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3.王都の勢力図

※説明回です。作者はとても適当な性格ですのであまり細かいことは考えずにお読みください。

 



 リリアーナさんはもう寝てしまったし、俺は王都で彼女に何があったのかを探ることにする。


 出回っている噂は面白おかしく脚色されていて、肝心の中身が無かったりするからな。




 父上、ラファエル兄上、ウォルター兄上それぞれに聞いてきた話を統合すると、めっちゃドロドロした権力争いに巻き込まれたんだな、ってことが分かった。



 まず、国王ジークフリート陛下には二人の妃がいる。


 それぞれ二大公爵家と呼ばれる高位貴族の娘で、正妃ペトラはクロイツァー家、側妃クレメンティアはティーリンゲン家の出身だ。


 正妃ペトラの息子は王太子エルンスト、側妃クレメンティアの息子は第二王子クラウスで、本来なら次の王はほぼ間違いなく王太子エルンストだろう、という状況だ。




 固有名詞が出てき過ぎて訳分からんから整理すると、


 ・クロイツァー家

 正妃ペトラ

 王太子エルンスト


 ・ティーリンゲン家

 側妃クレメンティア

 第二王子クラウス


 ってところだな。




 正妃の息子の方が年上なので、普通なら勝負にならないところだが。

 ここでややこしいのが、息子たちが育つ前に国王が亡くなってしまったことだ。



 我が国では『幼帝は混乱を招く』として幼い王は歓迎されない。(まさに今の状況なわけだけど)

 しかし、国王の兄弟は暗殺や病気で皆この世を去っている。



 そこで、正妃ペトラの父であるクロイツァー公爵は、王太子エルンストが成人するまでの間、正妃ペトラを女王に据えた。



 これだけでかなりアクロバティックだと思うが、まあギリギリ許せる範囲だろう。






 ただ、このペトラ女王は、『気狂い女王』と言われてしまっている。


 彼女は夫である国王を心底愛していて、夫の死に大きな心の傷を負ってしまった。

 その反動か、王に生き写しと言われる息子のエルンストを気持ち悪いほどに溺愛しているということだ。



 女王が誰を愛していようが、周りのコントロールが上手く行って居れば良かったんだが、女王の即位後間もなくペトラの父・クロイツァー公爵が亡くなった。


 クロイツァー公爵は代替わりして、ペトラの弟が継いだのだが、彼は姉を上手く操縦しきれていない。



 結果として、女王ペトラの独裁状態となってしまっているようだ。

 もちろん政治のメインとなる部分は他の貴族達も関わっているから女王の思うがままとは行かないが、それでも大きな影響が出ているという。








 ここまでが今の王都の勢力図で、ここからがリリアーナさんのお話。

 まず、彼女自身はティーリンゲン公爵家、つまり側妃と同じ一族の出身だ。

 側妃クレメンティアの弟の子ども、つまりは姪にあたる。


 前国王は二大公爵家がいがみ合いすぎるのを防ぐために、息子たちにはそれぞれもう一方の家から妻を取らせたわけだな。

 そうすることで権力が偏りすぎず、上手くいくと考えたらしい。



 それに加えて、イマイチぱっとしない王太子に対して、幼いころから魔法使いの才能を見出されていた第二王子。

 能力面から見ると不利な王太子に、すでにその頃から才媛と名高かったリリアーナを付けることでカバーしようとしたらしい。



 前国王の作戦はそれなりに成功していて、ペトラ女王の政治はもうあと数年して王太子エルンストが成人するまでだから、と静観する貴族の方が多かった。




 しかし、そうやって父親に与えてもらったリリアーナを王太子エルンストは気に入らなかったらしい。


 どこで出会ったのかは知らないが、新興子爵家の次女ティアリスを気に入り、彼女を正妃とするためにリリアーナとの婚約を一方的に破棄した。



 普通なら絶対に認められない。

 利害関係にあるクロイツァー公爵とその派閥の人たちが許さないだろう。


 しかし、ペトラ女王は息子を溺愛するあまりリリアーナとの婚約破棄を認め、ティアリスを新しい婚約者とした。


 それだけでは足りず、リリアーナを王都から追い出すために俺、つまりシュイッツラー辺境伯家三男との婚約を無理やりに作ったというわけだ。




 まともに考えたら有り得ない婚約だ。

 辺境伯家とはいえ跡を継ぐでもない三男と、公爵家の娘が結婚するなど。



 何故俺になったか、という話だが、それは簡単。

 シュイッツラー辺境伯家がペトラ女王の属するクロイツァー公爵家側の派閥だからだ。


 敵側と結婚させたら何があるか分からないし、自分の派閥で適当な奴の所に押し付けた、ってとこ。

 うちは田舎だからリリアーナへの嫌がらせもあるかな。



 我が家が何故クロイツァー公爵家寄りかと言うと、方針として『より正当な方へつく』という家訓があるからだ。


 それは、領地の場所とも深く関わっている。

 魔物の棲む大森林と接している我が領地では、魔物に対する防衛費だけでかなりのお金がかかる。


 万が一にも防衛費を削られたら、領地は魔物によってめちゃくちゃにされてしまうだろうから、お金を減らされないためにも「あそこの家は非常に立派だ」と言われないといけない。




 だから正当な後継者である王太子側に付いていたんだけど……


 父上たちの様子を見るに、方向性を変えそうだ。

 つまり、女王ペトラには正義がない、として側妃クレメンティアと第二王子クラウス側につくということ。

 幸いにもクラウスは頭も良いようだしな。



 そこで注目されているのが俺の婚約者リリアーナさんだ。

 側妃の姪で第二王子の従兄妹が家に来た、となれば派閥変えの理由としてもちょうどいいし、太いパイプも出来る。


 辺境伯家が派閥変えしたとなれば勢力図が大きく変わると思うけど、それは俺らの知った事じゃない。


 リリアーナさんをあんなに衰弱させた女王と王太子は酷い目に合い、俺とリリアーナさんは堂々と仲良く出来る。



 マジで俺、しあわせじゃね!?








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[気になる点] 以前書いた「気になるツッコミどころ」ですが、 1、王族への敬称がない 2、状況説明会なのに矢継ぎ早で少し読みにくい と感じました。 とはいえ1については、主人公の性格も加味したら、「自…
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