ep29「自殺」
第3章『水の大精霊 オンディーヌ』
ep29「自殺」
【モルガンの自宅前】
アンダインの人たち
『ヒソヒソヒソ』
女性A
『あそこの家でしょ?ヴィングトン大陸人が住んでいる家っていうのは。』
男性A
『ああ。学園に通ってる息子の話じゃ、どうやら学校の建物をぶっ壊したらしいぞ。』
女性B
『まあ、恐ろしい。』
女性C
『ねえ、知ってる?
あそこで花を買った人たちが体調不良になったっていう噂。』
男性B
『なんでも花に呪いの効果が付与されてるとかなんとか。』
男性C
『なんてやろうどもだ。この街から追い出してやろうぜ。』
【モルガンの自宅2階】
モルガン
『パパ、ママ、ごめんなさい。』
泣きながら謝るモルガン。
モルゲン
『いいんだよモルガン、あんなの気にしないで。』
メレガン
『そうよ。あなたが謝る必要なんてないわ。』
モルゲンとメレガンはモルガンを抱きしめる。
【ウォーク商店街】
モルガン
『お花はいかがですかー?』
おじさん
『おや、かわいいお嬢ちゃん。パパとママのお手伝いかい?偉いね。
それじゃあ1本もらおうかな。』
女性A
『ダメよ!おじさん、知らないの?
その子ヴィングトン大陸人なのよ!』
おじさん
『なんだって!?
なんでこんなとこにヴィングトン大陸人がいるんだ!?
わ、わたしに近寄るな!病気がうつる!』
モルガン
『そんなことないもん!』
アンダインの人たち
『ヒソヒソヒソ』
男性A
『マジで早くこの街から出てってくれねえかな。』
女性B
『このきれいな街の外観を損なう存在だわ。』
男性B
『街に病気が蔓延したらどう責任とってくれるんだ。』
子どもA
『ママー、あれ見て!』
女性C
『だめ!あんなの見ちゃだめよ!同類だと思われるわ!』
男性C
『存在自体が鬱陶しいんだよな。早く消えろよ。』
モルガン
『うっ、うっ、』
モルガンは泣きながら帰路につく。
【モルガンの自宅】
モルガン
『なに、、、これ。。。』
「死ね!」
「早くこの街から消えろ!」
「病原菌!」
「出ていけ!」
「化け物!」
モルガンの自宅には落書きがされており、1階の花屋は荒らされていた。
モルガン
『パパ!ママ!一体なにがあったの!?』
モルゲン
『ん?なにもなかったよ。ちょっとお母さんと派手にけんかをしてしまってね。』
モルゲンの体には殴られたような傷跡が複数あった。
その横でメレガンは泣き崩れていた。
都長の秘書
『都長。こちらの家です。』
都長
『ふむ。』
モルガン
『おじさん誰?』
都長
『おじさん?この無礼なクソガキが!』
都長はモルガンを殴りとばす。
都長の秘書
『このお方はアンダイン都長のマンショ様だぞ。
本来、お前みたいな汚物が目をとおすことさえかなわないお方だ。
都長、急いで手の消毒を。病気がうつります。』
都長
『ふん!』
都長はハンカチで手を拭きはじめる。
都長
『都民から申し出があってな。
このきれいな街の外観を損なう家があるとな!
そこで都議会で話し合った結果、この家を取り壊すことに決定した。
メレガン
『そ、そんな。。。』
モルゲン
『そんなことされたら、、、
わたしたちは一体どこに住めばいいんですか!?』
都長
『ふん!お前らごときがどうなろうが知らん。
早くこの街から出ていってくれ。異臭がひどくてたまらん。』
モルゲン
『街の外って、、、魔物がたくさんいるんですよ!?
わたしたちに死ねっていうんですか!?』
都長の秘書がモルゲンを殴りとばす。
モルガン
『パパ!』
メレガン
『あなた!』
都長の秘書
『何度も言わせるな汚物が。
お前らごときが視野にすら入れてはいけないお方だぞ。
都長はお忙しいんだ。
お前ら汚物ごときが都長の貴重な時間を奪うんじゃない。
都長。早くここから離れましょう。病気がうつります。』
都長
『うむ。』
都長の秘書
『それではみなさん、お願いします。』
複数人の男たちが家を壊し始める。
モルゲン
『なっ!や、やめてくれー!!』
男たち
『邪魔だよおっさん!』
モルゲンは殴りとばされる。
【ダメイキ橋 橋の下】
モルガン
『今日はここで寝るの?』
モルゲン
『ああ、ここなら雨も凌げるし、人もいなさそうだ。』
メレガン
『モルガンおいで。一緒に寝ましょ。』
モルガン
『うん。』
メレガンはモルガンを抱きしめる。
メレガン
『うっ、、、うっ、、、
ごめんね、、、ごめんね、、、
こんな辛い思いをさせて。。。
親として、、、情けない、、、』
モルゲン
『うっ、、、うっ、、、』
モルガン
『うっ、、、うっ、、、』
3人は抱き合い、お互いを温めながら一夜を過ごした。
【翌日 ダメイキ橋 橋の上】
メレガン
『ねえ、あなた。』
モルゲン
『うん?』
メレガン
『これからどうするの?』
モルゲン
『・・・』
モルガン
『わたしもうこの街にいたくない。』
モルゲン
『街の外は魔物がいっぱいで危険だ。
お前たちを危険な目に遭わせるわけにはいかない。
だから、おれが街の外に行って仕事を探してくるよ。』
メレガン
『そんな、、、
それじゃあ、あなたが危ないじゃない。』
モルゲン
『おいおい。これでも一応あの大魔法使いモルダンの子孫だぞ。
一応簡単な魔法は使えるんだ。』
モルガン
『それだったらパパよりも魔法を使うのがうまいわたしが行った方が』
モルゲン
『子どもが何を言ってる。
大丈夫。なんとかなるさ。』
メレガン
『あなた、、、』
そこに男性が通りかかる。
男性A
『なんだ、まだこの街にいたのか。
さっさと出ていけよ!目障りなんだよ!』
メレガン
『え?』
モルゲン
『メレガン!』
モルガン
『ママ!』
メレガンは突き飛ばされ、川に落ちる。
メレガン
『ぶはっ!たっ助けて!』
【モルゲン】
くそっ!おれの魔力じゃ、あそこまで魔法が届かない!』
モルゲン
『メレガン!』
モルガン
『パパ!』
モルゲンは川に飛び込む。
しかし川の流れが早く、メレガンまで追い付かない。
男性A
『はははっ見ろよあれ!ヴィングトン大陸人は学校でプールの授業も教えてくれないのか!』
女性A
『はははっ!ほんと無様ね!』
男性B
『いや、もしかしたらあれは「シンクロナイズドスイミング」という、水の中で踊る競技をしているのかもしれんぞ。』
女性B
『はははっ!それにしてはひどい踊り!』
モルガン
『お願い!!誰か!!誰か!!
パパとママを助けて!!』
泣き叫ぶモルガン。
しかし誰もその声を聞き入れない。
モルガン
『パパーーー!!!
ママーーー!!!』
モルガンも川に飛びこむ。
男性B
『おっ!またメンバーが1人増えたぞ。
少しはまともな踊りになるかな。』
女性D
『はははっ!無理でしょ!
ヴィングトン大陸人はセンスも貧相ですもの!』
ユーゲル
『ん?』
そこへ橋を渡っていたユーゲルが現れる。
ユーゲル
『あの、何かあったのですか?』
男性C
『ああ、どうやらヴィングトン大陸人が川で踊りをはじめたらしい。』
ユーゲル
『ヴィングトン大陸人ですって!?』
ユーゲルは急いで川を見る。
そこには溺れている3人の姿があった。
ユーゲル
『溺れているじゃないか!?
急いで助けないと!!』
男性C
『おいおい、やめとけって。
あいつら全員ヴィングトン大陸人だぞ。』
ユーゲル
『だからですよ!!』
ユーゲルは川に飛びこんだ。
【ユーゲル宅】
モルガン
『ん、んん。』
モルガンが目を覚ます。
モルガンはベッドの上にいた。
モルガン
『ここは?』
ユーゲル
『心配しなくていい。ここはぼくの家だ。』
モルガン
『あなたは?』
ユーゲル
『ぼくはユーゲル。君たちを助けるために川に飛びこんだんだけど、、、』
モルガン
『はっ!!』
モルガンはなにが起こったのか思い出す。
モルガン
『パパとママは!?』
ユーゲル
『・・・
ごめん。君しか助けられなかった。
君のパパとママは川下の方で遺体で発見されたそうだ。』
モルガン
『そ、そんな。。。
うわあああああああああああああああああああああ!!!』
泣き崩れるモルガン。
後日、アレスト王国騎士団アンダイン支部が今回の件を調べたが、
現場にいた全員が、モルガン一家が全員自分から川に飛びこんだという証言が相次ぎ、モルゲンならびにメレガンは「自殺」として今回の事案は処理された。
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