ep27「多数決」
第3章『水の大精霊 オンディーヌ』
ep27「多数決」
【べコン街道】
ギンガ
『モルガンがあの大魔法使いの子孫!?』
モルガン
『・・・』
アイン
『確かにその歳で上級術を使えるほどの魔力量に、的確な魔力コントロール。
うそではなさそうね。』
エステル
『でも、教室でヴィングトン大陸人は100年前の戦争で全滅したって。。。』
アイン
『いいえ。全滅はまぬがれているわ。
正確には大陸に住めなくなっただけ。
生き残った人たちはシンフォリア大陸かジュール大陸に逃げ延びたそうよ。
でも、、、』
ギンガ
『でも?』
アイン
『・・・』
モルガン
『・・・
別に言ってもいいよ。
もう今さら隠すことではないもの。』
エステル
『なにがあったの?』
アイン
『ひどい迫害を受けたの。』
エステル
『え?』
ギンガ
『迫害?』
アイン
『そう。具体的に言えばヴィングトン大陸人はひどい差別を受けているのよ。いま現在もね。』
ギンガ
『え!?』
エステル
『今もですって!?』
モルガン
『・・・』
ギンガ
『なんでだよ!ヴィングトン大陸人の人たちがなにかやったのか!?』
アイン
『別になにもないわ。
ただ普通の人よりも多い魔力量。
そしてわたしたちとは違う、魔法を使うときに現れるお腹周りの円。
ちょっとわたしたちの常識とはかけ離れている体質をもっているってだけのことよ。』
ギンガ
『は?たったそれだけのことで?』
モルガン
『それだけのことですって!?
たったそれだけのことでわたしたちがどんな目にあったのかなにも知らないくせに勝手なこと言わないで!!』
エステル
『モルガンちゃん。。。』
アイン
『差別を受けるのに別に大それた理由なんてのはいらないのよ。
「普通の人よりも違う。」
「ちょっと常識とは違う。」
それだけで十分、差別の対象にはなり得るわ。』
ギンガ
『なんだよ!さっきから言う「普通」とか「常識」ってのは!?
そんなのただのそいつの価値観みたいなもんだろ!?』
モルガン
『そんなのただのきれいごとよ。』
ギンガ
『なんだと!?』
アイン
『多数決の話よ。
多数派が「普通」、「常識」となって、
少数派が「異常」、「非常識」となっていくのよ。』
モルガン
『見たでしょ?わたしのあの力?
こんな子どもがすでに上級術を使えるほどの魔力量をもっていて、大人でも手こずる中型級の魔物を一発で仕留める。
普通だったら気持ち悪いわよ。
それにわたしは他の子たちよりも魔力量が優れていたから余計に目立ったわ。
おかげで悪目立ちしたわたしはいじめのいい標的になったわよ。』
ギンガ
『・・・・・』
エステル
『でもアンダインじゃそんな感じはどこにも。』
モルガン
『ユーゲルさんのおかげよ。』
エステル
『え?』
モルガン
『ユーゲルさんが差別撤廃の法律を作ってくれたの。』
ギンガ
『だったらもう大丈夫なんじゃないか?』
アイン
『それでも難しいでしょうね。』
エステル
『どうして?法律ができればみんな取り締まられるのを恐れてしなくなるんじゃないの?』
モルガン
『・・・』
アイン
『人の気持ちなんてそんなすぐに変わるものじゃないわよ。
認知されなければいいだけの話だもの。』
エステル
『どういうこと?』
アイン
『差別を見かけても通報しなければいいだけ。
認知されなければ当然取り締まることもできない。
仮にヴィングトンの人が通報したとしても、当事者、目撃者全員とぼければいいだけの話。
要はみんなしてグルってことよ。』
ギンガ
『なんだよそれ、、、そんなの全然意味ねえじゃねえか!』
アイン
『それでも全くなにも無いっていうよりはマシだと思うわよ。』
モルガン
『そのとおりよ。
実際、住むところだけは困らなくなったから。』
ギンガ
『住むところだけはって』
【ギンガ】
モルガン
『ぐー』
モルガン
『なに?』
ギンガ
『なにしてんだ?そんなところで?』
モルガン
『なんだ、あなたたちもエアンコ村から来たの。』
エステル
『「も」ってことはあなたも?』
モルガン
『そう。』
エステル
『あっ!あったわ!パン・デ・ケイク!
早く行きましょ!』
モルガン
『でもわたしお金無い。。。』
ギンガ
『お前、エアンコ村になにしに行ってたんだ?』
モルガン
『なにしにって、仕事探しに行ってたのよ。
アンダインでは仕事もらえないもの。
生きるためには当然お金が必要じゃない?』
アイン
『・・・』
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