精霊 イフリート!?』
ディーダス・プルマ
『!?』
漆黒の翼A
『あれは!?』
漆黒の翼B
『ど、どうする!?』
漆黒の翼C
『なんという魔力だ!』
漆黒の翼D
『見て!あれ!』
イフリートは柄の水晶玉に吸い込まれ、柄とギンガは姿を変える。
漆黒の翼A
『姿が変わった!?』
漆黒の翼B
『あれは、、、炎の剣身?』
漆黒の翼C
『なんて魔力密度の高い剣身だ!』
漆黒の翼D
『魔力量も人間の域を超えてるわ!』
プルマ
『なんなの、あの猛々しい姿は、、、』
【ギンガ】
子どもA
『あいつは普通じゃないんだよ。
普通だったらこの街をでていくもんなのに、あいつ空気読めないらしいからな。』
モルガン
『だからこの街で暮らしていきたいんだったら普通は魔法を使ったり魔力をこめるところからは避けることが賢い選択なの。』
女性C
『普通は空気を読んで参加しないもんだけどね!』
【ギンガ】
なにが「普通」
子どもB
『ママから聞いた。
あの子はわたしたちの常識とはずれてるんだって。』
モルガン
『まあ、この街の現状を見ればそうやって生きていくのが常識ね。』
男性D
『だから何度も言ってるだろ!あいつらにはおれたちと違って常識ってものがないのさ!』
【ギンガ】
なにが「常識」
アイン
『そう。具体的に言えばヴィングトン大陸人はひどい差別を受けているのよ。
今現在もね。』
モルガン
『別にいつものことよ。いちいち気にしてなんかいられないわ。
そんな余計なことに無駄なエネルギー使いたくないもの。』
女性D
『あれだけ自分が差別されて、よく生きていけるわね!
一体どんな図太い神経しているのかしら!』
【ギンガ】
なにが「差別」!!!
そんなもん、、、、、おれが全部、、、、、
ぶっ壊してやる
【観客たち】
ぞくっ!!
会場にいる誰もが一瞬、激しい悪寒を感じる。
ギンガから異常な魔力が溢れ出る。
目が赤色から黒色へ変色する。
【イフリート】
ま、まただ!!またこの魔力!!
イフリート
『ま、待て!主!!』
ギンガ
『火の叫び THE FIRST』
ギンガは精霊剣を構える。
漆黒の翼A
『た、退避!全員急いで白門まで退避しろ!急げ!!』
水都一武闘会会長
『ぜ、全員!魔力最大出力!!
魔障壁の強度をもっと上げろ!!早く!!』
アイン
『に、逃げるわよ!』
アインはエステルとモルガンを抱え紺門へ走り出す。
エステル
『アインちゃん!?』
アイン
『だめ!!ここでも巻き込まれる!!』
ギンガ
『斬火讐炎陣!!!!!』
闘技場の中心部に思いきり精霊剣を突き刺す。
ギンガを中心に、轟音とともに天にも届く、そして闘技場全体を包み込む大円柱の火柱が発生する。
観客たち
『うわーーー!!』
『きゃーーー!!』
ジョルダン
『な、なんて攻撃だ!』
プルマ
『う、うそでしょ!?あれを見て!』
魔障壁
『ピキッ。ピキッ。』
ディーダス
『うそだろ!?魔障壁が破られる!!』
魔障壁
『バリーン!!』
魔障壁が大きな音をたて破られる。
プルマ
『精霊よ 我が魔力を糧とし 今ここに大いなる力 水の力を与え賜え ハイパーシールド!!!』
観客全員を包み込むシールドが展開される。
闘技場と観客席の間にあった水面は高温により蒸発し、闘技場は水蒸気に包まれる。
プルマ
『い、一体、どうなったの?』
ジョルダン
『・・・』
ディーダス
『水蒸気で何も見えない。』
徐々に水蒸気が晴れ、視界は良好となっていく。
男性A
『おい!あれ見ろ!』
女性A
『きゃーーー!!』
ジョルダン
『なんという破壊力。。。』
プルマ
『まるで悪魔だわ。』
ディーダス
『おいおい、、、うそだろ。。。』
闘技場は、ギンガの足元だけを残し、その他は崩壊していた。
ギンガ
『てめえら』
ギンガは観客席を睨みつける。
ギンガ
『つぎ、おれの仲間を侮辱してみろ。
ぶっ壊すぞ!!!』
【観客たち】
ぞくっ!
モルガン
『うっ、、、うっ、、、
うわああああああああああああああああああ!!!!!』
モルガンは感極まり、今まで心に溜め込んでいたものが一気に溢れ、涙が止まらなくなる。
ギンガ
『・・・・・』
【ギンガ】
ギンガ
『人の心を動かす要因?』
アイン
『そう、大きく2つあるわ。』
アイン
『1つ目は「利益」。』
ギンガ
『もう1つは?』
アイン
『・・・
もう1つは
恐怖よ。』
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